ミドルスポーツを読み解く、5つのポイント

ミドルスポーツを読み解く、5つのポイント

CBRとGSXはジャンルが異なる?

 2000年代中盤には消滅の危機に瀕していたものの、近年になってかなりの活況を呈している、フルカウルの250ccスポーツ市場。その先鞭を付けたのは、2008年に登場したニンジャ250Rで、現在の他の国産3社が日本で販売中の250ccスポーツは、いずれもカワサキの手法に追随する形で、スチールフレーム/水冷直列2気筒エンジン/前後17インチという構成を採用している。
 とはいえ、今回試乗した4台のキャラクターは各車各様で、中でもCBR250RRとGSX250Rは、同じジャンルには分類できないほど、まったく異なる資質を備えているのだ。
 具体的な2台の違いは最高出力/装備重量/価格、CBR250RR:38ps/165kg/80万3000円〜、GSX250R:24ps/178kg/54万8900円という数字を知れば、誰もが即座に理解できるはずだが、単純にエンジンがパワフルで車体が軽いほうがスゴイ!・・・とは言えないところが、現代の250ccスポーツの面白いところ。
 もちろん、峠道やサーキットでの速さならCBRの圧勝だ。でもGSXには価格が安いことに加えて、常用域でライバル勢より扱いやすく、燃費がすこぶる良好という美点が備わっている。つまり現在の日本製250ccスポーツの優劣は、乗り手が何を求めるかで変わってくるのである。

守備範囲が広いR25とニンジャ

1000ccスーパーバイクの遺伝子を感じるスポーティでアグレッシブなルックスは、すべてのモデルに共通。とはいえ、現代のフルカウル250ccスポーツは、各社各様の姿勢で、独自の魅力を追求しているのだ。
Photo/Hiromu Inoue、Satoru Ii Text/Tomohiko Nakamura、Satoru Ii

守備範囲が広いR25とニンジャ

 肝心なことを最初に記すのを忘れていたけれど、現代の250ccスポーツは、どのモデルもオールラウンダーとして使える。と言っても、ホンダとスズキの特性はまったく異なるのだが、CBR250RRでツーリングが楽しめないわけではないし、GSX250Rだって他3車と競争しなければ、十分にスポーツライディングが堪能できる。とはいえ、市街地からサーキットまで、あらゆる状況を過不足なく楽しみたいライダーの場合は、CBRとGSXの中間的な特性を備える、YZF-R25とニンジャ250を検討するべきだろう。
 そんなR25とニンジャの差異は、数値からは判別できないが、コーナリングの爽快感ならヤマハ、ロングランでの快適性ではカワサキに軍配が上がる、というのが試乗してみた僕の印象だ。なおR25とニンジャの運動性能は、標準でラジアルタイヤを履くCBRにはわずかに及ばないものの、タイヤをバイアスからラジアルに変更すれば、その差はイッキに縮まりそうだ。
 そのあたりを考えると、現代の250ccスポーツを30cm定規に当てはめて、圧倒的な運動性能を誇るCBRを0cm、フレンドリーなGSXを30cmとするなら、R25とニンジャの立ち位置は中間の15cmではなく、10cmあたりになるのかもしれない。

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