ブームからジャンルへ 新アドベンチャーモデル

普通免許クラスに新時代がやってきた
ブームからジャンルへ
新アドベンチャーモデル

'17年シーズンに突然やってきた新アドベンチャーブーム。
背景には、大型アドベンチャーモデルの拡充と
シーズン後に迫った排出ガス規制による
ラインナップの変更にもあった。
そのため普通免許クラスにおいても
排出ガス規制をクリアできるモデルのエンジンを基軸に
ジャンル変更をかけライダーへの選択肢を増やしたのだ。
これが普通免許クラスで幅広い
ユーティリティを発揮し注目となりヒットとなった。

Honda CRF250 RALLY

Honda
CRF250 RALLY

'17年2月発売。ベースはCRF250L。ラリー参戦マシン「CRF450 RALLY」と「ザ・ダカールレプリカ 週末の冒険者へ」を指針に開発。大型スクリーン、大容量タンクで同クラスを開拓。

新車価格 ●64万8000円

中古相場価格 ●47.52万円~81.33万円

SUZUKI V-Strom250/ABS

SUZUKI
V-Strom250/ABS

水冷SOHC 2気筒248cc。GSX250Rのエンジンに最適化が施され、大型スクリーン、DCソケット、LED、液晶ディスプレイなどロングツーリング志向のモデルに。オプションで積載性も抜群。

新車価格 ●250:54万240円

中古相場価格 ●250:39.81万円~58.3万円

Kawasaki VERSYS-X250/TOURER

Kawasaki
VERSYS-X250/TOURER

ニンジャ250系のエンジンを搭載し'17年登場。大型スクリーンなどアドベンチャーのほかツアラーとしての志向が強い。パニアケース、DCソケットなどを装備したツアラー仕様が人気に。

新車価格 ●TOURER:68万3640円

中古相場価格 ●TOURER:52.8万円~69.3万円

BMW Motorrad G310GS

BMW
Motorrad G310GS

「普通免許でBMWのGSが乗れる」というだけで、そのインパクトはライバルを凌駕。ベースはロードモデルのG310R。上位モデルのスタイルを踏襲しているのが最大の魅力だ。

新車価格 ●68万2600円

中古相場価格 ●60.72万円~99万円

普通免許でアドベンチャー
幅広い用途で大人気に!!

 '17年春、それは突然やってきた。普通免許区分でのアドベンチャーブームだ。普通免許クラスにアドベンチャーモデルがラインナップされ、「大型免許区域の特定カテゴリ」から、あらゆる排気量・免許区分・価格帯を網羅することとなり、ようやく日本にアドベンチャーというジャンルが確立した。しかし、“「走行性」「積載性」「低疲労」やパリダカなどを起源とする圧倒的な走破力”という従来の定義とは異なり、“使い勝手がよくマルチな性能であらゆる状況に対応できる”という独自の「ジャパニーズ・アドベンチャー」だったのだ。

コレもアドベンチャー?
なバイクたち 第3弾

HONDA TRANSALP 400V

第3弾はこの一台。'91年にヨーロッパでオールラウンドな走りが人気となった「トランザルプ600V」の400cc版として発売。まだアドベンチャーという概念はなかったが、今見るとそのスタイルは立派なアドベンチャー?
中古相場価格●31万円~50万円

HONDA TRANSALP 400V

国内アドベンチャーが面白い!!
新アドベンチャーライフに注目

一気にブームがやってきたアドベンチャーモデル。でもそのブームは欧米の「旅」や「道を選ばず走破する」という本来のそれとは異なり昨今の国内アドベンチャーは、ツーリングなどのバイクの楽しみ方をさらに広げるのに最適なモデルとして受け入れられた。ツーリングの延長のまま、ちょっとした林道やアウトドア、キャンプなどここではそんな新アドベンチャースタイルを紹介する。

高速も街乗りもいける優れもの
高速も街乗りもいける
優れもの

本格アドベンチャーが「道を選ばない」のが代名詞ならば、普通免許クラスアドベンチャーは、シーンを選ばないバイクといえるだろう。街乗り、高速道路、一般道路も快適ラクラク。その気楽な車重・車格からコミューターとしても便利なのだ。

アウトドアやキャンプも楽しさバツグンの積載性
アウトドアやキャンプも
楽しさバツグンの積載性

気軽に楽しめるクラスということで、バイクライフの遊び幅も自然と拡大する。その積載性とラクな乗車姿勢で、ツーリングやキャンプを中心としたアウトドアなどトータルで楽しみやすいのがこのクラスの提案のひとつだ。

林道などのちょっとしたオフ遊びに
林道などのちょっとした
オフ遊びに

フル装備してオフロードはなかなかハードルが高い。けれど、ツーリング時の途中の林道などで、オフ遊びができるのがこのクラスのアドベンチャーの特徴だ。本格的なオフロード走行を推奨してはいないので念のため注意を。

軽い車体と購入可能な価格帯
軽い車体と
購入可能な価格帯

ミドルクラスかそれ以上のアドベンチャーモデルとなるとその価格は200万円を超えるものも多い。そんな中、普通免許クラスの同ジャンルは、比較的購入しやすい価格帯にあることが特徴でブームになった要因のひとつだ。

YAMAHA TOURING SEROW

ジャパニーズ・アドベンチャー
セロー250の進化形にも注目だ

YAMAHA TOURING SEROW

セロー250に専用のリヤキャリヤ、大型スクリーン、ナックルガード、アンダーガードを追加オプションとして発売された一台。風防性、積載性、ロングツーリング性能などで、アドベンチャーと近くこちらも人気だ。

新車価格 ●61万9920円

中古相場価格 ●42.5万円~57.07万円

ジャパニーズ・アドベンチャー ジャパニーズ・アドベンチャー

普通二輪クラスだから実現!!
課題だった足つき性
不向きなタンデムも克服

トップエンドクラスの欧州アドベンチャーは、大柄な車体と車重、車両価格によりライダーが選ばれるが、普通免許クラスのそれは、シート高も工夫がされていて足つき性、タンデム性にも優れており、このクラスでも十分に楽しめるのだ。

すべての欲求を満たす 週末ライダーの主役に

 右で定義した「ジャパニーズ・アドベンチャー」。実際のところそのブームの裏には、かなり業界を取り巻く事情が関係している。このクラスのアドベンチャーモデルの特徴は、すべてベースとなるエンジンやモデルが存在していて、完全新設計のモデルがないことだ。そして'17年に一斉に登場している。バックグラウンドにあるのは昨年秋の排出ガス規制だ。各社は、その影響で急激なラインナップ減少を控えていた。そのため規制をクリアできるモデルの派生版を先にラインナップさせ、機種の減少を防ぐ選択のひとつとした。それがこのクラスでのアドベンチャーを生んだ背景だ。そしてそれをバイク業界もライダーも受け入れたのだ。スペック競争よりも、バイクをより気楽に、そして気軽な乗り物として一定の性能を満たし、かつ購入できる価格帯の新車を待っていたということとも合致した。そういった意味では、なかなか定着できなかった欧州発のアドベンチャージャンルは、この日本にあったサイズ、文化として、異なる形で受け入れられたのだ。すべての機能・装備を組み込んだ欧州のトップエンドモデルと、すべての遊びがある程度実現できるオールラウンドな一台としてのジャパニーズ・アドベンチャー。似て非なる感覚も否めないが、はじまったばかりの日本式アドベンチャーのこれからに興味が尽きない。

※中古車相場価格はグーバイク調べ(2018年10月)。

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