
- TCSのON/OFFやモード切り替えは手元のスイッチで操作する。GSX-S1000ではトラクションコントロールスイッチ、FJR1300ASはメーターディスプレイ表示で確認し、切り替える。いずれにしても表示機能がある。

クリスのひとこと
ハードな走りのときだけじゃなく、通常走行でも安全性を高めてくれる。
GSX-S1000の場合
- モード1
- スポーツライディングに適した介入度となるモードで、トラクションコントロールシステムのサポートは最小限。
- モード2
- 一般走行に適した介入度で、ドライ路面のときの市街地走行やツーリングに最適。したがって通常はモード2だ。
- モード3
- ホイールスピンをもっとも敏感に察知して介入するのがモード3だ。雨の日や未舗装路の走行で安心走行を支える。
- OFF
- トラクションコントロールシステムをオフにすることも可能。テクニックの高いライダーによるサーキット走行向き。
FJR1300ASの場合
- ON
- 発進や加速時に後輪のホイールスピンの兆候を検知すると、エンジン出力を制御し、滑らかな発進性、走行性をサポート。
- OFF
- モードスイッチの操作によってトラクションコントロールシステムをオフにすることも可能。ディスプレイ表示で確認できる。
路面状況に関係なくバイクを前進させられる
電子制御なんていうものが一切無かった昔のバイクだと、たとえばコーナーの立ち上がりでアクセルを開け過ぎてリアタイヤがホイールスピンを起こして転倒してしまった、なんていうことがよくあった。また、雨で路面が濡れていたり、マンホールなどの上でアクセルを開けたらリアタイヤが滑ってしまった、というようなことも少なくなかった。トラクションコントロールはそうしたホイールスピンを抑制するシステムだ。
仕組みは、センサーがリアタイヤの空転を検知すると、ECUがエンジンの出力を制御し、的確にタイヤがグリップするよう、つまりトラクションがかかるようにして、安全な走行をサポートするものだ。
FJR1300ASのような、重量慣性が大きくエンジン出力も高い大型バイクの場合、リアタイヤの空転によってバランスを崩すと転倒につながるリスクが大きい。とくに雨の日や未舗装路など、滑りやすい路面状況では、アクセル操作にも気を遣う。だが注意していてもホイールスピンさせてしまうことは少なくない。トラクションコントールシステムがさまざまなシーンで安全走行を支えてくれるのは確かだ。
また、GSX-S1000のようなスポーツモデルでは、トラクションコントロールの介入度を選択出来るモデルもある。これは走行状況によって、ある程度スリップさせたほうが自然な場合もあるからだ。もちろんシステムをオフにすることも可能だ。