ここ数年、リッタースーパースポーツのフルモデルチェンジサイクルは、以前と比べて長めの傾向となっている。
しかし今年は、国内外の3メーカーが新機種を投入。このカテゴリーが、かなり活気のあるシーズンを迎えた。
その話題の中心は、これまでの路線を覆す大胆な変更が加えられたヤマハのYZF-R1/Mだ!
モトGPマシンのM1から
技術とイメージを継承
新型YZF-R1は、大半のライバルメーカーが守る自主規制値いっぱいの200馬力(従来型比で18馬力増)を発揮。この完全新作998ccエンジンは、出力向上に加えて小型軽量化も徹底され、従来型比で単体重量は4kg減、幅34mmも短縮された。高回転化にも貢献するFSチタンコンロッドなど、高価な新設計パーツも盛り込まれている。
車体も新作。アルミ製デルタボックスフレームにマグネシウム合金製リアフレームを組み合わせ、そこに見るからに高剛性なアルミ製スイングアームや、マグネシウム鋳造ホイールなどを備える。
しかし最大の注目点は、市販二輪車初となる6軸姿勢センサー(IMU)の搭載だ。6方向の回転と加速度が演算され、これによってバンク角やピッチレート、横滑り加速などを割り出す。そしてそれらの値が、トラクションコントロール、スライドコントロール、リフトコントロール、ローンチコントロール、そしてクイックシフトと、5種類の制御システムへと反映されるのだ。
さらに、カーボン製カウルやデータロガーも装備したR1Mは、オーリンズ製電子制御サスを備え、IMUのデータはこの制御にも活かされる。
- ここ数年、このクラスをけん引してきたBMW S1000RRは、15年型で大幅刷新。フレームは新設計され、軽量化やディメンションの見直しが図られた。パワーユニットは、吸排気系の改良によって6馬力アップとなる199馬力。車重は4kg減の204kgに。日本国内向けのS1000RRには、アクティブサスペンションが装備される。
- 15年型ドゥカティ・パニガーレは、レースレギュレーションを無視する排気量アップによって1285ccとなった。それにともない最高出力はクラス最高の205馬力に。同時に車体も刷新され、全長と全高が低減。重量は、1199パニガーレと同じ190.5kgに抑えられている。上級版のSはオーリンズ製のセミアクティブサスを搭載。
その他、日本メーカーの15年型SSも登場!!
- 999cc水冷並列4気筒モデル。14年型で、エンジンの吸排気ポート改良や新形状スクリーンの採用、オーリンズ製の前サスとブレンボ製ブレーキ、シングルシートカウルを装備したSP仕様の追加が行われた。
- 998cc水冷並列4気筒エンジンを搭載。11年型で完全刷新が図られ、13年型ではオーリンズ製のステアリングダンパーを採用するなどのマイチェン。そこから数えて、15年は3年目のシーズンとなる。
カラーチェンジで静観も
ポテンシャルは高い
ヤマハやドゥカティ、BMWが新機種を投入する一方で、国内ブランドのホンダ、スズキ、カワサキは、15年も従来型のリッタースーパースポーツをカラーバリエーションのみに変更を与えて継続販売する。しかしそれは、これら3メーカー車の性能が他のニューモデルに比べて魅力がないということではない。
そもそも、単純にパワーということで考えれば、リッタースーパースポーツは00年代半ばに、一般的なライダーが公道やサーキットのファンライドで扱える限界を超えた状態。物足りなく思うことはないはずだ。
車体も、スーパースポーツがかつてのナナハンからリッターになってからの約10年で、度重なる熟成を受けた状態であり、数年間の継続販売でライバルに対して大きく見劣りするようなこともなくなっている。
ただし唯一、電子制御系についてはいまなお進化の途上にあり、最新型にはこれらの多くが盛り込まれているのが恨めしいところ・・・。
モデルチェンジが大きく影響?
スーパースーポーツの
中古車相場
日本国内におけるリッタースーパースポーツの中古車相場は、高止まりが続いている状態と言える。これは、新車で販売される台数がそれほど多くなく、必然的に中古車のタマ数が増えないことも影響している。しかし新型車が登場すれば、従来型のオーナーが乗り替える可能性がでることから、多少なりとも中古車の数が増える可能性はある。また当然ながら1世代前、2世代前・・・と単純に製造年が古くなることで、相場のこなれ感が出てくることがある。
ついに姿を現した!!
これがホンダの
モトGPマシンレプリカだ!!
ホンダは、世界最高峰ロードレースのモトGPを戦うファクトリーマシンであるRC213Vの公道仕様を開発中。そのプロトタイプが、昨秋に初披露された。「さまざまな環境規制などに対応しながら、モトGPマシンをどこまで変更することなく市販化できるか」をテーマに、単純に最高出力がトンデモナイというようなバイクではなく、プロダクトとしての高いクオリティや、乗り物としての質感も追求している。スペックなどはいまのところ完全未発表で、発売されたとしても一般人にとって現実的な価格に収まるとは到底考えられないが、ホンダの新たな挑戦の今後を見守っていきたい!