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これぞ単車 4ストシングルの逆襲 一発にこめられた熱い思い

昨年からバイク界を賑わせているニュースがホンダCBR250Rの話題だ。
4ストロークシングルエンジンを搭載する本格ロードスポーツが遂にデビューする。
そこで今回はシングル=単気筒エンジンモデルに注目して
シングルのこれからを考えてみる
Text/Ryo Tsuchiyama

全ての始まりはシングルシリンダー!

 4ストシングルと聞くとどんな車両を思い浮かべるだろうか?
ヤマハSRやカワサキエストレヤなどのトラディショナル系の空冷シングル、KLXやセローなどの公道用トレール、ハスクバーナやKTMなどのモタードモデルなど、年代や趣味嗜好によって思い浮かべる車両は様々なはずだ。しかし250cc以上の現行ロードスポーツマシンで4ストシングルのマシンは?と聞かれたら、誰もがその返答に困るだろう。なぜなら、4ストシングルエンジンを搭載しながら、スポーティなディメンションを持った現行ロードスポーツバイクは存在しないからだ。
 実は日本でも80年代から90年代にかけて、各メーカーからスポーツシングル車が立て続けに販売された時期があった。マルチにはない軽快なハンドリングと軽い車体は、腕次第ではマルチ車を食う走りができたし、チューニングするにしても安く行えることもあり、サンデーレースなどの草レースでもシングルレースが盛んに行われていた。しかしある時期を境にしてそうした車両がパッタリと市場から姿を消す。
「シングルスポーツは売れない」
4ストシングルエンジンでスポーツすることは、オフロードの世界では一般ライダーの間でもマニアックな嗜好と捉えられ、それに感づいたかのようにメーカー側からもそのような車両が一切発表されない時代になってしまった。
 そう、つい最近まで4ストシングルファンにとっては、受難の時代だったのである。

マチレス G50

英国製マチレスG50は、かつて4ストシングルがロードスポーツの頂点に君臨した時代を代表する車種のひとつ。いまではコレクターズアイテムだ。

マチレス同様にシングル黄金時代を支えた伝統的マシンがBSAゴールドスター。SRのカスタムイメージとしてもあまりにも有名な車両だ。

BSA ゴールドスター
ヤマハ SR400

78年に登場したヤマハSR400。オーソドックスなバイクの代表機種として、現在も改良を加えながら進化を続ける名車中の名車だ。

シングルのロードスポーツが衰退してからもオフロードの他の世界では着実に進化を続けた。中でもホンダXRシリーズは完成度の高いモデルだ。

ホンダXRシリーズ
モトクロッサー
モトクロッサー

今世紀に入り一気に4スト化の波が押し寄せたモトクロッサー。エンジンの進化は長らく定番だったフレーム構成にも大きな変化を与え、結果として車両は劇的な進化を遂げた。各界の追い風に乗って、ロードスポーツシングルにも再び進化の時代がやって来る!?

高性能オフロード車に見た夢

 強大なパワーとスピードを誇るマルチシリンダー車が時代の主流となっても、シングルエンジンは小排気量車やオフロードなど一部のカテゴリーで生き延びた。それは軽量コンパクトなシングルならではの利点が生かせるからだ。特にオフロードモデルでは各メーカーが新たにエンジンを開発し、コンパクトと高性能を追求してきた。どのメーカーも2ストモデルと4ストモデルを並行して開発・販売を続けていたが、2スト時代の終焉と共にそのメインストリームは4ストエンジンへと移行。
 しかしそこに壁となって立ちはだかったのが排ガス&騒音規制だった。多くのシングルファンは
「高性能オフのエンジンを積んだロードモデルが登場すれば……」
と淡い期待をしていたが、近年の4ストオフの代名詞だったオフ車ですら次々とカタログ落ちする中にあっては、そんな妄想が実現することは遂になかった。それどころか、肝心のベースとなるオフモデルすら消えていく状況……。
 そのせいか、90年代の4ストオフは現在でも安定した人気をキープするものの、かつてのモデルを探すしかないロードスポーツシングルファンの状況は変わらなかった。しかし、そんな中でようやく期待の持てるニューモデルが立て続けに登場することになった。その筆頭がCBRなのだ。

モトクロスの舞台での進化、そしてMoto GPも……

 オンロードスポーツの最高峰モデルがマルチシリンダー車となって以降、4ストシングルはオフロードの舞台で進化を続けた。20世紀では2ストローク全盛だったモトクロスも、今世紀に入ると環境的な配慮から4ストモトクロッサーがその主役となる。これを境に4ストシングルは劇的な進化を遂げることとなった。エンジンはレース用として極限までハイパワーを追求、さらにエンジン単体重量も恐ろしいほど軽くおさえられている。時を同じくして各車のフレームも、かつてはモトクロスには向かないとまで言われていたアルミフレームが実用化され、車体としても劇的に進化を遂げた。
 そうした中、今後の4ストシングルの進化について大きな影響をもたらすニュースが話題となっている。それがロードレース世界最高峰Moto GPに関する話題だ。実は、現在2ストロークエンジンが用いられている125ccクラスの規制が変更となり、2013年から4ストシングルが用いられることになるのだ。
 かつて世界各地でスーパーモノと呼ばれるシングルレースが一時的に盛り上がりを見せたが、いつしかその火も下火になってしまった。しかし世界最高峰のロードレース選手権でシングルマシンが凌ぎを削り、シーンが盛り上がれば、GPマシンのレプリカ的な市販車が出てきてもおかしくはない!ロードスポーツシングルの火が消えかかっていた現代に、いま猛烈な追い風が吹いている。4ストシングルの逆襲はまさにこれから始まるのだ!

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