2024/12/09 19:44:59 更新【燃料ポンプ故障】ヤマハVinoモルフェ 燃料ポンプ交換ヤマハ ビーノモルフェ
エンジンが始動困難になったり、走行中に不調になって停止したりと、どうもエンジンの調子が悪いということで入庫されたヤマハの原付スクーター Vinoモルフェ の入庫です。 お住いの近くのバイクショップップの見立てでは「マフラーが詰まってるんじゃないか」というのと、「カーボン噛みじゃないのか」とのことだったそうです。 そのままそちらで修理しなかったのはなぜか…聞かなかったのですがちょっぴり不思議です。
結論としては燃料ポンプのトラブルです。 こちらのお客様の使用方法としては一度始動して走行を開始すると30分くらいは走り続けます。 50ccとしてはけっこう走るほうで、短距離短時間の走行は少ないとのこと。 それでマフラーの詰まりやカーボン噛みは発生しません。 短距離短時間の走行を繰り返す車両はエンジン内部にカーボン(すす)が蓄積されます。 特にエンジンが十分に暖まる前…始動から15分以内に停止する乗りかただと、冬場はエンジン内部やマフラー内に結露が発生します。 しっかり加熱されていれば空気中の水分もすぐに蒸発するのですが。 この水分とカーボンが付着するとカーボンが固形化して堆積します。 最近のオートバイは例え原付でもマフラーには触媒が装備されており、ハチの巣状の小さなたくさんの穴を排気ガスが通過するのですが、水分と付着したカーボンがその細かな穴を塞いでしまう可能性があります。 また、エンジン内部に堆積した固形化したカーボンは何かの拍子に剥がれ、うまい具合に排気バルブから排出されれば良いのですが、バルブに噛みこむとエンジンの圧縮は無くなりエンジンは停止します。
これらは短距離短時間の走行を繰り返す場合のトラブルで、確かに走行中に不調になったりエンジンの再始動ができないという今回のトラブルに合致する内容ではありますが、こちらの車両のオーナーの乗りかたならそれはありません。 短距離短時間走行は少ないのですから。 その場合のトラブルとして考えられるのは燃料ポンプ。 エンジンから伝わる熱の影響で燃料ポンプが動かなくなるトラブルがよくあります。 電磁式のポンプは始動中に動き続けてるのですが、走行時間の経過とともに熱の影響で動きにくくなってきます。 その状態でエンジンを停止すると、動いていたポンプは完全にロックして再び動き出すには冷やすしかありません。 長い時間の走行や、真夏の暑さなどの影響で動き続けているポンプの動きが悪くなることもあります。 こうなると走行中に何となくアイドリングが不安定になります。 お客様の話しによると、出かけ先で再始動しようとするとエンジンはかからず、困ったなと…そのまま少し時間を置くと始動できるということがこの夏は繰り返したそうです。 それ、ポンプの症状です。
試しにエンジンを始動し20分くらいアイドリングします。 エンジンが十分に暑くなっている状況で停止させ、再度イグニッションキーをONにします。 本来はイグニッションキーをONにすれば燃料ポンプの動作音がしますが無音です。 やっぱりポンプが動いていません。 エンジンがかからなくなったら、まずはイグニッションキーをいちどOFFにしてください。 その後、耳を澄ませながらONにしたとき、「ジーーー」とか「ウイーン」というモーター音が聞こえなければポンプが動いてません。 トラブルです。 ポンプが動かなければ何をしてもエンジンは始動しませんので、あわててセルモーターを回し続けてバッテリーをあげたりしないように注意しましょう。 そんな時は20-30分程時間をおいて(ポンプを冷まして)再始動してみましょう。 始動出来ればバイク屋さんに移動して修理を依頼。 始動できなければレッカー車の手配をしましょう。
車両後部の外装パーツをパーツをすべて外します。 シート、シート下のラゲッジボックス、サイドカバー、テールランプ。 車両後部をぜんぶ外すと燃料タンクが見えます。 燃料タンクに繋がっているホースや配線をすべて抜き、タンクを裏返せばポンプが見えます。
燃料ポンプは燃料タンク内に収まっています(一部車種はのぞく) そのポンプを取り外します。 見た目だけでは新品と比較しても異常は見当たりません。 しかしながらこれは比較的よくあるトラブルです。 特に数年前はヤマハ系のスクーターに頻発したトラブルで、何度もリコールされて対策品も出たのですが、やっぱり同じトラブルは珍しくありません。 もちろんホンダ車でも同じようなトラブルは多いですし、他のメーカーでもあります。 壊れない車両は壊れないんですが… 機会ですからいつ壊れるかはわからないんですよね… ガソリンが燃料タンクから自然に流れるような構造なら良いのですが、インジェクションモデル化されてからはポンプは必須。 こういう電気化というのは過去にな無いトラブルを発生させ、また予兆も無く壊れるのが怖いところです。
ポンプを交換したらあとは逆の手順でパーツを組み戻していけば作業終了。 難しい作業ではないのですが、ちょっぴり手間のかかる作業です。 ここ数年は記録的な猛暑が続くようになりました。 毎年、猛暑の記録を更新します。 つまり過去に例のない猛暑が毎年来てます。 こうなると熱によるトラブルが起きても不思議ではありません。 困ったものです。 今回はもちろんヤマハ純正部品で修理を行いました。 毎度ご用命いただきありがとうございました。