08年に105周年記念モデルを打ち出し、モデル中期にFLSTSBソフテイル・クロスボーンズとFXCW/FXCWCソフテイル・ロッカー/ロッカーCを送り込むなど、このところ攻めのベクトルが強かったハーレー。
筋骨隆々のプロレスラーがタンクトップで歩いてくるような力感は魅力的だが、そこからさらに強い刺激を求める目を育てていたのもまた事実。このまま加速度的にカスタムへ一直線なのだろうか、と要らぬ心配までしたほどだ。
しかし、ハーレーがローンチした10年のニューモデルは、刺激的なれど、深みと味わいを感じた。景気の冷風が刺激を諫めた、とは思わないが、タンクトップで見せていた胸板を上質なジャケットに潜ませた、という感じなのである。
例えば、FLSTFBファットボーイ・ロー。黒いパーツを艶消しのサテンシルバーによって光らせるやり方。また全身で新たな個性を造るのは、ファクトリーカスタムを標榜するハーレーの手腕に寄るところが大きい。FLTRXロードグライド・カスタムもその好例だ。
同時に、FLHTKエレクトラグライド・リミテッドのように、装備追加と、排気量アップで、さらなる満足度を追求したモデルも登場した。また、ビッグツインエンジンは5速を従来のスパーギアからヘリカルギアに変更するなど、静粛性アップにも積極的だ。
このほかにも、細かなアップデイトが数多く施されているのもハーレーの知られざる姿だ。
スポーツスターファミリーのド定番、XL883、XL1200Rが消えたのは寂しいが、前進の度合は今年も見逃せない。