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同型エンジン車の歴史

同型エンジン車の歴史 】

専用設計思考へのあゆみ

 同型エンジン異型モデルの歴史についても少しだけ触れておこう。ひとつのエンジンで数多くのモデルを作る手法は、特に規模の小さいメーカーでは効果的な方法のひとつと呼べる。沢山の機種を新規で開発する力のないメーカーは、必然的に販売車種が少なくなってしまうが、ひとつのエンジンを他車に流用すれば車種ラインアップの拡充を図ることができるからだ。日本のメーカーも世界の舞台で認められるようになるまではこうした手法も行なっていた。

 ここで例を挙げるのはホンダのCB/CL72だ。60年代に一世を風靡した元祖スーパースポーツCB72と同型のエンジンを積むモデルが、スクランブラーモデルのCL72だ。見ての通り250ccの並列2気筒エンジンは同じ形である。この二台はフレームの形状は大きく異なるものの、基本的に同じ型のエンジンを使用しており、その関係性は上位モデルである排気量305ccのCB77/CL77でも同じなのだ。 いまから50年前の車両とはいえ、そのキャラクターの違いは見た目にもはっきりしており、いかに設計陣が工夫して二台を生み出したのかがよくわかる。流用の歴史は工夫の歴史、とも言えるかもしれない。

CB72には180度クランクのType1と360度クランクのType2が用意されており、全く違うキャラのエンジンをチョイスできた。

HONDA CB72

ベンリースーパースポーツ=ベンスパとの愛称でも親しまれたスポーツバイク。その小気味良い走りに今でもファンが多い。

ホンダ CB72
ホンダ CL72

HONDA CL72

オフロード専用車という概念がない時代に発売されたスクランブラー。ブリッジ付きハンドルとアップマフラーはいま見てもクール。

HONDA
VF750SABRE

サブレではなくセイバーと読む。V4エンジンを初めて搭載した記念碑的車両がこのセイバーなのだ。VFRのルーツはここなのである。

ホンダ VF750セイバー
ホンダ V45マグナ

HONDA
V45MAGNA

国産アメリカンブームの中にあって、V4エンジンを積むという手法で登場した車両。当時はこういう過激なアメリカンも多かった。

HONDA
VF750F

84年に登場したVF750F。上の二台よりもV4エンジンがよく似合う・・・・・・というのは言いすぎだろうか。輸出車にはVF1000Rも存在した。

ホンダ VF750F

ホンダ750ccV4のルーツ

 せっかく開発したエンジンを一車種で終わらせるのはもったいない。こうした考え方も流用を行う立派な理由だ。80年代後半から耐久レースなどで大活躍したホンダのV4エンジンも、デビュー当初は様々な車両に積まれていた。独特のサウンドとハイパフォーマンスでスポーツイメージの強いV4エンジンだが、一番最初に搭載されたのはVF750SABRE(セイバー)というスポーツバイクだ。その後、アメリカンモデルのV45マグナを経て、ようやくそれらしいVF750Fに搭載された。セイバーの登場からVF750Fの登場まではわずか1年足らず。極短い期間にこれだけバリエーションを持たせたエンジンもなかなか珍しい。

KAWASAKI Z650

ザッパーの愛称でも親しまれるZ650。コンパクトな車体による運動性の高さで、当時から玄人ライダーに好まれた車両だ。

カワサキ Z650

KAWASAKI ZEPHYR750

2007年に惜しまれつつその歴史に幕を閉じたゼファー750。Z650の時代から熟成させたエンジンを搭載した由緒正しいモデルである。

カワサキ ゼファー750

ゼファー750の元祖は70年代!?

 ここまで同型エンジンを流用する例をあげてきたが、ここでは、長い時間をかけてエンジンが進化していったパターンをお見せしよう。そこで紹介したいのが、つい最近まで売っていたカワサキのゼファー750だ。そのルーツを探ると実は70年代にまで遡る。なんとゼファーのご先祖さまに当たるバイクは1976年に発売されたZ650という車両なのだ。当時販売されていた大柄なZ750F(750RSの後継モデル)よりも一回り小さな車体だが、れっきとしたカワサキ空冷Zの系譜の中にある一台だ。Z650はアメリカンモデルのLTDなど派生モデルを生み、後に排気量が750ccへと拡大される。その流れを受けて登場したのがゼファー750なのだ。

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