各種規制を受けつつ徐々に生産が終了していった
'90年代の隆盛から、'00年代は収束へ。国産ネイキッド群は、騒音や排出ガス等の環境対応/規制の波を大きく受ける。カウルがない、つまりエンジン剥き出しだから騒音はそのまま外に出るし、空冷ならなおさら。排気ガスをクリーンにするために燃料供給はフューエルインジェクション=FIに代わるが、キャブレターのような造形美はそこにないから、交換する楽しみも減る。マフラーも同様だった(こちらは軽量化や高質化の恩恵がまだ残された)。
ちょうどリッターSS=スーパースポーツやメガスポーツのカテゴリーが確立し、海外での人気はそちらに移る。それでも日本では定番としてのネイキッドは根強く支持される。
海外でもネイキッドの波は見えたのだが、それはジャパニーズスタンダードとしてのそれではなく、スーパースポーツからカウルを取り払ったストリートファイター。日本でかつてあった“カウルレス”をあえて楽しむというややマイナーな流れで、日本のネイキッドは日本でしか流行らない? という見方も浸透した。そして段階的に施行される規制に適合しなくなった時期に合わせての生産終了車も増えることとなった。
2001 KAWASAKI ZRX1200R
中古相場価格●43.99万円~159万円
1995 KAWASAKI ZRX400
中古相場価格●28万円~56.1万円
ゼファーシリーズを展開していたカワサキは他社の動向=スポーツ性を向上したネイキッドの展開を睨みつつ、空冷ゼファーに対して水冷4気筒を角型ボディに積んだスポーツネイキッドのZRXを展開。400を皮切りに'97年にZRX1100、'01年には1100を進化させた1200が登場。
1997 KAWASAKI ZRX1100
中古相場価格●44.2万円~73万円
- ・新しい装備と価値観を探る
- ・今のバイクらしい作りもミックス
- ・ネオネイキッドという新概念
'10年代に入ると規制の世界共通化や、排気量をはじめとしたバイク自体の見直しが進む。その中で従来のネイキッド路線を強化したものや、新しい形や気筒数によるネオネイキッドが登場。ジャパニーズネイキッドも欧州では新しい形のひとつとして認知され、新時代を迎える。
2010 HONDA CB1100
新車価格●123万1200円
中古相場価格●47.84万円
4気筒CBシリーズのルーツとなるCB750Fourの雰囲気を持ったレトロネイキッドとして2010年にホンダはCB1300SFを空冷化/18インチ化したようなCB1100をリリース。'17年には17インチのRSを派生。CB1300SFともに現役で展開中だ。
2017 HONDA CB1100RS
新車価格●137万8080円
中古相場価格●98.9万円~128万円
2018 HONDA CB1300SF
新車価格●148万3920円
中古相場価格●116.99万円~151.43万円
新時代のネイキッドが世界的に登場していく
ネイキッドが確立して20年超となる'10年代。もう'19年なので30年が経とうとしているが、とくにこの10年で、ネイキッドは新局面を迎えたと言える。従来型ネイキッドはそのほとんどがファイナルモデルとなった。もちろん、ホンダCBシリーズのように従来のネイキッドらしい価値観をあえて洗練して、継続されるものもある。一方で、丸型ライトや4気筒だけに囚われないモデルが次々と現れてきた。ホンダならNC、ヤマハならMT。カワサキなら'12年以降のZ。排気量で気筒数を変えたり、同じ排気量でもエンジンと車体を共通化しながら別物に仕立てるプラットフォームを活用する。
またスズキGSX-SやホンダCB-Rのように小排気量から大排気量までを共通イメージでシリーズ化し、入門者が125ccでなじんだら次は同じシリーズ=名前のモデルでステップアップしてもらう・・・。こうして、ネイキッドは世界的に新しい局面を迎えた。そして新ネイキッド群を元に、カワサキZ900RSやヤマハXSRのようなネオレトロも生まれ、ヒットしている。
バイクの原点たる形を受け継ぎつつ、取り回しが良く軽快感のあるネイキッド。今なら、新車だけでなく豊富な中古車も選べる。日本発のスタンダード。一度乗っておいて損はない。
2006 SUZUKI BANDIT1200S
スズキの油冷ネイキッドはGSF1200/Sから主に車体を改良したバンディット1200/Sに移行後、この2006年型を“油冷ファイナルエディション” (写真)としてこのシリーズを終了した。
中古相場価格●35.7万円~76.2万円
2012 HONDA NC700S
中古相場価格●33.99万円~50.58万円
2013 HONDA CB400F
中古相場価格●32.88万円~56.2万円
大型であっても市街地ではほとんど中低速域を使うとして、そこに合わせた動力特性を持たせた新2気筒のNC700S(後に750)は新しいネイキッドの先鋒として登場し、世界的に売れた。CB400Fもそれまで「CBは4気筒」という概念を新しい2気筒で一新しようと展開。
2018 YAMAHA MT-25
新車価格●53万4600円
中古相場価格●44万円~51.61万円
ヤマハがしばらくの沈静期をおいて'13年に欧米から展開した新シリーズがMT系。あえてネイキッドと言わない“マスター・オブ・トルク”シリーズとし、2気筒の07(250の25、320ccの03もあり)、3気筒の09、4気筒のMT-10を展開。XSRも900/700に派生。
2016 YAMAHA XSR900
中古相場価格●77.41万円~134.4万円
2014 YAMAHA MT-09
中古相場価格●44.5万円~86.7万円