2024/11/02 16:37:29 更新【オイル漏れ】ドゥカティモンスター400 エンジンオイル&フィルター交換、クラッチプッシュロッドOリング交換ドゥカティ モンスター400
エンジンオイルの定期交換でドゥカティモンスター400にご入庫いただきました。
前回のオイル交換ではフィルターを交換していません。 オイルフィルターはオイル交換2回毎に交換することが推奨されますので、今回はフィルターも交換します。 エンジンオイルは3,000〜5,000キロ毎の交換が推奨されます(原付は1,500〜2,000キロ毎) 自動車に比べればはるかに高い常用回転域のエンジンです。 それだけエンジンは多く高速で稼働しています。 単純に1分間のピストンの上下する回数は普通自動車の2〜3倍以上のオートバイのエンジンです。 オイルの劣化は自動車の比ではありません。 また、高速で稼働するエンジンの金属各部を油膜で保護して摺動させるためには、せん断性に優れた高性能のエンジンオイルが必要です。 多くのオートバイで採用される湿式クラッチの場合、エンジンオイルはミッションオイルも兼ねます。 こうしたことからオートバイ用のエンジンオイルに要求される性能レベルは大変高く、自動車用オイルよりも高性能なものになっています。
あまり乗らない方でも一度熱を加えられたエンジンオイルは徐々に劣化しますので、走行距離が3,000キロに満たない場合でも半年以内に交換が必要です。 一定の距離を走ったり、一定の時間が経過すれば各部の点検や調整が必要になります。 エンジンオイル交換の際には単なるオイル交換だけでなく、車両各部を定点観測的に点検しましょう。 灯火類やホーンは正常か。 サスペンション摺動部の錆やキズ、オイル漏れはないか。 ブレーキパッドの摩耗やディスクローターの状態はどうか。 タイヤの空気圧や摩耗状態な正常か。 ドライブチェーンのたるみ具合や注油状態はどうか。 その他、各部を目視にて点検できる個所はたくさんあります。 ぜひオイル交換は定期的に実施し、その際に車両各部を定期的に点検してください。
エンジンオイルを排出中に各部を点検すると、左側のチェンジペダル付近に油汚れが。 湿り気があるので比較的最近付着したオイルです。 どうやらオイル漏れ(滲み)があるようです。
シフトロッドからのオイル漏れを疑いましたが異常ありません。 オイルの流れをたどると、シフトロッドより上のクラッチレリーズ部分付近がオイルで濡れていました。
クラッチレリーズより上にはオイルの流れた跡がありません。 どうやらこのレリーズ付近からのオイル漏れのようです。
油圧でクラッチを操作するレリーズです。 比較的ドゥカティではこの付近からのオイル漏れ(にじみ)は見られる症状です。 まずはレリーズを取外してレリーズ自体のトラブルを点検してみます。
黒く付着している油分はドライブチェーンのオイルです。 レリーズはクラッチレバーを握ると油圧でレリーズ内のピストンが稼働する仕組みになっています。 点検したところこの油圧装置のオイル漏れはありません。
レリーズのピストンが動いて押し込むのがこの棒状のもの。 クラッチプッシュロッドです。 この棒を押し込むとエンジンを貫いた向こう側(車体右側)にあるクラッチプレートを可動させ、ううらっちが切れるという仕組みです。 クラッチプッシュロッドはエンジン内部を貫いていますので、そのままですとオイルが滲んできてしまいます。 その為、オイル漏れ防止のためにプッシュロッドにはゴム製のOリングが2つ備えられています。 これが劣化/摩耗し、オイルが滲みでてくるのです。
ドゥカティでは珍しくないトラブルです。 クラッチを握ってプッシュロッドが押されるたびにOリングは擦れます。 そうすれば摩耗します。 Oリングが摩耗し、痩せてくれば当然隙間ができてオイルが滲んできます。 経年劣化によりOリングは硬化してきますので、硬化すればより摩耗しやすくなりますのでオイルが滲んできます。 トラブルと言うよりも消耗品の使用限界が来たので要交換状態になった…というところですね。 オイル滲みが確認される前に交換しても良い部品ですが、どれくらい耐久性があるかと言われると回答にこまります。 クラッチの使用頻度によって消耗度合いは変わるためでハッキリとした交換タイミングは申し上げられません。
Oリングの劣化/摩耗によりオイルが吹きだしたり大量に漏れることはありません。 徐々に滲む程度でエンジンにダメージを与えることはありません。 従ってオイル汚れなどを見つけてからの交換で良いと思いますが、オイルで汚れるのは嫌だという方は1年に一度交換して良いかもしれませんね。 ちなみに4年も5年も無交換で問題ないお客様もいらっしゃいます。 この症状を早期に見つけるためにもオートバイを奇麗にしておくのが大事です。 汚れているとオイルの滲みは見つけられません。 小まめに洗車すればオイル滲みを見つけやすいですし、洗車をするからこそ車両各部を点検できます。 写真で比べるとOリングの太さが違うのがわります。 左が古い摩耗したOリングで、右が新品のOリングです。
プッシュロッドに装着して比較してもわかります。 左が交換前のOリングで、右が交換後の新しいOリングです。 2つのOリングを交換しレリーズを清掃してからもとに戻せばオイル漏れの修理は完了です。 この頃にはエンジンオイルも抜けきっていますので新しいフィルターを装着し、オイルドレン(排出)ボルトを締めてから新しいオイルを注ぎ入れます。
新しいエンジンオイルはミッツ・ハー公式推奨オイルのルブロス。 こちらのオーナーの車両にいつもご使用いただいているのはシリーズ人気ナンバーワンのMoto-SS 5W-50です。 100%化学合成油で、滑らかなな吹け上がりを体感でき、かつエンジンの保護性能に優れるコストパフォーマンスに優れたエンジンオイルです。 サーキット走行もカバーできるほどの幅広いシチュエーションで使える万能型エンジンオイルです。 APIの最高峰グループVに分類されるエステルと、グループⅣに分類されるPAO。 このトップ2グループをベースに使用しているのがルブロスMoto-SSです。
エステルは分子構造にマイナス極性の酸素物資を持つため、金属の摺動面に密着する性質を持ちます。 一般的なエンジンオイルは、通常6時間程度でピストンやシリンダーから流れ落ちてしまいますが、エステルがあると薄く均一な被膜が付着したままを維持できるため、金属の直接接触をある程度避けることができます。 また、エステルはもともとジェットエンジンの潤滑剤として開発されたため、熱安定性と化学安定性に優れ低粘度のベースオイルを使用できるだけでなく、低粘度でも摩擦を下げてくれるので馬力損失を少なくできます。更にせん断安定性、低温流動性、揮発防止性、洗浄分散性など数々のメリットがあります。 PAO(Poly-a-Olfin)は合成炭化水素とも呼ばれ、エチレンから製造される「a-オレフィン」を原料にし、重合反応と水素化処理によって精製されます。 粘度指数が高く、高温時においてはVHVIよりも厚い油膜を保持することが可能です。 ワックス分を含まないことから低温粘度特性にも優れ、低温時の始動性向上や暖気時間の短縮、省燃費性能に利点があります。 また、エステルの弱点とも言える耐久性も克服しています。
ベースオイルの最高峰エステルと、高性能を維持しつつ実用域におけるメリットや耐久性を高次元でバランスさせたPAOの組み合わせに、ルブロス最大の特徴である新開発ベースオイル“ナノパフォーマ”を配合。 1.オイル分子の細分化 2.オイル分子の均一化 3.オイル分子の結合力強化 これらの特徴を持つナノオイル分子は、オイルと金属の隙間を埋め、ベアリング効果や、密閉効果をより高める働きをします。 ●ベアリング効果 ベアリング効果によるフリクションが少なくなる結果として 1.油温上昇の抑制・安定化・低減 (摺動抵抗の軽減により、摩擦発生と酸化・劣化の予防) 2.高回転での伸びが良くなる (クリアランスを均一化して、摺動抵抗を軽減) 3.エンジン音を抑える ●密閉効果 密閉効果により吹き抜けを抑える効果として 1.パワーとトルクの上昇 2.ブローバイガスの減少 3.オイルの耐久性向上
Moto-SSは、高出力エンジンや高回転エンジンを搭載した高性能車に最適で、特にレスポンスを重視したライダーには最適なエンジンオイルです。 また、常に高回転となるスクーターにも最適な万能高級エンジンオイルです。 オイル交換後には下回りの洗浄を兼ねて、車両全体を洗車します。 この際、手であちこちを触ることになりますので、触診するかのうように点検が行えます。 破損個所や部品のゆるみ、欠品などを見つけることができます。 オートバイを奇麗にしていると今回のようなオイル漏れやトラブルを発見しやすくなります。 何よりも奇麗にしていると気持ち良いですね。 奇麗にするために洗車をすれば破損や欠品などの点検を兼ねることができます。 だからこそ、オートバイは小まめに洗車をしたいものですね。 定期的なオイル交換時には車両各部の点検を実施します。 乗っていなくても固着して劣化する箇所がありますので定期なオイル交換と点検が重要です。 奇麗で良好なコンディションを維持して楽しいオートバイライフをお過ごしください。