~スーパーカブでサハリン縦断~ 中村 友彦

「行けるならいつだって行きたい。やっぱり生きてるって実感するよね」~スーパーカブでサハリン縦断~
中村 友彦

中村 友彦(なかむら ともひこ)

第二次大戦前に生まれた旧車から最新スーパースポーツまで、あらゆるバイクに興味を示す。雑誌業界23年目のフリーランス。昔から大のツーリング好きだが、ここ最近は85年型TZR250で、各地の草レースに熱心に参戦中。

未舗装路もなんのそのカブは最高の相棒

「確か2010年頃の夏だったと思います。仲の良いカメラマンの山内さんがいろんな国を旅行していて、とても軽い気持ちで一緒にサハリンをバイクで旅することにしたんですよ」
 中村氏が選んだバイクは50ccのスーパーカブ。軽くて、壊れず、低燃費。見知らぬ国を旅するのにこんなに気楽なバイクは他にない。
「当時は稚内からサハリンに渡れる船があったんです。なので東京の自宅から北海道までクルマで行って、バイクだけ船に積んでサハリンに上陸しました。南の端から北の端まで約1000kmで、その半分以上が未舗装路でした。免許もナンバーも日本のものが使えたんですが、言葉が全くわからなかったのがキツかった。すごく体格がよくて、タトゥーだらけのチンピラに絡まれてお金を盗られそうになったり。道の真ん中に大きな穴が開いていて、バイクが跳ねて道の脇の排水溝に落ちたり。あとヒグマもいましたよ。追いかけられたら逃げられないから、写真はありませんけど(笑)」
 二週間の旅から自宅に帰り着いたときは、まるで戦場から帰ってきたかのような安心感があったという。
「家もご飯もあって言葉も通じる。あぁ、これで今日から何も心配しなくていいんだって。でもやっぱり、行けるのならまたいつでも冒険に行きたいって思っちゃいますね」

パンクは想定の内

道が悪くパンクは想定の内だったとのこと。当然のようにパンク修理に使う工具やチューブは携帯しており、その場でパンク修理を行った。

川渡り

一番の難所と言われた峠にはこんな川渡りも。「そんな深くなかったんですよ」と中村氏は言うが、写真ではどう見ても水没必至・・・。

列車にバイクを積んで折り返し

帰り道は列車にバイクを積んで折り返し。こんな積み方ができるのもカブだからこそ。もちろん列車にバイクを積めること自体が、海外ならではの風景だ。

中村友彦の冒険マシン

HONDA Super Cub 50

HONDA Super Cub 50

とにかく軽く、壊れない。どんな狭く荒れた道でもカブだったらどうにかなる、と中村氏。燃費もとても良いため、持っていった携行ガソリン缶も使うことなく旅を終えることができたという。
新車価格:21万5000円(税抜)
中古相場:5.2万円~24.8万円

HONDA NC750X

HONDA NC750X

冒険心をかきたてるクロスオーバーモデルでDCTもラインナップ。「燃費が良いし、ヘルメットが収納できる、とても使い勝手の良いマシン。まるで大きなスーパーカブです」と中村氏。
新車価格:81万9000円(税抜)
中古相場:36.8万円~80万円

※中古車相場価格はグーバイク調べ(2020年3月)。

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