よもやこのままのスタイリングで登場するなどだれひとり想像しなかった。80年に開催されたドイツ・ケルンショーで初めてベールを脱いだGSX1100Sカタナは、あまりに独創的で斬新なフォルムだったことから、あくまでもショーモデルであるという認識が支配的だった。ところが翌81年、ほとんど変わらぬスタイリングで登場したのである。
ドイツ人デザイナー、ハンス・ムートが日本の刀をイメージして作り上げた前衛的ともいえるボディデザインは、かっこいいバイクを造り上げたいと願うスズキと思惑が一致した結果、そのままのスタイリングで市販車として投入することになった。その英断がまちがってなかったことは、発売と同時に爆発的な人気を博したことでも容易に理解できる。世界中のライダーを惹きつけるに十分すぎるほどの魅力をたたえていたのだ。
国内発売された750に関してはハンドルが物議を醸したが、最終的には1100から250までラインアップされ、多くのカタナファンを創出したのである。
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