ドゥカティMonster695に車検、整備でご入庫いただきました。

車検前に各部の点検。 まずは車検に合格されるための整備を実施します。 光軸調整や排ガス測定といったあたりは車検時ならではの点検整備項目ですね。

この世代の空冷モンスターシリーズで苦戦することがあるのはヘッドライト。 実は左右の光軸調整ができないのです。 明らかに右向き（対向車向き）の光軸の場合は日常的にも支障がありますが、左向きだと普段は気にならないですよね。 でも車検時には左に向きすぎていてもダメ。 正しい範囲を照射しなくてはいけません。 その為の本来は上下左右の光軸を調整できる機能があるはずなのですがモンスターにはそれがありません。 よくこの状態で日本で新規登録できますよね… 今回もくるっていたのあの手この手で光軸をあわせて合格させました。

排ガス基準が制定された当初の空冷モンスターは、排ガス基準値内におさめるのも一苦労することがあります。 キャブレター車なら調整できますが、インジェクションモデルだとそれも一苦労。 そもそも初期のインジェクションモンスターは排ガスセンサーも備わっていないし… 事前に調整しておいたので今回も無事に合格です。

車検に合格したら終わりではありません。 現状では車検に合格しただけ。 ここから先はやるべき整備をやります。

ドゥカティはプラグの消耗が原因の好不調がすぐにわかります。 拭け上がりで息つきするような、バラツキがあるような、そんな違和感があればプラグは即交換です。 プラグメーカーによればそもそもオートバイは5000〜8000キロ程度でプラグは要交換となるそうです。 10000キロ、20000キロと無交換だった方もいるんじゃないですか？ 車種によってはプラグの劣化が走りで体感できない場合もありますが、ドゥカティはすぐにわかります。 どんな車両でも5000〜8000キロでプラグの交換を強く推奨します。

ブレーキフルードとクラッチフルードも交換します。 ブレーキフルードは吸湿性が高いので、あまり乗っていないくても定期的に交換します。 走行距離で管理するより、交換タイミングは期間で管理しましょう。 ちなみにブレーキフルードタンクは密閉されていません。 空気が出入りするようになっています。 なのでまったく乗っていなくても湿気を吸い込みます。 湿気の多い場所の保管はブレーキフルードだけでなく、オートバイのゴム製品を劣化させ金属を錆びさせるなど、決して良い環境とは言えません。 それでもそういった環境で保管せざるを得ない場合は早めのブレーキフルード交換、洗車、グリスアップ等の整備をおこないましょう。

ドゥカティならではの機構。 タイミングベルトの交換も行います。

20000キロ、または2年毎の交換が推奨されています。 さすがに20000キロで切れるものでもないですし、2年で劣化するものでもありません。 但し、これが切れると故障なんてレベルのトラブルではありません。 動いているピストンとバルブがクラッシュします。 エンジンに深刻なダメージを与えることになります。 電球が切れた！ ベアリングから異音が出た！ オイル漏れしだした！ これらはトラブルが発生してから対処しても大丈夫ですが、タイミングベルトだけは切れた瞬間にエンジンがクラッシュします。 ずいぶん交換していない方は20000キロに満たなくても交換しましょう。 逆に短期間で20000キロ走った人は30000キロ近くまで走行してもいいかもしれません。 このあたりはショップと十分に相談して納得のうえでオーナー様がお決めになられると良いでしょう。

交換したベルトはひび割れなどもなく、見た目では問題は何もなさそうでした。

エンジンオイルを交換し、車両各部を洗浄。 旧いグリスを洗い流し、新たに注油・グリスアップを行います。 ドライブチェーンのサイドプレートに若干の錆がありましたが、機能的には問題ないレベルです。 Oリングも正常。 洗浄して注油しておきます。

最後にマットブラックのボディにガラスコーティングを施工し作業終了です。