【始動不良】ドゥカティ SS900 スターターリレー交換(ミッツ・ハーの作業実績 2024/03/30)|バイクの整備・メンテナンス・修理店を探すなら【グーバイク(GooBike)】

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2024/03/30 18:59:35 更新【始動不良】ドゥカティ SS900 スターターリレー交換ドゥカティ SS900

作業実施日 2024/03/30

お出かけ先で始動できなくなり、レッカーで運ばれてきたドゥカティSS900が入庫です。 バッテリーは正常。 ついさっきまでは問題なかったのに突然エンジンスタートが出来ない… 焦りますね。 でも大丈夫。 落ち着いて原因を探しましょう。 まず考えられるのがヒューズ切れ。 ただこの車両はスターター(セルモーター)にヒューズはありません。 仮にヒューズが切れてたら切れていたで、なぜ切れたのか?どこかショートしてるんじゃないかと点検するのがたいへんです。

次に考えられるのがセルモーター内にカーボンが堆積し動かなくなっているパターン。 ミッツ・ハーの他のご常連のSS900ではよく見られる症状です。 セルモーター(正式にはセルフモーター)は給電ブラシ(整流子)と呼ばれるカーボン素材のブラシが組み込まれています。 鉛筆の芯のような四角柱の部品で、そのブラシを通じて大きな電気を流しモーターを回転させます。 スプリングで押し出されるブラシはアーマチュアという回転ローターに接触しており、その接触面から電気を流してモーターを回転させるのです。

ローターに接触しているブラシは回転によってすり減ります。 よくセルモーターがまわらなくなるとブラシを交換すると言いますが、ブラシは摩耗する部品なんです。 摩耗したブラシはカーボン粉として密閉されたセルモーター内に堆積します。 しばらく乗っていないとこのカーボンが固着し、電気の流れを阻害したりローターの動きを抑制するといった悪影響を及ぼすことがあります。 このような症状が出先で出た場合はセルモーターを外からコンコンと叩いてみましょう。 ドライバーの柄などで叩くと振動でカーボンがポロリと剥がれてセルモーターが動きます。 その為にドライバーのような、セルモーターを叩くための鉄棒を車載している人もいますね(笑) この場合、セルモーターを分解し清掃してあげる必要があります。 もちろんブラシが摩耗限界に達した場合は交換する必要があるでしょう。 今回もブラシを疑ってコンコンと小さなハンマーで打撃しますが始動しません。 というより、電気がまったくセルモーターに来ていない模様です。 なるほど…となればやはり…ということで問題の個所はリレーです。

セルモーターは強大な電力が必要なのでバッテリーから直接電気が流れるように直結されています。 もちろん直結されていればセルモーターは常に回りっぱなしになるので、途中でリレーを介しています。 リレーとはスイッチのようなもので手動で切り替えるスイッチのかわりに、電気をながすことでON/OFFを切り替えてくれます。 セルのボタン(スターターボタン)を押すとリレーに電気が流れ、バッテリーとセルモーターを繋ぐ主電源が直結されます。 この瞬間にセルモーターがまわるといった仕組みです。 バイクでいちばん大きな電流を必要とするセルモーター。 このリレーには一般的にマグネット式のリレーが使われます。 セルボタンを押すと「カチッ」という音とともにセルモーターが回っているはずです。 意識して聞いてるとわかるはず。

バッテリーから直結されているリレーには常時電気が流れてきています。 セルボタンを押すとリレー内のコイルが磁気を帯びて誘電棒を引き寄せ、リレーから先のセルモーターまで電気を流します。 セルボタンを指から外すとバネの力で誘電棒は戻され、電力は遮断されセルモーターの動きが停止する仕組みです。 今回、この車両はセルボタンを押してもリレーから「カチッ」という音がしません。 つまり反応していないのです。 こうなればリレーの故障を疑って良いと思います。 仮にカチッと音がしてもリレーが壊れていることもありますし、正確にはテスターを使って診断するのが確実です。

リレーは半永久的に壊れない部品ではありません。 日本では故障と捉えるかもしれませんが、ドゥカティの本国イタリアなど欧州では故障と言うよりも交換部品の交換時期になったと捉えるようです。 消耗品なんですね。 そのあたりは日本車に慣れていると戸惑うかもしれません。 これは乗り物に対する文化的な違いのようです。 電球が切れたときに日本でも「故障」とは思いませんよね? 電球切れは「消耗品が寿命を迎えた」と捉えます。 リレーのトラブルも日本的には「故障」と考えそうですが、欧州的には電球切れと同じように「消耗品の寿命」と捉えるようです。 そのあたりを理解していれば急なトラブルでも慌てることはないでしょう。

リレーを発注して交換すればすぐにエンジンは何も問題なかったかのように始動しました。 ちなみにドゥカティの純正リレーは日立製でした。 このリレー、秋葉原の電気街にでも行けば売ってるんでしょうか? 日本車では使ってるのを見たことがありません。 もっとも、形状などが違っても基本的な原理は同じですから流用できないわけではありません。 仮にメーカーから部品が供給されなくなっても、このあたりは流用が効きます。 ちなみにセルモーターのブラシの体積と同じように、リレーもコンコンと叩くと一時的に直ることがあります。 古くなってくると内部の動きが悪くなるんですね。 調子の悪い電化製品を叩くと直るという昭和的発想が現代のオートバイでも通用したりします。 面白いですね。 でも強くたたきすぎて壊さないように注意しましょう!

対象車両情報
メーカー・ブランド
ドゥカティ
車種
SS900
作業実績タグ

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