アメリカンスタイルのハシリ
アメリカを代表する二輪メーカーといえばハーレーダビッドソンだ。低い車体に、ゆったりとしたプルバックハンドルを持つ独自のスタイルは、広大なアメリカの国土を移動するのにふさわしいスタイルだ。日本でも憧れるライダーは多く、70年代後半にさしかかると、巷で『和製アメリカン』と呼ばれるような車両を発売し始める。
当初は既存車両をベースに、大きなプルバックハンドルと段付きシートを装着し、見た目を似せることから始まった。しかし、そのうち尻下がりのディメンションを創りだすためにフレームは専用設計となり、エンジンは鼓動感や存在感を求めて、ありとあらゆる既存エンジンからの流用が試されるほど、メーカーは本腰を入れて開発を始める。そのうち見た目とは裏腹に、いざ走らせるとバカッ速!そんなモデルも登場するようになった。そうした流れの中で登場したのが、ヤマハが発売したVMAXだ。
マッシブなスタイルとパワフルなエンジンを、ヤマハらしいデザインでまとめ上げたVMAXは、その独特な鼓動感と圧倒的なパワーが話題となり、大人気となる。こうして、見た目の模倣から始まった車体づくりは、いつしか本家アメリカのクルーザーとは全く違う、新しいスタイル『マッチョ系クルーザー』を生み出すことになった。