丸目・4発・2本サス ジャパン・スタンダードネイキッドモデルの要件

丸目・4発・2本サス
ジャパン・スタンダードネイキッドモデルの要件

ネイキッドは'70~'80年代国産名車にも使われたルックスと機能=丸型ヘッドライト、直列4気筒エンジン。加えてリヤ2本ショックに鉄フレームという要素を備えることが標準化し、それはそのまま日本車の基本要素となっていく。

2000s
  • ・排出ガス、騒音への規制強まる
  • ・フューエルインジェクションの浸透
  • ・日本市場ガラパゴス化?!

同じメーカーから空冷と水冷の2本建てが行われたり、隆盛を極めたネイキッドだったが、'00年代にはさらに事情が変わる。環境対応が二輪の世界にも及び、燃料供給はキャブレターからFIに。排出ガスもきれいにし、騒音は抑える。世界的なSSブームの中、ネイキッドは日本独自の人気ジャンルとなった。

2000 SUZUKI
GSX1100S KATANA FINAL EDITION

2000 SUZUKI GSX1100S KATANA FINAL EDITION

'90年代ネイキッドブームの中で復活し、'90年、'94年と2度登場したGSX1100カタナはこの2000年型=ファイナルエディションで1100台を限定生産し、'82年型からこの'00年型までの長い歴史に終止符を打った。

中古相場価格●193.2万円~258万円

2005 HONDA
CB1300SB

2005 HONDA CB1300SB

所有欲の上昇や規制対応による世界的な大排気量化の中でCB1000SFはCB1300SFに進化。さらに'05年には燃料供給をFIに変更し、ツーリング等で重宝するハーフカウルが付いたCB1300SB(スーパーボルドール)も派生。

中古相場価格●47.8万円~99万円

ヨーロッパではスーパースポーツのカウルを外した
ストリートファイターカテゴライズされていく

1993 DUCATI MONSTER M900

1993 DUCATI MONSTER M900

2001 MV AGUSTA F4

2001 MV AGUSTA F4

2001 MV AGUSTA F4 BRUTALE

2001 MV AGUSTA F4 BRUTALE

ヨーロッパ市場では日本とはやや異なるアプローチがされた。その祖は1993年のドゥカティ・モンスターM900で、ドゥカティ独自の鋼管トレリスフレームとL2エンジンを巧みに活かしていた。それ以外ではMVアグスタF4からカウルを外したF4ブルターレのような、ストリートファイターと呼ばれるモデルが展開された。

各種規制を受けつつ徐々に生産が終了していった

 '90年代の隆盛から、'00年代は収束へ。国産ネイキッド群は、騒音や排出ガス等の環境対応/規制の波を大きく受ける。カウルがない、つまりエンジン剥き出しだから騒音はそのまま外に出るし、空冷ならなおさら。排気ガスをクリーンにするために燃料供給はフューエルインジェクション=FIに代わるが、キャブレターのような造形美はそこにないから、交換する楽しみも減る。マフラーも同様だった(こちらは軽量化や高質化の恩恵がまだ残された)。
 ちょうどリッターSS=スーパースポーツやメガスポーツのカテゴリーが確立し、海外での人気はそちらに移る。それでも日本では定番としてのネイキッドは根強く支持される。
 海外でもネイキッドの波は見えたのだが、それはジャパニーズスタンダードとしてのそれではなく、スーパースポーツからカウルを取り払ったストリートファイター。日本でかつてあった“カウルレス”をあえて楽しむというややマイナーな流れで、日本のネイキッドは日本でしか流行らない? という見方も浸透した。そして段階的に施行される規制に適合しなくなった時期に合わせての生産終了車も増えることとなった。

2001 KAWASAKI ZRX1200R

2001 KAWASAKI ZRX1200R

中古相場価格●43.99万円~159万円

1995 KAWASAKI ZRX400

1995 KAWASAKI ZRX400

中古相場価格●28万円~56.1万円

1997 KAWASAKI ZRX1100

ゼファーシリーズを展開していたカワサキは他社の動向=スポーツ性を向上したネイキッドの展開を睨みつつ、空冷ゼファーに対して水冷4気筒を角型ボディに積んだスポーツネイキッドのZRXを展開。400を皮切りに'97年にZRX1100、'01年には1100を進化させた1200が登場。

1997 KAWASAKI ZRX1100

中古相場価格●44.2万円~73万円

2010s
  • ・新しい装備と価値観を探る
  • ・今のバイクらしい作りもミックス
  • ・ネオネイキッドという新概念

'10年代に入ると規制の世界共通化や、排気量をはじめとしたバイク自体の見直しが進む。その中で従来のネイキッド路線を強化したものや、新しい形や気筒数によるネオネイキッドが登場。ジャパニーズネイキッドも欧州では新しい形のひとつとして認知され、新時代を迎える。

2010 HONDA CB1100

2010 HONDA CB1100

新車価格●123万1200円
中古相場価格●47.84万円

4気筒CBシリーズのルーツとなるCB750Fourの雰囲気を持ったレトロネイキッドとして2010年にホンダはCB1300SFを空冷化/18インチ化したようなCB1100をリリース。'17年には17インチのRSを派生。CB1300SFともに現役で展開中だ。

2017 HONDA CB1100RS

2017 HONDA CB1100RS

新車価格●137万8080円
中古相場価格●98.9万円~128万円

2018 HONDA CB1300SF

2018 HONDA CB1300SF

新車価格●148万3920円
中古相場価格●116.99万円~151.43万円

新時代のネイキッドが世界的に登場していく

 ネイキッドが確立して20年超となる'10年代。もう'19年なので30年が経とうとしているが、とくにこの10年で、ネイキッドは新局面を迎えたと言える。従来型ネイキッドはそのほとんどがファイナルモデルとなった。もちろん、ホンダCBシリーズのように従来のネイキッドらしい価値観をあえて洗練して、継続されるものもある。一方で、丸型ライトや4気筒だけに囚われないモデルが次々と現れてきた。ホンダならNC、ヤマハならMT。カワサキなら'12年以降のZ。排気量で気筒数を変えたり、同じ排気量でもエンジンと車体を共通化しながら別物に仕立てるプラットフォームを活用する。
 またスズキGSX-SやホンダCB-Rのように小排気量から大排気量までを共通イメージでシリーズ化し、入門者が125ccでなじんだら次は同じシリーズ=名前のモデルでステップアップしてもらう・・・。こうして、ネイキッドは世界的に新しい局面を迎えた。そして新ネイキッド群を元に、カワサキZ900RSやヤマハXSRのようなネオレトロも生まれ、ヒットしている。
 バイクの原点たる形を受け継ぎつつ、取り回しが良く軽快感のあるネイキッド。今なら、新車だけでなく豊富な中古車も選べる。日本発のスタンダード。一度乗っておいて損はない。

2006 SUZUKI BANDIT1200S

2006 SUZUKI BANDIT1200S

スズキの油冷ネイキッドはGSF1200/Sから主に車体を改良したバンディット1200/Sに移行後、この2006年型を“油冷ファイナルエディション” (写真)としてこのシリーズを終了した。

中古相場価格●35.7万円~76.2万円

2012 HONDA NC700S

2012 HONDA NC700S

中古相場価格●33.99万円~50.58万円

2013 HONDA CB400F

2013 HONDA CB400F

中古相場価格●32.88万円~56.2万円

大型であっても市街地ではほとんど中低速域を使うとして、そこに合わせた動力特性を持たせた新2気筒のNC700S(後に750)は新しいネイキッドの先鋒として登場し、世界的に売れた。CB400Fもそれまで「CBは4気筒」という概念を新しい2気筒で一新しようと展開。

2018 YAMAHA MT-25

2018 YAMAHA MT-25

新車価格●53万4600円
中古相場価格●44万円~51.61万円

ヤマハがしばらくの沈静期をおいて'13年に欧米から展開した新シリーズがMT系。あえてネイキッドと言わない“マスター・オブ・トルク”シリーズとし、2気筒の07(250の25、320ccの03もあり)、3気筒の09、4気筒のMT-10を展開。XSRも900/700に派生。

2016 YAMAHA XSR900

2016 YAMAHA XSR900

中古相場価格●77.41万円~134.4万円

2014 YAMAHA MT-09

2014 YAMAHA MT-09

中古相場価格●44.5万円~86.7万円

2016 KAWASAKI ZRX1200DAEG FINAL EDITION

2016 KAWASAKI ZRX1200DAEG FINAL EDITION

初作1100から20年を迎えたZRXシリーズは'16年にこのZRX1200DAEGファイナルエディションで終了。カワサキは'12年から「ネイキッドはZシリーズ」という施策を行い、ZRXは実質Z900RSが後継となった。

中古相場価格●115.89万円~194.5万円

※中古車相場価格はグーバイク調べ(2018年12月)。

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