和歌山 利宏 氏
精力的に海外市場をこなすモーターサイクルジャーナリストで、渡欧は平均月1回を超える。今回もポルトガルでのSBK試乗の後はすぐイタリアに飛び、ミラノショーを取材。
市販のリッタースーパースポーツ(2気筒は1200t)をベースとするマシンで争われているスーパーバイク世界選手権。マシンがモトGPマシンのようなサラブレッドでなくても、それほどラップタイムが変わるわけでなく、むしろバイクファンの愛車に近いマシンが走っていることが注目を集め、GPに勝るとも劣らない人気を誇っている。
例年は10月初旬に行われるフランスのマニクールが最終戦なのだが、08年はそれから4週間経った
11月2日のポルトガルのポルティマオで最終戦を迎えることになった。じつはこのサーキット、わずか8カ月の突貫工事で仕上がったばかりで、完成を待っての開催となったわけである。ポルトガル南部の観光地を活性化させるため、F1をも誘致しようとの狙いで建設されたのだ。
そして今回は、このSBKを主宰するフラミニスポーツという団体の企画で、一気乗りが実現した次第である。これらに乗れる幸運に恵まれたジャーナリストは、世界で20人。もちろん僕にとっても、素晴らしい機会となった。
さて、乗ったマシンは、仕様がレギュレーションで厳しく定められており、当然、エンジンやフレームの基本はノーマルのまま。それだけにノーマルの素性がしっかり感じられることが興味深い。
それでも、良い成績を残したマシンは、それなりの理由を持っているというのが印象的である。
ノーマルの素性がより鮮明に引き出されていること。コントロールしやすく、乗ってて楽しいこと。ライダーに合わせた武器を備えていること。それぞれに特徴と狙いを秘めている。とにかく、凄く個性が豊かだったのである。次ページからのインプレでそのことを感じ取ってもらえれば嬉しい。