バイクの主役はやっぱりエンジン。その鼓動は、いつでもライダーを昂らせる。
興奮と感動を生む“原動力”となるエンジンだから、少なくともその形式は重視したい。
性能の特徴だけでなく
音質やカタチにも注目
バイクを選ぶときに排気量帯を考えるのは、極めて当たり前のこと。とくに、所有するのが普通二輪免許だったり、車検の有無やランニングコストを気にしたりという場合には、排気量が大きく関係してくる。
でも、バイクのキャラクターを想像するとき、注目しなければならないのは、排気量だけではない。とくにエンジンの形式、つまりどんなレイアウトの何気筒かということが、とても大きな要素となる。だから、エンジン形式をバイク選びの決め手にするのは、とても素直な選択方法のひとつとなるのだ。
現在の市販バイクで一般的に使われるエンジン形式には、単気筒、並列やV型や水平対向の2気筒、並列または直列の3気筒、並列またはV型の4気筒、そして並列や水平対向の6気筒がある。これらはさらに、冷却方法やバルブの駆動方式、V型の場合は車体に対するクランクの向きによって横置きと縦置きなど、細分化されていく。あまりにも種類が多くなるため、それぞれの特性を知ったうえでひとつに的を絞るというのは、エントリーライダーにとっては難しいかもしれない。
そんなときは、マニアックにエンジン特性ばかりを気にせず、もっと気軽に「エンジン音の差」や「見た目の違い」なんかに着目してもいいかも。鼓動感が好きなら少ない気筒数、滑らかなエンジン音を求めるなら多気筒、ラジエーターのないシンプルなつくりと冷却フィンが刻まれた機能美を求めるなら空冷・・・・・・なんて選び方も、まったく悪くない。
もちろんベテランなら、「とにかくレアなエンジン形式がいい」なんて求め方もお薦めだ!

- 空冷インライン4
- 伝統的スタイルの空冷インラインフォア!
- 70年代には高性能バイクの代名詞となり、90年代のネイキッドブームによってふたたび人気が高まったのが空冷並列4気筒。深く刻まれた多数の冷却フィンと、エンジンの前に流れるエキゾーストパイプという組み合わせは、バイクの代表的な機能美のひとつになっている。
- YAMAHA
XJR1300(2013)

- 水冷インライン4
- スムーズでパワフルな水冷並列4気筒
- 現在のハイスペックマシンが、もっとも多く採用しているレイアウトが水冷並列4気筒。高回転高出力化を達成させやすい。スムーズで伸びのある特性は、性能だけでなく排気音にも表れていて、「やっぱりバイクは水冷4発」というファンも多い。存在感を示す大きさや、メカニカルな作りもポイント!

- 並列2気筒
- 伝統とテイストが融合したバーチカルツイン
- バーチカルとは、「垂直」という意味の英語。一般的な並列2気筒エンジンが、搭載位置や重量バランスを考えてシリンダーを前傾させてあるのに対し、バーチカルツインエンジンはシリンダーが直立している。トライアンフのクラシック系に加えて、カワサキのW800やかつてのW650などが採用。
- KAWASAKI
W800(2011)

- 並列3気筒
- トルクフルで伸びもある
- 高回転域で伸びる並列4気筒エンジンの良さと、並列2気筒が発する豊かな低中回転域トルクを融合させた特性を持つのが並列3気筒。現在は、トライアンフのスポーツ系シリーズや、ヤマハのMT-09がチョイスする形式。少数派だけど魅力は多い。

- 単気筒
- 鼓動感を求めるなら絶対にシングルがイイ
- 設計がシンプルで、重量やコストを低めに抑えられるというメリットがあるため、コンパクトにまとめたい小型スクーターから軽さが命のオフロード車、スリムさを重視したストリートモデルまで、幅広い機種に使われている。トコトコトコ・・・という鼓動も楽しめるエンジンだ。
- SUZUZKI
ST250(2012)

- V型2気筒
- 官能的サウンドのVツインに乗ろう
- 適度な鼓動感と独特なサウンド、中回転域での優れたトラクション性能、扱いやすいエンジンブレーキなど、一般的なVツインエンジンが持つ魅力は多い。ドゥカティやハーレーダビッドソンは、現行型全車がこの形式。ホンダVTRシリーズは、250ccクラスでは珍しいVツインスポーツだ。
