~日本人初・サハラ砂漠縦断~ 賀曽利 隆

「地平線から太陽が顔を出すと今日も一日生き延びたことを実感する」~日本人初・サハラ砂漠縦断~

「生きていることを実感した」というサハラ砂漠の夜明け。
こんな何もないところでシートを敷き、寝袋にくるまって夜を明かした。

賀曽利 隆

賀曽利 隆(かそり たかし)

1947年東京都中野区生まれのフリーライター。1968年にバイクで2年かけてアフリカ一周を成し遂げ、その後世界6大陸を旅し続ける「生涯旅人」。これまで世界136ヶ国、160万kmを走破し、2017年11月に納車されたVストローム250は走行距離12万kmを超えている。

サハラ縦断を叶えてくれたハスラーは特別な一台

 賀曽利氏は1968~1969年にかけて、スズキのTC250でアフリカ大陸一周を成し遂げた。出発はまだ二十歳の時のことだ。しかし当初、サハラ砂漠を越える計画だったが、現地に行ってみると砂漠の恐怖に打ち勝つことができず、どうしても立ち入ることができなかったと言う。
「1968年の旅ではバイクで砂漠を越えることができず、列車や船を使って迂回してしまったんです。だから22歳で帰国したあと、サハラ砂漠への後悔が残ってしまいました。しかし、1960年代後半になると日本でも本格的なオフロードバイクが発売されるようになり、スズキのTS250ハスラーで、改めてサハラ砂漠縦断にチャレンジすることにしたんです」
 二度目の大冒険は1971~1972年、アジア大陸とアフリカ大陸を横断し、ナイジェリアのラゴスに到着。そこからいよいよサハラ砂漠に入る。目指すは約5000km北、アルジェリアの首都アルジェだ。
「砂漠だけで、2500kmくらいあるんですよ。アルジェまでは約一ヶ月くらいかかりましたね。砂の上のクルマのタイヤ跡をフォローしながら走っていくんです。これを見失ってしまうと一発で遭難してしまう。
 食事はパンと水だけ。乾燥しているからパンがカチンコチンになって、食べると口の中が切れて血まみれになっちゃうんです。ところどころにあるオアシスでナツメヤシの実を買って食べるんですけど、オアシスとオアシスの間が長いと1000kmもあるので、うまく繋いで走っていくのが大変でした。
 極力荷物は軽くしたかったので、テントも積まず、夜はシートを一枚敷いて寝袋で寝ました。昼は50度もあるように感じる暑さなのに、砂漠の夜は0度くらいまで落ちるんです。そして夜中に寒くて目を覚ますと、当然だけど物音が何もしない。完全な静寂が怖くて、一人で大声で叫ぶんです。それでちょっと安心してまた寝る。夜明けが近づいてくると空に綺麗なグラデーションができてきて、やがて地平線からポッと明かりを灯したように太陽が顔を出す。そこで、無事に一日を生き延びたことに感動するんです」
 80年代に入るとパリ・ダカール・ラリーの人気もあって、賀曽利氏の後を追ってサハラ砂漠縦断に挑戦する日本人ライダーが数人いた。しかし、1991年からアルジェリアでは内戦が勃発。入国できなくなってしまうのだった。
 賀曽利氏はその後も、風間深志氏と共にキリマンジャロに挑み、パリ・ダカール・ラリーに出場するなど、数々の冒険を繰り広げた。そして70歳を超えた現在でも、ツーリングマップル東北編の編集に携わり、愛車Vストローム250と共に日本中の道を走り回っているのだ。

アルジェリアの北回帰線

アルジェリアの北回帰線。北緯23度26分に位置し、夏至の日に太陽がこの真上にくる。ここから太陽は赤道へと南下していく。回帰線は地球の軌道の変化によって毎年微妙にその位置を変える。

サハラ砂漠を縦断した時の装備

1971~72年に初めてサハラ砂漠を縦断した時の装備。バイクはSUZUKIのTS250ハスラー。ハスラーという名は、今も賀曽利氏にとって特別な意味を持つ名前だという。

ホガールルート

賀曽利氏は2004~2005年にもサハラを訪れている。写真はアルジェリアのタマンラセットからニジェールのアガデスまでの960kmを結ぶホガールルート。この時の相棒はDRZ-400S。

賀曽利隆オススメの冒険バイク

SUZUKI TS250

SUZUKI TS250

日本で初めて本格的なオフロードバイクが販売され始めた60年代後半、賀曽利氏がサハラ砂漠へのリベンジを誓って旅立つタイミングに、まるで運命のようにTS250ハスラーは登場した。
中古相場:29.7万円~77万円

SUZUKI TS50

SUZUKI TS50

ハスラーへの思い入れから、なんと50ccのTS50でも世界一周を成し遂げた賀曽利氏。北アメリカ、ヨーロッパ、アジアを周り計25000kmを走破。また、このマシンでの日本一周も二度行っている。
中古相場:14.7万円

SUZUKI V-STROM250 ABS

SUZUKI V-STROM250 ABS

御歳70を過ぎた現在の愛車はVストローム250。2017年11月に納車されてから二度の日本一周を共にし、現在の走行距離は12万kmを超える。「生涯旅人」というポリシーを支えてくれる大切な相棒だ。
新車価格:55万8000円(税抜)
中古相場:36.62万円~59.29万円

※中古車相場価格はグーバイク調べ(2020年3月)。

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