

YAMAHA NIKEN GT
新車価格:198万円初めてNIKENを見た誰もが疑問に思うことが「自立するの?」だろう。答えは否。そのため三輪ではあるがクルマの免許では運転できず、ヘルメットも必要だ。しかし、だからこそNIKENは他のバイクと変わらないライディングフィールを味わえつつ、転倒のリスクを極限まで減らすことに成功しているのだ。
LMWテクノロジーとは?
LMW(リーニング・マルチ・ホイール)はヤマハのコーナーでバンクする三輪バイクの総称だ。「パラレログラムリンク」と「片持ちテレスコピックサスペンション」を備え、コーナーでバンクしたときにフロントの二輪が同じように傾き、自然なコーナリングを実現している。
ヤマハは1977年に自動三輪車の特許を出願しており、LMWの歴史はここから始まっている。
ヤマハ発動機株式会社、佐藤利行、自動三輪車
日本特許、公開特許公報、昭54-25033、1979-02-24

LMWアッカーマン・ジオメトリ
さらにNIKENでは「LMWアッカーマン・ジオメトリ」を初採用。一般的に自動車などに採用される通常のアッカーマン・ジオメトリと違い、車体が大きく傾いている状態でも左右のタイヤが同心円を描き、滑らかな旋回性をもたらしてくれるのだ。

転びにくさを追求したヤマハの答え
タイヤが3つあるのになぜ転ぶのか。答えは「NIKENはバイクだから」だ。転ばない自動三輪車に乗りたいのならばトライクに乗ればいい。可能な限り安全に、車体をリーンさせる楽しみを味わうことができるのが、NIKENをはじめとするヤマハのLMWシリーズだ。
1976年からコンセプトモデルの開発が続けられてきたこの前2輪という発想が、ついに花開いたのだ。目指したものはクルマとバイクに次ぐ第3のモビリティ。
たとえば雨の日にタイヤがマンホールを踏んでしまうと起こる横滑り。このクラスのバイクであれば、フロントタイヤが滑った日には転倒必至だが、NIKENならば片輪が滑ってももう片輪がグリップしてくれる。
さらにコーナリング中に急な減速が求められ、止むを得ずフロントブレーキを握ってしまったときも、通常のバイクに比べて車体が起き上がる挙動が穏やかになり、ラインを維持しやすい効果も判明している。
左右のタイヤを違和感なくリーンさせるパラレログラムリンク、そして片持ちテレスコピックサスペンション、さらにNIKENではLMWアッカーマン・ジオメトリといった革新的な技術によって、転びにくい三輪でありつつもバイク特有のリーンする楽しさを実現しているのだ。
LMWの先駆け、トリシティ
YAMAHA トリシティ155 新車価格:48.4万円 中古相場:29.9万円〜53万円
2014年に発売した前二輪バイク、トリシティ125から始まったヤマハLMWの歴史。現在国内では155ccモデルが、欧州では300ccモデルも発売している。NIKEN誕生に欠かせなかったトリシティは、優れた安定性から配達用バイクとしても広く普及している。
※中古車相場価格はグーバイク調べ(2020年7月)。