
カワサキ唯一の現行クルーザーモデルである、バルカン900クラシック。目の前でじっくり観察して感じたのは、落ち着いたとてもいい雰囲気を持つことと、クラシック風スタイリングの基本を忠実に守るべく、ディティールの造形まで気を配り作られていることだった。フレームのメインチューブからスイングアームを通じ、リヤアクスルシャフトまでつながるストレートラインや、クロームメッキとブラックカラーの使い分け、前後のロー&ファットなタイヤにメッキをかけたスポークホイールなど、見応えある細部を持つ。
車格は400ccクラスよりは若干大きいものの、排気量を考えれば頃合のいいサイズ。唯一、押し歩きする際にエンジンの重さを手応えとして感じるくらいだ。走り出せば3000回転まではとてもまろやかで、4000回転を超えたあたりから400ccクラスでは味わえない力強さを見せはじめる。だがリッターオーバークラスのような怒涛のトルク感というものは持ち合わせておらず、回転数に比例しパワーを乗せる、スポーツモデル的なエンジン特性だ。
扱いやすさと重厚な雰囲気、丁寧な作りを楽しめる1台である。