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![]() Text / Takeshi Goto バイク好きの心をグラグラと揺さぶるスタイリング。昔元気に走っていたリターンライダーにはグサッと刺さるはず。
●全長×全幅×全高=2,200×775×1,420mm●排気量530cc
スクーターが嫌いである。あれはタイヤが二つついているだけの移動手段。バイクの趣味性のかけらなど、(僕には)みじんも感じられない。当然この試乗の話が来た時も気が乗らなかった。スクーターかよ、って感じ。ところがマシンを一目見て気が変わった。なにかこうバイク乗りのオトコ臭さがプンプンと漂ってくるのである。 良く見ればカバーから飛び出したパーツがどれもこれも本気。しかも一見上品ぶっているくせに、細かい部分のセンスはどこかコテコテカスタム系から抜け出せていない。そこがまたバイク好きがデザインしたんだ、と感じられて好感が持てる。 しかもエンジンは始動一発目の排気音でオオッと思う。スポーツマインドをくすぐる音なのである。排気量530ccエンジンの加速は独特だ。 ビッグバイクで走っていて、1番うっとうしいのが飛ばし屋のTMAX。すかした顔して(絶対わざとだ)ビッグバイクを追いかけ回してくる。嫌だけど自分が乗ったら逆にやってやりたい。で、もしも国内仕様のTMAX見つけたら、今までの恨みを全部ぶつけてやる。追いかけ回していびり倒してやる! スクーターの利便性を生かした使い方? するわけないじゃん。そんなことするくらいなら、普通のスクーター買うよ。 常に一番トルクが出て、気持ち良い回転域を維持したまま怒濤の加速をみせる。動き始めの一瞬だけ、ドカンという飛び出し感がもう少しあると完璧。でも逆に言えば後からの盛り上がり感があるからこれも良し。 操作系のカッチリ感、ブレーキの効きや減速時の安定感と剛性感なんて、完全にスポーツバイクの領域。走行中のハンドリング、安定感だってなかなかのもの。安定性のないスクーターの小径タイヤで、良くもまあここまでハイレベルに仕上げたもんだ。 たぶん、このマシンを作った人は、僕と同様スクーター嫌いだったのかもしれない。だから逆にバイク乗りがこんなにも心を揺さぶられるマシンになったんじゃないだろうか。乗れば乗る程にそう思ってしまうのである。 @全長×全幅×全高A排気量B車両重量C最高出力D新車価格E平均中古相場 YAMAHA TMAX(旧型) @2,195×775×1,445mm A499cc B222kg
C28kW(38ps)/ 7,000rpm D−E59万4000円 HONDA SilverWing GT @2,285×770×1,430mm A582cc B249kg
C37kW(50ps)/ 7,500rpm D89万2500円 E43万4000円 |
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