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今やその性能と品質で、日本メーカーのバイクが確固たる地位を築いていることは疑いようもない。しかしボクたちは、排気量やタイプをそろえた国産メーカーのありがたみを知っていながら、「哲学」、「デザイン」そして「伝統」と「伝説」を重んじる海外メーカーのモデルに引き寄せられるのもまた事実。明確な「個性」という武器に、ボクたちは強いあこがれを持っていたりする。
なかでも、走りに関しては天性の魅力を持つイタリアン2台で晩秋の1日を過ごし、そのへんの魅力の検証を試みたのである。
まずはモトグッチのV11コッパイタリア。グッチ伝統の空冷縦置きOHV2バルブエンジンは、'65年にモトグッチがV7というモデルを投入して以来、40年も基本スタイルを変えずに熟成された同社の顔だ。このエンジンが生み出すドドドドドっという振動と活発で息の長い加速は、2500回転からレッドゾーンまでどのギヤでも堪能できる独特の世界を味わえる。
ボディはきれいなイタリアンカラーをまとい、足まわりにはぜいたく感をくすぐるオーリンズのサスペンションとブレンボブレーキを装備する。カフェバイクのスタイルコンセプトだが、21世紀の今をきっちり封入してみせているデザインはさすが。
片やドゥカティである。ボローニャから世界ブランドへと上り詰めたこのメーカーは、世のスピード狂の心を隅々まで熟知し尽くしている。
今回連れ出した999Rの雄姿を見てほしい。カーボン製フェアリングに、アルミ製タンク、鍛造アルミ製ホイールのスポークの細さと、'03年のワークスSBKチームが使ったものと同じデザインのパネル式スイングアーム。エンジンも999や999Sとは別モノで、ビッグボア&ショートストロークのレース対応型となる。まさにホモロゲーションマシンなのだ。
その走りは、路面に吸いつくような接地感と、タイヤの接地点にじんわりと荷重をかけるような見事にバランスされた車体。そして、振りまわしやすい軽さと、頑固さとは無縁の安定感。一見矛盾するこうした要素を、まさに高いバランスで融合させているのだ。エンジンが繰り出すパワーは、たしかにパワフルだが、荒ぶれたところがなく、どこからでも開けやすい。それでいてそのパワフルさはライダーに孤高感を存分に堪能させてくれる。
370万円とプライスは高価だが、細部まで端正に造られたパーツを見ると、納得である。ドゥカティのキャラクターをもっとも密接に示しているモデルがこの999Rでもあるのだ。
結論として、イタリアン2台が見せた明快さこそ、いうまでもなく輸入車の魅惑に直結するのである! |
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