2024/11/23 15:56:21 更新【リチウムバッテリー】カワサキ Z750FX バッテリー交換(SHORAIリチウムフェライトバッテリー)カワサキ Z750FXⅡ
バッテリー交換で入庫いただきましたカワサキZ750FX2です。

もともと開放型のバッテリーを搭載が標準で搭載される車両ですが、今回あがってしまったバッテリーは密閉型(シールド)バッテリー。 メンテナンスフリーバッテリーというやつです。 旧いバイクは充電量を制御するレギュレーターを搭載していないため、開放型バッテリーを搭載するのが一般的でした。 エンジン回転数が上昇し充電量が増えた際に、よぶんな電気を電気分解しバッテリー液を水素と酸素のガスにして放出していました。 その為、高速走行等をするとバッテリー液を補充する必要がありました。 レギュレーターが一般的になると充電量を制御されるようになり密閉型バッテリーが普及し、バッテリー液の補水は不要となりました。 このZ750FX2にはレギュレーターが搭載されています。 確認するとアイドリング付近ではほんとんど充電していないものの、高回転を維持すると14.7V程度まで充電圧が上昇しました。 これならじゅうぶん制御されていますが、逆に市街地走行では充電不足になりそうですね。

充電状態が確認できました。 バッテリーあがりの際はバッテリー自体の劣化や不良を疑う前に、かならずオートバイ側の不具合を疑って点検します。 今回はアイドリングでは充電不足気味ながらも、エンジン回転数の上昇と共に充電圧も上昇。 14.7V以上の充電量にならないようにレギュレーターで生業されていたのが確認できました。 これならオートバイ側は正常です。 バッテリー自体の点検をします。 電圧は12.4Vです。 一般的にエンジン始動には12〜13V以上が必要です。 電圧は正常です。 しかしながらバッテリー自体の性能を表すCCA値が規定値180に対し100しかありません。 本来は180Aを流せるはずなのに100Aしか流せないということです。 これでは始動できません。

電圧(ボルト/V)は電気を押し出す力だと思ってください。 エンジンを始動する際のセルモーターを可動させるためには、セルモーターに一気に電気を送り込む必要があります。 一気に送り込まれた電気でセルモーターは動いてエンジンを始動させます。 この電気を送り込むというのがポイントで、電気を流す量を示すのがアンペア(A/電流)です。 つまり電圧が低いとエンジンが始動できないのは当然ながら、電圧が高くてもアンペアが少なくても一気に電気を送り込むことができず始動できないのです。 実測(計測結果)CCA100÷基準CCA180×100×55.5…この計算式で現在のバッテリーの状況がわかります。 基準性能に対し55.5%しか発揮できておらず劣化しているということになります。 仮にこのバッテリーのCCAが150程度あれば80%以上の性能を維持していますので、仮にバッテリーが上がっていても(電圧が低下していても)充電すれば使えます。 逆に現在の状態ではいくら電圧が上昇しても使い物にはなりません。 必要な電気量を流すことができないのです。 要交換です。

お客さまと相談してご用意したのはリチウムバッテリー。 SHORAIリチウムフェライトバッテリーです。 SHORAIリチウムフェライトバッテリーは短時間で充電が完了するという特性があります。 アイドリング付近ではほとんど充電していないことがわかったこちらの車両。 走行中に短時間で充電できる特製のバッテリーなら最適です。 リチウムフェライトバッテリーは始動性が良いと言われます。 これはCCAの値が高いからなのです。 新品のSHORAIリチウムフェライトバッテリーを測定すると265CCAもあります。 これならたくさんの電気を一気にセルモーターへ流し込むことができます。 電圧(V)が高くてもCCAが低ければバッテリーはエンジンを始動させられません。 バッテリーの劣化状況を測る基準です。 これを測るためには専用テスターが必要です。 バッテリーの診断をご希望の方はどうぞお気軽にお問い合わせください。

SHORAIリチウムフェライトバッテリーは鉛バッテリーのように水素や酸素と言った可燃性ガスを発生させません。 その為、レギュレータートラブル時に発火や爆発の危険はありませんのでご安心ください。 ただし15V以上の電圧が加わると破損してしまいます。 レギュレーターのトラブルで過充電になった場合はバッテリーも交換が必要となる可能性がありますのでご注意ください。 しかしながら始動性が劇的に良くなり、短時間で充電が完了するというメリット以外にも様々なメリットがあります。 自己放電が少ないので長期保管が可能です。 最近のオートバイのセキュリティ装置や時計などのアクセサリーは停車中も電気を消費しますので、搭載しっぱなしで長期保管すればバッテリーは上がります。 しかし単体での自己放電はほとんどありません。 Z750FXのような旧い世代のオートバイは停車中の消費電力(暗電流)はほとんどありませんので、半年ぶりの指導でもバッテリーのパワーは全く衰えません。 バッテリー自体の寿命も長くなります。

圧倒的な軽量化と言うメリットもあります。 搭載されいてた鉛バッテリーは3941グラムありました。 交換したSHORAIリチウムフェライトバッテリーはなんと688グラム! ものすごい軽量化です。

SHORAIリチウムフェライトバッテリーは鉛バッテリーと異なり、容量と比例してバッテリーの躯体が大きくなることはありません。 構造が違うのです。 その大きさ自体がバッテリーの性能と言うわけではないのです。 と言うことは、小さなケースのものでも必要な性能を発揮させることができます。 今回はあえていちばん小さなサイズをお客様が選択しました。

背が足りない部分は商品に同梱される緩衝材を使って埋めます。 左右の隙間にはウエスを収納したり、ちょっとした工具を収納したり、車検証などを収納するスペースなどとしても使えます。

ミッツ・ハーはSHORAIバッテリーとBSバッテリーのリチウムフェライトバッテリーの正規取り扱い店です。 どうぞお気軽にご相談ください!
