イギリス、ロンドンのエースカフェと言えば、カフェレーサーカルチャー象徴であり、ロッカーズの聖地として知られるカフェである。エースカフェは当時人気だったカフェ、ビジー・ビーとともに30年代に開業した。この2店は、他のカフェと違い、当時としては珍しい24時間営業だったために、深夜になると多くのライダーが集まっていたのである。
エースカフェは途中数年のブランクがあったが近年になって復活、今では毎週のように二輪・四輪のイベントが開催されている。愛車でカフェに乗りつけ、愛車を眺めながら一服。半世紀以上前から、バイク乗りの至福のひと時は変わらないのである。
50年代にイギリスで誕生したカフェレーサー。ストリートでの速さを追求したいというライダーの欲求が生み出したスタイルは、形や呼び名こそ違えど、時を同じくした日本にも存在していた。目の前にあるバイクを、いかに速くして、自分好みのスタイルに近づけるか。どうすれば仲間と違うスタイルを生み出せるか。
こうした考え方は、時代や場所、車種を問わず万国共通のライダー心理と言えるだろう。今回紹介したカルチャー、スタイル以外でも、同じような目的でその国や地域の文化を取り入れながら、独自の様式美に行き着いたカフェレーサーカルチャーは、おそらく昔も今も世界中に数多く存在しているはずだ。
今回紹介した各種スタイルは、あくまでその代表的な一例だ。しかし、様々なスタイルを通して一貫しているのは、レーサーを模範としている点だ。各項目でも記述したが、それらスタイルを目指すのであれば、当時のレーサーがどんな作りをしていたのかをキッチリ押さえることがカフェレーサー作りの肝となる。
近年では新しい感覚でカフェレーサーを生み出しているビルダーも多いが、彼らとて、伝統的な様式美を無視することはしない。戦闘的なスタイルや、速さを感じさせるエクステリアなど、肝心なポイントは決して外していないのである。
かつてのスタイルも廃れず、今も新たな車両が生まれるカフェレーサーは、永遠のスタンダードなのだ。
