BMW R1150GS ADV のシート表皮の貼り替え作業を行いました。

元のシートは黒一色のシート表皮でした。 経年劣化で表面がつるつるしてしまい、乗っているとズボンの素材によってはツルっとすべり座り心地の悪いものでした。 おまけにちょうど座る位置に20センチほどの亀裂が入り、そのまま内部のアンコ（衝撃吸収用のスポンジ）まで劣化している状況でした。

このシート、ご覧のとおり燃料タンクのある前方が急激にせり上がります。 これがクセモノで一枚物のシート表皮では絶対に浮き上がってしまうのです。 純正のシート表皮はアンコと表皮を接着剤で貼り付けてなんとか形成して表皮を貼っていました。 このような状態だとまず古い表皮を奇麗に剥がすのが困難です。 アンコを痛めてしまいます。 新たな表皮に替える際も再び接着剤を使ったとしても奇麗に貼れるかどうかはわかりません。

シート張替の職人さんと相談し、旧い表皮は無理に剥がさずそのままにして、上から新しい表皮をかぶせることにしました。 幸いにも亀裂部分以外は凸凹している箇所もありませんし、もともとのシート表皮も表面に模様の無いものでしたので。

亀裂の部分を含めて座面はウレタン表皮を貼付けて養生し、その上から新しい表皮を貼ることにします。 シート前方のせり上がり部分はノーマルのように接着剤を使うことはできないため、浮き上がり防止策として表皮を分割。 1枚の表皮で張り替えるのではなく、複数の表皮を縫い合わせて立体形成する手法をとります。 縫い目が増えますのでお客様に予め確認と了承を得ました。

どうでしょう？ 今回はお客様のオーダーで2トーンのカラー表皮で仕上げています。 サイド部分は赤で、座面はグレー。 もともとは黒一色のシートの雰囲気がずいぶんかわりました。 もちろんオートバイに装着すると、オートバイ自体の雰囲気がかわります。 シート表皮は様々な色だけでなく、素材も異なりますしデザインも異なります。 シボの大きさが違うもの。 すべり止めのエンボス加工がされたもの。 エナメル調やオーストリッチ調のもの。 縫い目を入れてそのステッチを好きなカラーにすることもできますし、パイピングをつけることもできます。 黒いシートに赤いステッチなんてカッコいいですよ。 新たなシート表皮は柔らかく乗り心地が良くなるばかりか、すべりにくくカッコ良くなる、とても実用的なカスタムだと思います。 ご興味ある方はお気軽にご相談ください。