2024/10/27 16:42:14 更新【車検整備】ヤマハSR400 車検ヤマハ SR400
ヤマハの人気ログセラーモデル SR400ファイナルエディションの車検をご用命いただきました。
40年以上も大きなモデルチェンを行わず、ロングセラーとして人気となったヤマハSR スタンダードとも言えるオートバイらしいスタイルは古臭さを感じさせません。 流行に左右されないスタイルだからこそと言えますね。 他店で購入されたお客様の車両で、お引越しにより関東地方へお越しになられたオーナーがインターネットで検索され、当店に車検を依頼してくださいました。 低走行で高年式ですので心配な点はありませんが、この度の車検のタイミングでエンジンオイル交換とブレーキフルードの交換をご依頼いただきました。
本来は無色透明のブレーキフルードが茶褐色になっています。 フルードタンク内は脱気孔があり、空気が出入りする構造になっています。 ブレーキフルードは吸湿性が高く、大気中の水分を吸湿してしまいます。 その為、距離とは関係なく定期的にブレーキフルードは交換が必要です。 1年〜2年毎の交換が必須で、湿気の多い場所に駐車している方は特に早めの交換が必要です。 油圧ブレーキはこのフルードでブレーキキャリパーのピストンを押し出してブレーキを効かせます。 ディスクブレーキは摩擦によって制動させる仕組みで、この際に熱を発生させます。 この摩擦熱がキャリパーピストンから伝わってブレーキホース内のフルードも熱してしまいます。 水分が沸騰すると気泡が発生して、フルードの押し出す力が泡に吸収されてしまいます。 これがペーパーロック現象です。 それを防ぐためにブレーキフルードは沸点を高めています。 一般的なDOT4規格なら沸点は230℃以上です。 しかしながら吸湿してしまうとこの沸点が低下します。 危険なペーパーロック現象を防ぐためにも、早めの定期交換をしましょう!
SR400のエンジンオイル循環方法は「ドライサンプ」式です。 これはSRのベースがオフロードマシンXT500であることに由来しています。 ドライサンプ式はエンジンオイルのタンクがエンジンとは別の場所にあります。 部品点数も増えますし、タンクを別の場所に設置しなくてはいけないデメリットはありますがオイルの放熱性に優れ、エンジンのコンパクト化にも寄与します。 オンロードマシンに多く採用されるウェットサンプ式はエンジン下部(クランクケース下部)にオイルをためてくオイルパンがあります。 この方がエンジンの部品点数もすくなくなりシンプルな構造になりますし、低重心化も図れます。 オフロードマシンは荒れ地を走りますので岩などでエンジン下部を傷めないように最低地上高を多めに確保する必要があります。 従ってオフロードマシンはエンジン下部にオイルパンを設置する必要のないドライサンプを採用することが多いのです。
ドライサンプ式のSR400はオイルを排出する箇所が2箇所あります。 オイルタンクを兼ねるフレームに1箇所。 そうなんです。 SR400はベース車のXT500ゆずりでフレームの中空部をオイルタンクに活用しているのです。 これならオイルタンクをどこかに設置する必要はなく、フレームを少し太めにすればいいだけなんです。 もう一箇所はエンジン下部のクランクケース側。 フレームのオイルタンクからエンジンにオイルが送られて循環しています。 つまりエンジン側のオイルの抜いてあげる必要があり、その為の排出(ドレン)ボルトが備わっています。 片側だけでなく、両方からオイルを抜きましょう。
使用するオイルはミッツ・ハー公式推奨エンジンオイルのルブロス。 ルブロスのオイルラインナップはぜんぶで5種類。 ① Moto-Synthe…原付や実用車などに使用するベーシックオイル ② Moto-ST…水冷、空冷問わず、旧車にも使える万能高性能オイルで、ストリートからワインディングのスポーツ走行まで可能な部分合成油 ③ Moto-SS…ストリートからサーキットまで幅広く対応する高性能100%化学合成油 ④ Moto-RS…ハイパワーエンジンにも対応し、サーキット走行からレースシーンでも使える100%化学合成油 ⑤ Moto-GP…サーキットやエンデューローなどでの高温・高負荷にも耐えうる本格的なレースにも最適な乾式クラッチ専用の100%化学合成油 ②〜⑤はルブロス独自のナノパフォーマを配合しています。 更にグレード(使用温度領域を表す10W-40などの数字)は様々なご用意がございます。 今回はコストパフォーマンスナンバーワンのMoto-ST 10W-40を使用しました。
ルブロスオイルの一番の特徴は独自のベースオイル「ナノパフォーマ」が配合されていること。 ルブロス最大の特徴である新開発ベースオイル“ナノパフォーマ”は 1.オイル分子の細分化 2.オイル分子の均一化 3.オイル分子の結合力強化 これらの特徴を持つナノオイル分子は、オイルと金属の隙間を埋め、ベアリング効果や、密閉効果をより高める働きをします。 ●ベアリング効果 ベアリング効果によるフリクションが少なくなる結果として 1.油温上昇の抑制・安定化・低減 (摺動抵抗の軽減により、摩擦発生と酸化・劣化の予防) 2.高回転での伸びが良くなる (クリアランスを均一化して、摺動抵抗を軽減) 3.エンジン音を抑える ●密閉効果 密閉効果により吹き抜けを抑える効果として 1.パワーとトルクの上昇 2.ブローバイガスの減少 3.オイルの耐久性向上 このナノパフォーマの効果こそがルブロスの特徴なのです。
今回使用したMoto-STはVHVI配合のシンセティックブレンドオイル。 水冷、空冷を問わず、旧車にも使える万能高性能オイル。シティランからワインディングまでストリート走行に最適です。 VHVI(Very High Viscosity Index)は「超高粘度指数」と訳せる化学合成オイルです。 VHVIは鉱物油に水素化精製処理を施したもので、純粋な鉱物油と比較して分子構造が均一で、不純物が少ないのが特徴です。また、VHVIをベースにしたエンジンオイルは高温時と低温時の粘度差が出にくい特性もあります。 化学合成オイルの高性能と、鉱物油の経済性を組み合わせたMoto-STはシール等への攻撃性を考慮しており、旧車にも最適な高性能エンジンオイルです。 ブレーキフルードやエンジンオイルを交換しながら24カ月点検に準じる点検を実施。 各部の調整や締めまし、注油などをおこない車検のための光軸や排ガス濃度を調整・確認。 準備が整えば車検場の検査ラインへ入ります。 しっかり準備していたのでもちろんあっさり合格です。
車検時には重量税が年式によって3,800〜5,000円かかります。 これに非課税の検査/審査料が1,800円。 自賠責保険は2年毎更新が必要で24か月なら8,760円です(自賠責保険料は毎年年度ごとに改定されます) いわゆるこれが法定費用で14,360〜15,560円。 これだけです。 当店にご依頼いただく場合は法定費用に加え車検点検整備料として11,000円を頂戴します。 24か月点検に準じる検査を実施し、車検を受けるために光軸や排ガスの調整を行います。 車両各部の清掃や洗浄、新たなグリスアップや注油を行い、ドライブチェーンの調整等も行います。 これに加え車検手続き代行費用として22,000円を頂戴し、陸運局にて検査を受けます。 もちろん予約から書類作成などの手続きもこちらで行いますのでお客様はオートバイと必要書類(車検証や納税証明書)をお預けいただくだけ。 車検をご依頼いただいた際の合計は47,360円〜48,560円です。
車検後には洗車を実施し簡易的なガラスコーティングを施工してご納車となります。 車両をお預けいただく際にはお帰りの足代わりとして、ご希望のお客様には無償で代車をご用意しています。 車検は最短で2泊3日ですが、基本的には1週間のお預りでお時間を頂戴できれば助かります。 車検は満了日の1ヵ月前から受けることができ、完全予約制となっています。 日常的に整備を実施していればこれだけの費用で2年に一度の車検が完了です。 この車検のタイミングでブレーキフルード交換やプラグ交換、オイル交換等をご希望の方は別途その費用がかかります。 車検自体の費用は決して高くないんです。 まずは日常的に点検と整備を実施し、消耗品は適宜交換。 これをしておけば車検代は心配しなくても大丈夫です。 どうぞお気軽にご相談ください!