ロングセラーバイクの魅力を探る

これぞ、ニッポンのスタンダード!! ロングセラーバイクの魅力を探る

アドベンチャーツアラーにスポーツネイキッドなど、人気モデルは数多くあるが、それらとは一線を画し、確固とした支持を確立しているのが、今回紹介するロングセラーモデルたち。流行のど真ん中にいるわけではない・・・しかし、変わらぬ人気を維持し続ける秘密に迫りたい!

Text/Shigeru Tokunaga・Hiromu Inoue
Photo/Toshiyuki Sagayama

ネイキッド

HONDA

新車価格●88万4400円〜 中古相場●12万〜98万円

CB400 SUPER FOUR

新車登録台数
約3万5000台
(2005年〜)

※グーバイク調べ

SPECIFICATION
エンジン形式 水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒
総排気量 399cc
最高出力 41kW(56PS)/11000rpm
最大トルク 39N・m/9500rpm
全長×全幅×全高 2080×745×1080(mm)
ホイールベース 1410mm
シート高 755mm
車両重量 201kg
タンク容量 18L
タイヤサイズ F:120/60-17
R:160/60-17
ブレーキ形式 F:油圧式ダブルディスク
R:油圧式ディスク

オートバイとしての完成度と普遍性

 ひとくちに「オートバイ」といっても、その種類はさまざま。
 近年ツーリングライダーに人気を博しているアドベンチャーツアラーに、新時代を思わせるデザインと高い走行性能が魅力のスポーツネイキッド、威風堂々としたスタイリングを持つクルーザーや、走る場所を選ばないオフロードモデルなど、それぞれに特長があり、また大きな魅力を備えている。
 しかし、時代の移り変わりによって、それらのジャンルには流行り廃りがあり、さらに各モデルにも人気の高低や、環境への適応問題などが重なって絶版となってしまったり、モデルチェンジによってまったく異なるバイクになってしまったり・・・。
 長い「オートバイ」の歴史のなかで、さまざまなモデルが生まれては消えていったのだ。
 しかし、そんななかで、変わらぬ人気を維持し続けているモデルも少なからず存在している。
 それが、ネイキッドブームの立役者であり、今や中型クラス唯一のスタンダードネイキッドであるホンダCB400スーパーフォアや、その上位機種CB1300スーパーフォア、そして約40年もの間、基本的なスタイリングを変えることなく発売され続けているSR400、さらに誰もがオフロードに親しめるトレッキングバイクセロー250などのロングセラーバイクたちである。
 これらのバイクは今やブームをとっくに通り越し、今では定番=スタンダードとして我々ライダーから厚い支持を受けている。ネイキッドブームやストリートバイクブームなど、一度は熱狂的なブームを迎えながらも、それらが収束した今なお、生き残れるだけの魅力がどこにあるのか?今回の企画では、それらをじっくりと検証してみたい。
 流行を捉えた最新モデルに乗るのももちろん楽しいが、「スタンダード」と呼ばれるロングセラーモデルとじっくり付き合うこともまた、バイクライフを充実させてくれるに違いない。自身がバイクに求めるものは何なのか?そんなことを改めて考えつつ、今回の企画をバイク選びの参考にしてみてほしい。

魅力

1

400cc随一のロードスポーツとして進化を続ける!!

スタンダードネイキッドとして親しまれているが、じつは幾度もフルモデルチェンジ。その性能やルックスを変えているのだ。

1992

HONDA CB400 SUPER FOUR 1992年モデル

初めて登場したのは、ネイキッドブームの兆しが見えてきた1992年。オートバイらしいスタイリングでブームに拍車をかけた。

1999

HONDA CB400 SUPER FOUR 1999年モデル

エンジン回転数によって作動バルブ数を変える「HYPER VTEC」エンジンを採用。スポーティなイメージをおおいに高めた。

2008

HONDA CB400 SUPER FOUR 2008年モデル

吸気システムにF.I.を採用し、エンジンは「HYPER VTEC」を進化させて新設計。デザインもよりシャープでスポーティになった。

魅力

2

オートバイとしての普遍的なスタイル

ダブルクレードルフレームにリア2本サス、バーハンドルや丸型ヘッドライトを採用するなど、誰もが思い浮かべる「オートバイ」の普遍的なスタイルを踏襲。飽きずに長く乗れるものとなっている。

普遍的なスタイルを踏襲
バーハンドルに2眼タイプのメーター

バーハンドルに2眼タイプのメーターは、70年代を思わせるものだ。

シンプルなフレーム構成に2本サス

シンプルなフレーム構成に2本サスもまた、オートバイらしい組み合わせだ。

魅力

3

扱いやすく、スポーティなエンジン

熟成と進化を続ける直列4気筒エンジン

1969年のCB750フォア登場以来、CBのみならず、ニッポンのスポーツバイクの多くに採用されたのが直列4気筒エンジン。このエンジンは熟成と進化を続けており、今やミドルクラスのスタンダードでありながら、最新スポーツエンジンでもあるのだ。

ライバルたちはすでに絶版!!

中古車を買うなら今だ!

ダブルクレードルフレームに直列4気筒エンジンを持つ「スタンダードネイキッド」は、ライバルメーカーではすべて絶版。寂しい状況なのだが、それゆえに、今後中古車市場で価格高騰の可能性もおおいにあり(一部モデルはすでに高騰)。欲しいなら、今すぐ買うべき!?

YAMAHA XJR400R

YAMAHA

XJR400R

中古相場●19万〜104.5万円
KAWASAKI ZRX

KAWASAKI

ZRX

中古相場●24万〜108万円
SUZUKI インパルス400

SUZUKI

インパルス400

中古相場●14万〜104.5万円

変わっていないようで変わり続ける最新スポーツ

 1989年のカワサキ・ゼファー400の登場から00年代半ばまで、ブームとなっていたのがネイキッド。今、ネイキッドといえばZ400やMT-03といったスポーツネイキッドを思い浮かべる人が多いだろうが、つい最近までネイキッドといえば、ダブルクレードルフレームに直列4気筒エンジン、リアに2本サスを装備した、Z2やCB750Fを現代によみがえらせたようなスタイリングが主流だったのだ。
 そして、今なおそのスタイルを守り続けているのがCB400スーパーフォア(以下、スーパーフォア)である。
 ただし、スーパーフォアが今も高い人気を得続けているのは、決してスタイルが変わっていないから、ではない。むしろその逆。
 じつはスーパーフォアはこれまで幾度となくモデルチェンジを行っており、スタンダードネイキッドという基本コンセプトこそ変えていないが、エンジンへの「ハイパーVテック」採用をはじめ、灯火類へのLEDの採用、足回りの熟成に、フューエルタンクやテールカウルの形状変更など、時代に合わせた進化を続けてきた。
 その結果、今やクラス唯一のスタンダードネイキッドであり、直列4気筒エンジン搭載モデルとなったのである。
 ユーザーが求めるものをすくい取り、支持を得続けてきた名車だ。

存在感大!!
だけど意外なほど扱いやすい!

スタンダードネイキッドはビッグバイクでも隆盛だったが、現状ではホンダ・CB1100とCB1300SFだけとなってしまった。空冷エンジンを搭載するCB1100に対し、CB1300SFは水冷直列4気筒エンジンを採用。ビッグバイクらしい存在感だが、意外なほど扱いやすく、足つきも良好。オールマイティーな1台として人気を博している。

新車登録台数
約1万2000台
(2005年〜)

※グーバイク調べ

HONDA CB1300 SUPER FOUR
SPECIFICATION
エンジン形式 水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒
総排気量 1284cc
最高出力 81kW(110PS)/7250rpm
最大トルク 118N・m/5500rpm
全長×全幅×全高 2200×795×1125〈1135〉(mm)
ホイールベース 1520mm
シート高 780〈790〉mm
車両重量 268kg
タンク容量 21L
タイヤサイズ F:120/70-17
R:180/55-17
ブレーキ形式 F:油圧式ダブルディスク
R:油圧式ディスク

※〈〉内はSP仕様

HONDA

新車価格●151万1400円〜
中古相場●25万〜181.5万円

CB1300
SUPER FOUR

進化

HONDA

CB1000    1992
SUPER FOUR

中古相場●23.7万〜59.8万円

HONDA CB1000 SUPER FOUR
考察
CB1000Rは次世代のスタンダードになるうるか?
HONDA CB1000R

HONDA CB1000R

新車価格●167万900円
中古相場●49.9万〜166.6万円

「スタンダードネイキッド」に代わる存在として人気を集めているのが「スポーツネイキッド」。ホンダならCB1000Rがそれに当たるのだが、アップライトなライディングポジションに、(スーパースポーツ譲りの高性能エンジンとはいえ)低中速を重視したエンジン特性はオールマイティーに使え、スタンダードとしての素質は十分。走行モードやスロットルバイワイヤなど、電子制御技術がより一般的になれば、むしろCB1000Rこそスタンダードになりうるのではないだろうか。

HONDA CB1000R

今は新鮮に感じるデザインだが、多くのライダーにとって「普通」になれば、今後スタンダードになりうるだろう。

※中古車相場価格はグーバイク調べ(2020年8月)。

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