Since 2014 MT-09 外装変更、出力アップし 2017年に第二世代へと進化

Since 2014
MT-09
外装変更、出力アップし
2017年に第二世代へと進化

 ヤマハが「クロスプレーンコンセプト」を謳ったのは、'04年発売のYZR-M1が最初だった。そもそもの由来は、4つのクランクピンが作る平面が「十字」を成すことにあって、転じてそれは現在、燃焼トルクがみずみずしく感じられて、かつコントロール性に優れるエンジン特性のことを指している。

 そのアイデアを3気筒にも盛り込んで開発したのがMT-09だ。エンジンとは別に、とくに重要視したのが車体の“軽さ”の実現で、'14年型の車重188kgという数字は当時の併売モデルFZ8よりも23kgも軽量だった。「ライディングポジションの自由度も高く、豊富なストローク量を持つ前後サスペンションが絶妙なピッチングをすることで、ライダーは早い段階から自信を持ってコーナーを攻めていける」とは二輪ジャーナリストの中村友彦氏の弁だが、とくにそのコントローラブルなエンジンの出力フィールには感心することしきりだという。

「MT魂を忘れるな」の心意気に感じたたくさんのヤマハファンが、いまのMT人気を支えている。

全長×全幅×全高=2075×815×1120mm、ホイールベース1440mm、シート高820mm、車両重量193kg、水冷4ストロークDOHC並列3気筒845cc、最高出力116ps/10000rpm、最大トルク8.9kgm/8500rpm、燃料タンク14L、価格=100万4400円 スペックは現行モデル

MT-09

※写真は2017年モデル

MT-09-1

燃焼トルクをダイレクトに感じさせる「クロスプレーンコンセプト」のエンジンによって、ライディングは高いレベルでコントローラブルだ。軽量なボディと自由度の高いライポジも大きく貢献している。

MT-09-2

クランクシャフトの位相角は、この形式のエンジンとしては一般的な120度だが、コンパクトな燃焼室や電子制御スロットルなどにはヤマハ独自の技術が投入されている。

MT-09-3

2014 MT-09

新車価格●100万4400円

中古相場価格●51~97.8万円

スーパーモタードの要素を採り入れた車体に、「クロスプレーンコンセプト」を謳って開発された並列3気筒を搭載するMTシリーズの第2世代ロードスポーツ、切り込み隊長。フレームとスイングアームにはヤマハ独自のCFアルミダイキャスト製がおごられている。

MT-09-TRACER

2015 MT-09 TRACER

新車価格●106万9200円

中古相場価格●65.99~110万円

MT-09の基本骨格はそのままに、クロスオーバーモデルとしての装備を充実させた「スポーツマルチツール」コンセプトの前後17インチモデル。純正オプションで選べる豊富な旅装備も魅力だ。ABS、ON/OFF付きトラコン、12VDCソケットが標準装備される。

Since 2014
MT-07
スタンダードの名こそ相応しい
MTシリーズきっての人気モデル

 MT-09からマイナス1気筒、排気量もマイナス157cc、それがMT-07だ。約700ccものスペックがあればスポーツバイクとして一人前に成立しているにもかかわらず、「弟分」と呼ばれてしまうことに本人(MT-07ね)の歯ぎしりが聞こえてきそうなのは筆者だけではない。09を選ばずに07を購入したオーナーのみなさん!あなたはまったく間違っていない。07には07でしか得られない快感フィールが満載なのだから。

 少々力んでしまったが、07の乗り味に感じるライダーは多い。要点はシチュエーションや速度域を選ばないオールラウンダーっぷりだ。短めに設定したスイングアーム、狭くしたフォークスパン、開度を広くしたスロットル、後方にレイアウトしたエンジン、前方に設置したステップ・・・まるで前時代的な手法ばかりだが、これが総じて07の際立った個性を作っているのだから愉快きわまりない。

 くどいようだが兄弟はまったく似ていない。そのことだけは分かってほしい。

MT-07

全長×全幅×全高=2085×745×1090mm、ホイールベース1400mm、シート高805mm、車両重量179(ABS:182)kg、水冷4ストロークDOHC並列2気筒688cc、最高出力73ps/9000rpm、最大トルク6.9kgm/6500rpm、燃料タンク13L、価格=76万320円(ABS仕様)、71万640円(スペックは現行モデル)

MT-07-1

1

軽さとシンプルさを追求したスチール製バックボーンフレームに搭載されるのは、クロスプレーンコンセプトに則って全面的に新設計された270度位相クランクの並列2気筒エンジン。38mm径のスロットルは各気筒独立式となっている。

MT-07-2

2

プレス成型した高張力鋼板を溶接で組み上げたスイングアームは、現代のミドルネイキッドとしては珍しい左右非対称型だ。

MT-07-3

高剛性フレーム=絶対的正義、というマッチョな考え方をあらためて臨んだマシン開発が功を奏して、07には旧来のバイクに備わっていた“親しみやすさ”を再び手に入れることに成功している。

2017 MT-07-4

2017 MT-07

新車価格●71万640円

中古相場価格●43.61~69.9万円

トラクション重視の特性を持たせた270度クランクの、水冷2気筒エンジンを搭載するスポーツネイキッド。MTシリーズにあって09の弟分と言われがちな07だが、こんなに中身が似ていない兄弟も珍しいだろう。スチール製のフレームは柔軟性が持ち味だ。

※中古車相場価格はグーバイク調べ(2017年2月)。

バックナンバー

もっと見る