YAMAHA MT-09 ABS
ラインナップ減の流れを救い
大ヒットしたヤマハの救世主
日本国内では、通常仕様のMT-09とABS仕様のMT-09Aが'14年4月発売。初代同様にトルクの感覚を重視した『クロスプレーンコンセプト』に基づき完全刷新しヒットに。'15年モデルより MT-09 ABSの名称となり'16年にはトラクションコントロールシステムなどを追加。'17年モデルでは4灯式のLEDヘッドランプ採用とともに、大胆なフェイスリフトが行われ、MTシリーズの新モデルとして登場したMT-10と共通するイメージに変更。もちろん技術・装備も充実しアシスト&スリッパークラッチやクイック・シフト・システムなど搭載されている。
新車価格●100万4400円
中古相場価格●47.33万円~99万円
時代とライダーが待ち望んでいた MT-09遂にデビュー
2018 YAMAHA MT-09 SP ABS
'17年にマイナーチェンジしたMT-09がベースの上級バージョン。特別仕様のKYB製フロントサス、オーリンズ製フルアジャスタブルリヤサスを装備。ダブルステッチシートやブラックバックのデジタルメーターなど質感も向上している。
「意のままに操れる悦び」を提唱し、ストリートファイター的な激しさと常用域での楽しさを併せ持つ3気筒エンジン。車体構成は左右分割式のアルミフレーム等、軽量化とダウンサイジングにより、意のままを実現している。
YAMAHA MT-07 ABS
兄弟で個性が異なる2気筒
まさに別物オールラウンダー
MT-09に続き8月に発売されたMT-07は、日常域でのライディングでライダーの意のままに扱えることを目指したモデル。数値よりもフィーリング、どう感じられるか、というトレンドと、購入しやすい価格もありヒット。688cc・270°クランクの水冷並列2気筒DOHCエンジンは、トルク特性が分かりやすいMT-09同様クロスプレーンコンセプトの設計に基づいたもの。コンパクトかつ軽量で「市街地でもファンライド」を見事に実現した。'18年でのマナーチェンジで、フロントスタイル、シート面積の拡充、サス変更など、走行時の疲労度が軽減された。
新車価格●77万7600円
中古相場価格●45万円~69.9万円
性能と個性、金額で選択肢を広げた弟 MT-07同時リリース
2018 YAMAHA MT-07 ABS
'18年モデルはマイナーチェンジだが、フロントサイドのエアスクープ、前ウインカー位置、シートやサスの変更もあり長距離での疲労度が軽減。ほかヘッドライトやフロントフェンダー、テールランプなども変更となった。
“スポーツパッション&スマート”走りの楽しさと街中で映えるファッショナブルなスタイル、コストパフォーマンスを調和させヒットに。軽量&コンパクトで、走り出した瞬間に伝わるパワフルなエンジンと俊敏性を備えている。
ヤマハが遂に反転攻勢 ミドルクラス争いが激化
新排出ガス規制のもと、業界全体の機種減少にいち早く対応したのはホンダだった。機種の高額化が続く中、「ニューミッドコンセプト」シリーズとしてNC700Sシリーズを投入。市街地走行などの常用域で扱いやすく快適で燃費性能に優れたミドルクラスは、その価格もあり人気となった。同時に「ミドルクラスで扱いやすく、購入しやすい」という新たなニーズも顕在化したのだ。そして反撃の時はやってきた。MTの第2世代としてMT-09/07が欧州向けに先行発売されたのち、国内ミドルクラスに待望の新型となるMT-09が発売。エンジンは直列3気筒120度クランク。8月には、MT-07が登場。「気負うことなくモーターサイクル本来の楽しみを存分に味わう」をコンセプトに開発され、直列2気筒270度クランクでトルク感を重視。どちらの車体構成も軽量化と全体のダウンサイジングが図られており、車重や大きさが400クラスに匹敵するほどで、その扱いやすいサイズ感も人気の要因となった。さらに、兄弟でありながら、性格が異なる3気筒と2気筒という楽しみな選択肢にもライダーは悩まされた。前述のホンダNC700Sシリーズの常用域での扱いやすさに、さらに俊敏で力強い走りという力感、ちょっと尖った走りもうけ、MT-09/07シリーズは、瞬く間にミドルクラスを席巻したのだ。
YAMAHA MT-25
ブランド戦略でラインナップ増
表裏一体YZF&MTシリーズ
フルカウルスポーツのYZF-R25をプラットフォームにネイキッド仕様として'15年10月に国内発売。エンジンは、249ccの水冷4スト並列2気筒DOHC4バルブで、YZF-R25よりやや幅広かつ39ミリ高いバーハンドルが19ミリ手前に設定され、ネイキッドらしいキビキビしたライディングを可能にしていた。開発コンセプトとは、「大都会のチーター」。獲物を狩るときのその機敏な動きをイメージしている。これにより、MT-09/07シリーズから普通免許で乗れるMTシリーズが誕生。さらにMT-03、MT-10というラインナップ展開とトップモデルも登場。ブランドが活性化していった。
新車価格●53万4600円
中古相場価格●37.15万円~54.5万円
獲物を狙うチーター・スタイル MTシリーズの個性はそのままに
'18年はMT-03と同様にシリーズのラインナップを印象づけるカラー&グラフィックが採用された。MT-25およびMT-03とも、共通の3色設定となっている。排出ガス規制に適合した新しいエンジン仕様となったため最高出力、最大トルクなどの変更があった。
水冷4スト並列2気筒DOHC4バルブエンジン。発売時はボア60ミリ、ストローク44.1ミリ249ccの排気量で36psを発揮。プラットフォームとなるYZF-R25と異なり、ストリートネイキッドらしくハンドル位置などアップライトなポジションを実現している。
新たな難題に苦悶の日々70cc以上のスペック差!!
250クラスのフルカウルブームに、遂に登場したYZF-R25。そのネイキッド仕様として'15年に国内発売されたのがMT-25だ。この時期は、各メーカーがジャンルを大別する指針としてブランドのラインナップを展開し、よりユーザーに分かりやすいイメージ&ブランド戦略構築を急いでいた。ホンダはCB/CBRシリーズを、カワサキはZ/ニンジャシリーズという形で、前者をネイキッドスポーツ、後者をフルカウルスポーツという形がそれだ。ヤマハの場合は、YZFとMTシリーズでラインナップを拡大することとし、それまでの超ロングセラーに頼っていた機種不足からブランド展開へ舵をきった。つまり初代MTのコンセプトを引き継ぎつつも戦略が異なっていたのだった。
表1
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MT-03 |
MT-25 |
認定型式/原動機打刻型式 |
2BL-RH13J/H405E |
2BK-RG43J/G402E |
全長/全幅/全高 |
2,090mm/745mm/1,035mm |
シート高 |
780mm |
軸間距離 |
1,380mm |
最低地上高 |
160mm |
車両重量 |
166kg |
原動機種類 |
水冷4ストロークDOHC4バルブ |
気筒数配列 |
直列2気筒 |
総排気量 |
320cc |
249cc |
内径×行程 |
68.0mm×44.1mm |
最高出力 |
31kW(42ps)/10,750r/min |
26kW(35ps)/12,000r/min |
最大トルク |
29N・m(3.0kgf・m)/9,000r/min |
23N・m(2.3kgf・m)/10,000r/min |
YAMAHA MT-03
車検の有無だけで決めるな
結構異なる実際のスペック
'15年10月に発売されたYZF-R3をベースとしたネイキッドスポーツ。MT-03と25の違いは、エンジン排気量とそれに伴う出力・トルクの差、それに関連するギヤ比・減速比の違いだ。MT-03が搭載するエンジンは、水冷並列2気筒DOHC4バルブユニット。ボア68ミリ、ストローク44.1ミリ320ccの排気量で42psを発揮。MT-25からすると116%の向上だが、ストリートライドを考慮すれば、トルクが130%向上していることのほうが注目すべき数値だった。YZF-R3と異なり、幅広なアップライトのバーハンドルで、ストリートネイキッドらしいライディングポジションを実現。※表1を参照
新車価格●56万7000円
中古相場価格●35.96万円~56.5万円
70ccの排気量差異が生み出す異なる個性。絶対に試乗すべし
'18年モデルでは、MT-25と同様に大型モデルとの関連性をイメージさせるカラー&グラフィックを採用。MTシリーズ全体のカラーリングとデザインを同様のものに近づけることで、MTシリーズのイメージ付けを鮮明にしたい意図が伝わる。
エンジンは直列2気筒180°クランク、構造はトルクの感覚を重視した『クロスプレーンコンセプト』に基づき刷新。コンパクトな燃焼室内により優れた出力・トルク特性を生み出している。車体中央下部に重量マスを配置する集中化も。
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