ヤマハが「クロスプレーンコンセプト」を謳ったのは、'04年発売のYZR-M1が最初だった。そもそもの由来は、4つのクランクピンが作る平面が「十字」を成すことにあって、転じてそれは現在、燃焼トルクがみずみずしく感じられて、かつコントロール性に優れるエンジン特性のことを指している。
そのアイデアを3気筒にも盛り込んで開発したのがMT-09だ。エンジンとは別に、とくに重要視したのが車体の“軽さ”の実現で、'14年型の車重188kgという数字は当時の併売モデルFZ8よりも23kgも軽量だった。「ライディングポジションの自由度も高く、豊富なストローク量を持つ前後サスペンションが絶妙なピッチングをすることで、ライダーは早い段階から自信を持ってコーナーを攻めていける」とは二輪ジャーナリストの中村友彦氏の弁だが、とくにそのコントローラブルなエンジンの出力フィールには感心することしきりだという。
「MT魂を忘れるな」の心意気に感じたたくさんのヤマハファンが、いまのMT人気を支えている。
全長×全幅×全高=2075×815×1120mm、ホイールベース1440mm、シート高820mm、車両重量193kg、水冷4ストロークDOHC並列3気筒845cc、最高出力116ps/10000rpm、最大トルク8.9kgm/8500rpm、燃料タンク14L、価格=100万4400円 スペックは現行モデル