ベスト・オブ・ハンドリングの称号を与えたい
バイク便での使用率の高さから「最強の実用バイク」などと言われるVTR。だが、VTRは使い勝手が良いだけのバイクじゃあない。その最大の魅力は、絶妙のコーナリング性能にある。
ライダーが『曲がりたい』と考えた瞬間には、すでにバイクの向きが変わっているような、抜群の旋回性は、どんなライダーをも魅了する。
ちょっと言い過ぎかもしれないが、「道の先がどうなっていても曲がりきれる」と思わせるコーナリング性能は初めて通るワインディングでも怖さ知らず。奥の見えないコーナーにも躊躇なく突っ込んでいけるのだ。
それでいて高速走行ではしっとりとした直進安定性を持っているのだから、そのバランスの高さには驚かされるばかりだ。
先代モデルに比べ、ピーク時のパンチ力に劣ると言われるエンジンだが、フラットなトルク特性はじつに乗りやすく、個人的には高く評価したい。
価格も安く、ビギナー向けと思われがちだが、このハンドリングは腕に覚えのあるライダーにこそ味わって欲しい。
カンチレバー式のリヤショックは、分離加圧式ダンパーに、ホンダ・マルチ・アクション・システムを採用し、いつでも最適なダンピング性能を実現する。
フロントフォークのインナーチューブ径はφ41。ブレーキローターはフローティングタイプの296mmを装備する。ホイールは軽量な5本スポークタイプ。
メーターは質感の高いアナログ式2連メーターを採用。左右のデジタル液晶パネルは、時計、オドメーター、ツイントリップメーターが表示可能とされている。