ビッグツイン最大の魅力はバリエーションに富んでいることだろう。色々なレイアウトのエンジンがあり、それぞれがフィーリングも特性も違う。だから我々二輪好きは「どれがいいんだろう」、「あれにも乗ってみたい、これにも乗ってみたい」と心を惑わせられ、ワクワクさせられる。ツインにはとても個性的なマシンが多い。実はこれには理由がある。
ビッグツインを大事に育ててきたのは欧米のメーカーである。20世紀半ば、高性能化でシングルからツインへと移行していった時、それぞれのメーカーは独自に考えたレイアウトで勝負をしようと考えた。BMWの水平対向、ドゥカティのL、モトグッツィの縦置きV、ハーレーの狭角V、トライアンフのバーチカルなどがその典型。そうやって自分達の作り上げたエンジンを大事に育ててきたのである。
日本勢がマルチシリンダーのパワーで世界を席巻しても、欧米メーカーは時代に合わせた技術を取り入れるだけで、その基本的なデザインを崩すことはなかった。日本と同じマルチで勝負するのではなく、自分達の作ったエンジンを良くすることだけを考えて進化させてきたのである。このようなかたくなな姿勢と、自分達のエンジンに対する愛情が、長い時間をかけて熟成されていくことで、個性的なフィーリングのビッグツインを作り上げていくことになったのである。
最近になって二輪が性能だけでなくフィーリングも重要視されるようになると、再びツインが注目されるようになった。その結果、伝統的なツインに加えて、最新の設計で生み出されたツインが加わるようになったのである。だから今、ビッグツインは新旧入り乱れて非常に数が多い。
速いマシン、遅いマシン、鼓動感のあるマシンやマルチの様にスムーズに走るマシンなど、ツインは多種多様。その中には、きっとアナタの理想に近いマシンもあるはずなのである。