この新しいストリートファイターを、単なる高性能ネイキッドモデルだと片付けてはいけない。何しろこいつは、ドゥカティのフラッグシップであり、スーパーバイク世界選手権でも無敵の強さを誇る1098(最新型は1198に進化しているが)を、ネイキッド化したハイパーネイキッドなのである。
スペックに注目してみれば、最高出力は1098より5馬力低くても155馬力を誇り、車重は10kgも軽いのだ。1198比では2kg軽いだけだが、それでも167kgという軽さで、ネイキッドモデルとして無類のパワーウェイトレシオを誇る。
もちろん、車体はホイールベースを伸ばし、キャスター角を寝かせ安定指向とし、エンジン特性もトルクの立ち上がりがスムーズなものへと調教されているから、振りまわされるようなことはない。
とは言え、基本は1098だから、走りはエキサイティングそのもの。まさに、ネイキッドスタイルで乗るドゥカのスーパーバイクと言ったところだ。
しかも、1098に負けないぐらいに、マシンはライダーにコントロールを要求してくる。ただし注意しないと、アップライトで下半身にも余裕があるライポジは、気持ちがツーリングモードに陥りそうになる。そのため、たびたび渇を入れ、気持ちをスポーツモードに入れ直す必要がある。
マシンなりに曲がってくれるだろうと甘い期待を持っていてはダメで、フロントに移した荷重を逃がさず曲げて、そしてリヤに荷重していくという積極的なコントロールが求められる。
ともかく、アップハンドルのネイキッドバイクで、走行風を身体に受け、ダイナミックに体重移動していく走りは、いかにもバイクを操っているという迫力と面白さに満ちている。
ここのところ、商品もユーザー層も幅を広げているドゥカだが、一方でマニアックなマシンを送り出すことにも余念がないようだ。こいつは硬派好みのドゥカにあっても、スポーツ度の高さが際立つマシンである。
|