ネオクラシックという言葉の響きから、ただの懐古主義的なモデルかといえば然にあらず。見た目は60年代、70年代当時のスタイルをモチーフにしているが、そこに最新の技術を盛り込むことで、走りはもちろん環境性能にも配慮している。 クラシカルなスタイルは好きだけれど、本物の旧車だとメンテナンスの部分で不安が残る。そんな人にもお薦めのカテゴリーだ。 ただ、ネオクラシックに対するメーカーの考え方はそれぞれ。例えばカワサキは、現在の技術で昔の鼓動感あふれる走りを楽しめるような作りをしているのに対し、トライアンフはクラシックスタイルを引き継ぐも、鼓動感の少ない、スポーティな走りを信条としているなど、メーカーの個性が反映されている。 とはいえ、比較的乗りやすいフレンドリーなモデルが多く、流行に左右されない落ち着いた雰囲気から、一台の車両にじっくりつきあえる良さも持ち合わせる。 このようなモデルの性格から、中古市場には比較的穏やかに乗られていた車両が多く、走行距離は多めだが、程度の良いモデルもまだ多く存在する。
KAWASAKI W800 カワサキ W800
往年のWシリーズの佇まいを感じさせるバーチカルツインエンジンが魅力のW800。W650で人気だったスタイルはそのままに、エンジンや足周りをアップデートし、新時代のWとして生まれ変わった。
平均価格 83.4万円
排気量を800ccまで拡大し、FIを搭載したニューW。大幅なトルクアップによって、ビッグツインらしさを手に入れた。
DUCATI GT1000ドゥカティ GT1000
DS(デュアルスパーク)エンジンを搭載するGT1000は、非常に滑らかでトルクフルな特性が魅力の一台。往年のGTシリーズのデザインを巧みに再現したデザインワークはさすがドゥカティといえる。
平均価格 118.6万円
MOTO GUZZI V7 CLASSICモトグッツイ V7クラシック
往年の名車V7シリーズがそのまま現代に蘇ったかのようなフォルムを持つV7クラシック。シンプルかつ洗練されたスタイリングはカフェレーサーベースとしてもバツグンの一台といえる。センス良く乗りたいイタリアンバイクである。
平均価格 98.3万円
HONDA CB1100ホンダ CB1100
冷却フィンの薄さにまで拘って空冷エンジンを設計したホンダ。CB1100は、往年のCBの雰囲気をどこかに漂わせながら、新時代にフィットする技術・品質で登場したネオクラシック。違いの分かるオトナの乗り物、といったスタイルだ。
平均価格 91.5万円
ピッチの細かい空冷フィンは、設計陣が形状や薄さにまで拘ったもの。その甲斐あって、現行空冷モデルではトップクラスの造形美だ。
TRIUMPH BONNEVILLE T100トライアンフ ボンネビルT100
かつての名車T120ボンネビルをイメージしたカラーは、当時を知らない若者にも受け入れられるポップさを備えている。長年作られているモデルのため、車体の熟成度はピカイチで、初心者から上級者まで楽しめる一台だ。
平均価格 112.8万円
別体ミッションエンジンを思わせるクランクケース。キャブレター風カバーの中にインジェクターを収めるのも拘り。
NORTON COMMANDO 961 SEノートンコマンド 961 SE
大英帝国の二輪黄金期を飾ったノートンコマンドが遂に復活を果たした。OHVツインにFIを組合せ、現代的な足周りを手に入れた新生コマンドは、日本導入も決定している車両だ。一味違う英車に乗るならこれ!
平均価格 299.25万円
オーリンズの前後サスペンションや軽量ホイールなど、走りの装備はまさに最新式。そのポテンシャルはかなり高そう。
BMW R1200R BMW R1200R
最新ボクサーツインを搭載するR1200Rは、BMWのスタンダード・ロードスポーツに位置づけられる。扱いやすいエンジンと心地よい鼓動は、長く乗っても飽きない魅力を備えている。BMW入門には最適の一台であろう。
平均価格 156.4万円
長年に渡って進化してきたボクサーエンジンは、唯一無二のレイアウトと味わいを持つ。一度乗ると病みつきになる不思議なエンジンだ。
KAWASAKI W650カワサキ W650
排気ガス&騒音規制を理由に生産を中止したW650。大排気量の本格的クラシックとして、性別・年齢問わず数多くのライダーに浸透したバイクだ。中古価格はまだまだ高値安定傾向にあるといえるだろう。
平均価格 53.4万円
TRIUMPH SCRAMBLERトライアンフ スクランブラー
トライアンフには、かつてトロフィーシリーズと呼ばれるストリートスクランブラーが存在した。その現代版がこのスクランブラーである。その気になればダートにも行けるが、このスタイルで街を流すのがクールなのだ。
平均価格 105.2万円
1996年以降、一大カテゴリーに成長したビッグネイキッド。見た目の大きさとは裏腹に、扱いやすいジャパニーズスタンダードがメインストリームとなり、カテゴリーを牽引する一方で、より速さを求めた結果、海外からは新たなスタイルとしてニューエイジが誕生。そして、よりトラディショナルな魅力を追求したネオクラシックも登場するなど、ビッグネイキッドのなかでも細分化はどんどん進んでいる。 このカテゴリーが一貫して多くの支持を得ている理由として、アップライトで使い勝手のいいポジション、走るステージや乗るファッションを選ばない自由なところが挙げられるだろう。ただ、このようにマルチに使える特性から、なかには、個性がなく面白くないなどとビッグネイキッドを批判する人もいるが、それは違う。 むしろ、使い方を限定されていないから、もっとも楽しめる可能性を秘めているカテゴリーなのだ。豊富なアフターパーツでカスタムを楽しむのもいいし、ツーリングやサーキット走行に興じるのもいいだろう。そう、実際に楽しめるかどうかはユーザー次第。 ビッグネイキッドがさまざまに進化、細分化をしてきたように、自由な発想でビッグネイキッドを楽しんでほしい。そうすれば、バイクライフをより深く、より長く楽しむことができるだろう。
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