ようやくやってきた弟分 YZFシリーズの新時代

ようやくやってきた弟分 YZFシリーズの新時代

 YZF-R1/R6は、'98年の登場以来SSモデルを代表する機種となっていた。しかし、SSモデルはメーカーの顔とはいえ、ユーザー数、規制や技術による価格高騰などに課題もあった。さらに、若者の獲得やライダーの高年齢化も背景に「気軽にスポーツ性を楽しめる身の丈にあったバイク」が求められていた。そんな中、'08年カワサキニンジャ250Rのヒットからはじまったのが「第2次250ccSSブーム」だ。ライバルとのシェア争いは、世界戦略車で効率よくユーザーを奪い合う時代に変貌していたのだ。そんな中、白羽の矢が立ったのはYZF。他メーカーに遅れはとったが、待望の「YZF-R25」がデビューし兄弟としてYZF-R3が、派生機種としてネイキッドのMT-25/MT-03もラインナップ。YZFとMTシリーズという二大ブランド体制へと移行し、ライバルとの新しい争いになっていく。

YZF-R25
YZF-R25

YZF-R25

中古相場価格 ●32.72万円~92万円

新車価格 ●41.9万円~61.2万円

YZF-R3

YZF-R3

中古相場価格 ●36.5万円~58.21万円

新車価格 ●45.9万円~64.3万円

'08年から再び活性化した日本の250cc市場。それらを受けてヤマハもYZF-R25を開発。'14年7月からインドネシアで製造しアジア向けに販売。同10月にはYZF-R3も発表。日本仕様は'14年12月に発売された。トップエンドモデルを連想させるスポーティなスタイルとアップライトなハンドル位置、シート位置も低められるなど、「毎日肩肘張らずに運転できるスーパースポーツ」となっている。発売が決まったときは'94年FZR250以来20年ぶりで話題となった。

どっちがお得?YZF-R3/R25のポイントチェック
比較ポイント YZF-R3 ABS YZF-R25 ABS
車両重量 170kg 170kg
総排気量 320㎤ 249㎤
最高出力 31kW(42ps)/10,750rpm/min 26kW(35ps)/ 12,000rpm/min
最大トルク 29N・m(3.0kgf・m)/9,000rpm/min 23N・m(2.3kgf・m)/10,000rpm/min
価格(税込) 642,600円(本体価格595,000円) 610,200円(本体価格565,000円)
備考 車検あり タイヤスピードレンジH 車検なし タイヤスピードレンジS

最大のポイントは、やっぱり車検の有無。しかし、重量が同じで、出力が違う、という魅力、そして価格差も気になるところだ。また大半のライダーがR25という選択の中、R3を選択する差別化という考え方も捨てがたい?※YZF-R25:567,000円(本体価格525,000円)

CBR250RR〈ABS〉

※写真はCBR250RR〈ABS〉

HONDA CBR250RR

2015年東京モーターショーに参考出品されたコンセプトモデル「ライトウェイトスーパースポーツコンセプト」が原型。日本国内仕様は'17年5月発売。水冷4ストローク4バルブDOHC2気筒エンジンはクラス初となるドライブ・バイ・ワイヤを採用。250ccブームは'11年3月発売のCBR250Rが支えた。

中古相場価格 ●27.7万円~96.12万円

新車価格 ●57.9万円~89万円

KAWASAKI Ninja 250

再び250ccブームを生み出したニンジャ250Rは、排ガス規制による車両価格高騰の中、49万8000円(税込)で販売し大ヒットとなった。2代目はニンジャ250となりフルモデルチェンジ。'13年2月に発売し注文が殺到。年間販売計画を3日で達成。現在は3代目。

中古相場価格 ●24.62万円~86万円

新車価格 ●47.5万円~66.5万円

KAWASAKI Ninja 250 KRT Edition

※写真はNinja 250 KRT Edition

SUZUKI GSX250R

SUZUKI GSX250R

GSR250をベースとして開発され'16年グローバル向け車両として発表された。日本仕様は翌年4月より発売。デザインを最優先しながらライダーの扱いやすさも考慮して設計されている。セッティングは扱いやすさと燃費を優先させるため低中回転域のトルクを重視している。

中古相場価格 ●30.62万円~50万円

新車価格 ●33.9万円~58.6万円

その人気をデータでチェック
250クラス2年連続首位に

第2次250ブームの激化を数字で見てみよう。二輪車新聞が発表している年間新車出荷ランキングを見れば、YZF-R25の人気がわかる。

軽二輪250ccクラス新車販売ランキング

※参考 : 二輪車新聞より

2016
No. メーカー ラインナップ 台数(推定)
1 ヤマハ YZF-R25/MT-25('14~) 6,429
2 カワサキ ニンジャ250/SE/ABS SE('13~) 3,032
3 ヤマハ セロー250('08~) 2,959
4 カワサキ ニンジャ250SL('15~) 1,514
5 ホンダ フォルツァSi('13~) 1,451
6 スズキ GSR250/S('12~) 1,424
7 ヤマハ WR250R/X('08~) 1,389
8 ホンダ CRF250L/M('12~) 1,278
9 ホンダ CBR250R('11~) 1,218
10 カワサキ エストレヤ/SE('07~) 922
2017
No. メーカー ラインナップ 台数(推定)
1 ヤマハ YZF-R25/MT-25('14~) 5,511
2 ヤマハ セロー250('08~) 3,807
3 ホンダ CBR250RR('17) 3,291
4 ホンダ レブル250('17) 2,953
5 ホンダ CRF250L/M/ラリー/ラリーABS 2,659
6 カワサキ ニンジャ250/SE/ABS SE('13~) 2,398
7 ヤマハ WR250R/X('08~) 1,699
8 ホンダ VTR/VTR-F('09~) 1,581
9 スズキ GSX250R('17) 1,558
10 スズキ Vストローム250('17) 1,360

軽二輪250ccクラスの定義はこうだ。上の表は、二輪車新聞の年間新車出荷ランキングを新たにまとめたもの。その内容は、軽二輪ランキングの発表から250クラスのみを抜粋して再度ランキング。つまり126cc~200ccのモデルを除いている。150ccなどのモデルを熾烈な250クラス争いに入れると誤解を招く可能性が高いからだ。

YZFシリーズの新車/中古車 (計:1113台)
シリーズ 販売中古車 新車
(※現車展示)
合計
YZF-R1 210 61 271
YZF-R6 54 35 89
YZF-R3 83 78 161
YZF-R25 330 262 592
CBRシリーズの新車/中古車 (計:840台)
シリーズ 販売中古車 新車
(※現車展示)
合計
CBR1000RR 235 30 265
CBR600RR 104 5 109
CBR400RR 133 7 140
CBR250RR 81 245 326

最大のライバルブランドといえば、やはりホンダCBRシリーズで間違いない。では実際の購入バイクで検討した場合はどうだろうか。グーバイクのサイト8月1週目のデータが上の表。各排気量別のライバルを比較。まさにライバル同士の争いだ(※CBR250RRは昨年4月発売のランクから除外。CBR250RR台数は249台/中古車49台)

※参考 : グーバイク(www.goobike.com)2018年8月時点

ラインナップを揃えてライバルブランドを追撃

 SS機種としてライバル争いからブランドラインナップへのシェア争いへ切り替え、追撃を始めたヤマハは、待望のYZF-R25を軸に、激戦となっていた250クラスの市場を席巻した。普通免許クラスでの待望の完全新型に答えを出したヤマハは、最大のライバルであるホンダCBRシリーズとの戦いにがっぷり四つ相撲を展開中だ。グーバイクのサイトでは、在庫展示中の新車と中古車のCBRシリーズとYZFシリーズの流通掲載台数は、それぞれ840台、1113台。去年販売のCBR250RRの298台を含めると1138台となり、実に興味深い展開となっている。
 二輪車新聞のデータを250クラスでランキングした場合の新車台数では、'16・'17年ともにランキング首位。確かにMT25との合算なので、正確にR25だけの台数ではないが、ライバルのCRF、ニンジャもシリーズ合算なのでここはご容赦頂きたい。その上で台数に注目すると、このクラスでのR25の人気がうかがえる。
 世界のトップシーンで闘うR1。そのイズムがフィーチャーされたR3/R25は人気を博した。徹底した最高水準の技術を楽しみたい、身の丈にあったスポーツ性能を気軽に楽しみたい、そのどちらのライダーの要求にもラインナップで答えるYZFは、これからもライダーから支持される世界を代表するブランドとして、ますます期待が高まる。

YZF-R オーナーズMTG
YZF-R オーナーズMTG
YZF-R オーナーズMTG

来場者総数800名 YZF-Rシリーズ683台
YZF-R1 20th Anniversary
YZF-R オーナーズMTG

2018年6月23日(土)開催地:スポーツランドSUGO

YZF-Rのオーナーが集合するミーティングイベントも開催している。以前は、YZF-R1オーナーのためのイベントだったが、ラインナップがひろがり近年は、YZF-Rシリーズのオーナー対象というイベントになっている。'18年は6月に開催され、事前エントリーでYZF-Rオリジナルフォーク特典の他、20周年セレモニーでは開発者によるトークショーやチャリティーオークション、最新モデルのYZF-R1・R6試乗会などが催された。(※写真・参照:YZF-Rオーナーズミーティング2018 http://www.yzf-r.com)

※中古車相場価格はグーバイク調べ(2018年8月)。

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