憧れ1 スーパースポーツ

いつかは所有したい俺の夢 憧れのバイクに乗りたい

憧れのバイクという言葉から、どんな車両を連想するかは人それぞれ。最先端のスーパースポーツを思い浮かべる人がいれば、歴史に名を残す国産旧車、大排気量クルーザーなどをイメージする人もいるだろう。当企画では4つのジャンルに分類して、多くのライダーが憧れるバイクの魅力を、さまざまな角度から考察してみたい。

Text/Tomohiko Nakamura・Toshiyuki Sagayama Photo/Satoru Ise

Dream bike 01

憧れ1  スーパースポーツ

サーキットでの運動性能を徹底追求した結果として、普通のライダーには手が出しづらくなったリッタースーパースポーツ。とはいえ、多種多様な電子制御を導入した近年のモデルは、意外にフレンドリーなのである。

DUCATI PANIGALE V4 S

2018年から発売が始まったパニガーレV4/Sは、独創的なアルミフロントフレームに、MotoGPの技術を転用したV4エンジンを搭載。上級仕様のSはオーリンズのセミアクティブサスや、マルケジーニのアルミ鍛造ホイールを標準装備。最高出力が214PSで、装備重量が200kg以下という数値を知ると、モンスターをイメージしてしまいがちだが、乗り味は意外に親しみやすく、日本製リッターSSからの乗り換えでも違和感は少なそう。

新車価格:344万2000円  中古相場:249.8万~299万円

▶SPECIFICATION

■ホイールベース:1469mm ■車両重量:195kg ■シート高:835mm ■燃料タンク容量:16L ■エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブV型4気筒 ■排気量:1103cc ■最高出力:157.5kW(214PS)/13000rpm ■最大トルク:124N・m/10000rpm

DUCATI PANIGALE V4 S ウイングレット

MotoGPの技術を転用

MotoGPの技術を転用した空力パーツのウイングレットは、近年のSSの流行。ただし、フラットタイプを採用するのはドゥカティのみで、他はボックス構造。

DUCATI PANIGALE V4 S TFTモニター/電子制御式スロットル

機能満載のTFTモニター

多種多様な情報を表示するTFTモニターと電子制御式スロットルは、最近SSの定番装備。各種設定の変更を手元で行うため、スイッチボックスは徐々に複雑化。

DUCATI PANIGALE V4 S ブレンボ製キャリパー

ブレンボは日伊で大人気

ブレンボのラジアルマウント式4ピストンキャリパーは、昨今のSSの大人気パーツ。ドゥカティ以外にも、ホンダやカワサキ、スズキ、アプリリアなどが採用。

DUCATI PANIGALE V4 S エンジン

200PSオーバーは当たり前

現在のリッターSSは200PS以上が当たり前。パニガーレV4の場合、公道仕様のSTD/Sは214PS、市販レーサーのRは221PSを発揮。

DUCATI PANIGALE V4 S オーリンズ製セミアクティブサス

セミアクティブサスが普及

スズキを除く最新リッターSSの上級仕様は、状況に応じてダンパー特性が変化するセミアクティブサスを採用。ドゥカティはオーリンズ製を選択。

DUCATI PANIGALE V4 S テールカウル

テールカウルも空力を重視

テールカウルはショート化が進行中。ウイリーの抑制を意識した機構として、ここ最近は走行風の通路を設けた車両が徐々に増えている。

コストを度外視して随所に最新技術を導入

 サーキットでの動力性能を徹底的に追及した結果として、販売価格が高騰すると同時に日常域での使い勝手が悪くなった、近年のリッターSS。ただしそういう状況であっても、このジャンルに憧れを抱くライダーは、依然として少なくない。その理由がどこにあるのかというと・・・。
 それはやはり、最高峰の性能が味わえるからだろう。何といってもリッターSSほど真摯に速さを追求しているジャンル、コストを度外視して、最新技術を導入しているジャンルは、ほかに存在しないのだから。
 ちなみに、リッターSSの性能競争が激化したのは、世界各国で開催されるスーパーバイク/耐久レースの排気量規定が、1000ccに統一された2000年代前半からである。そして以後のこのジャンルは、普通のライダーにとっては、ハードルが高くなってしまったのだが・・・。
 2010年以降は、コーナリングABSやトラクションコントロール、ウイリー制御、モード切り替え機構といった電子制御の進化、そしてそれらを司るIMU:慣性測定ユニットの導入で、ハードルの高さは徐々に解消されている。誰もが性能をフルに引き出せるわけではないけれど、近年のリッターSSは、速さに磨きをかける一方で、見た目を裏切るフレンドリーさを身につけているのだ。

ライダーを熱くさせる3つの理由

最新鋭のデザイン

最新鋭のデザイン

レースでの勝利という目的では同じでも、リッターSSのデザインは各車各様。なかでもヘッドライトとラムエアダクトは特徴的で、最新鋭のデザインを取り入れながら、ライバル勢との差別化を意識した造形を構築している。

最高峰の性能を満喫

最高峰の性能を満喫

単純にパワフルで軽いだけではなく、最新のSSは現代ならではのハイテクな電子制御が、ライダーをさまざまな面からフォローしてくれる。気軽にフルパワーは味わえないけれど、最高峰の性能を誰もが満喫できるのだ。

レースシーンを彷彿

レースシーンを彷彿

現代のリッターSSは、世界各国のスーパーバイクや耐久レース用のホモロゲーションモデルとして開発されている。そんな車両でストリートを走ってレーサー気分が味わえるのは、改めて考えると、とんでもないことかもしれない。

型落ちモデル・・・
だけど性能は十分だ!?

扱いやすさは現行モデルに及ばないけれど、最高峰の性能を目指した開発姿勢は、一昔前の大排気量スポーツも同様。ただし電子制御の介入がないため、現代の視点で見ると、乗り味はよくも悪くもワイルド。

HONDA CBR900RR

中古相場:39.8万~59.8万円

現代のリッターSSの基盤を構築

1992年に登場したCBR900RRは、現代のリッターSSの始祖と言うべきモデル。乾燥重量185kgという数値は、当時のオーバー750ccクラスでは衝撃的な軽さだった。操る楽しさを追求した結果、パワーは控え目の124PSに設定。

憧れを「中古市場」で手に入れる
タマ数 6台
掘り出しレベル
★★★
☆☆☆☆☆
リセールバリュー
★★
☆☆☆☆☆
「憧れ」充足度
★★★
☆☆☆☆☆
タマ数が少なく、探すの困難。
HONDA CBR900RR
憧れを「中古市場」で手に入れる
タマ数 17台
掘り出しレベル
★★★★
☆☆☆☆☆
リセールバリュー
★★
☆☆☆☆☆
「憧れ」充足度
★★★
☆☆☆☆☆
性能と価格のバランス良し。
YAMAHA YZF-R1(初期型/98~00年)

YAMAHA YZF-R1(初期型/98~00年)

中古相場:34.1万~54.8万円

YZR500のディメンションを踏襲

CBR900RRの牙城を崩すべく、1998年からヤマハが発売を開始したYZF-R1は、GPレーサーYZR500のディメンションを転用して開発。乾燥重量177kg、最高出力150PSという数値は、以後に登場するリッターSSの指針になった。

KAWASAKI Ninja ZX-12R

中古相場:35万~124万円

スポーツ性重視の世界最速車

既存のZZR1100とは路線が異なるモデルとして、2000年に登場したZX-12Rは、スポーツ性を重視して開発。初代のバランスはいまひとつだったものの、2代目(写真)では大幅に改善された。乾燥重量は210kgで、最高出力は178PS。

憧れを「中古市場」で手に入れる
タマ数 39台
掘り出しレベル
★★★
☆☆☆☆☆
リセールバリュー
★★★
☆☆☆☆☆
「憧れ」充足度
★★★★
☆☆☆☆☆
今後、値上がりする可能性も!?
KAWASAKI Ninja ZX-12R

国産4メーカーが熱い!!

フラッグシップ揃い踏み

近年の日本製リッターSSは、数年ごとにモデルチェンジを実施。現時点での最速車は驚異の218PSを発揮するCBRだが、197PSのGSX-Rでも速さは十二分。なお他2車の最高出力は、R1:200PS、10R:203PS。

HONDA

CBR1000RR-R
FIREBLADE

新車価格:242万円~

保安部品付き市販レーサー

車名のRが1つ増えた最新のCBRは、サーキットでの運動性能を大幅に強化。ただしライポジはかなりレーシー。

HONDA CBR1000RR-R FIREBLADE

YAMAHA

YZF-R1

新車価格:236万5000円~

唯一無二のクロスプレーン

シート高は現行リッターSSでダントツトップとなる855/860mm。とはいえ、MotoGPレーサーから譲り受けた、クロスプレーンクランクのフィーリングは絶品!

YAMAHA YZF-R1
SUZUKI GSX-R1000R

SUZUKI

GSX-R1000R

新車価格:215万6000円

ライバルよりフレンドリー

最高出力はライバル勢に及ばないものの、現行リッターSSでは最もフレンドリーな特性。シートが低く、ハンドルが高めなので、市街地走行も気軽にこなせる。

KAWASAKI

Ninja ZX-10R

新車価格:210万1000円~

SBKで驚異の5連覇を達成

パッと見の印象は2011年型から不変だが、2度の仕様変更を経て、現行ZX-10Rの戦闘力は劇的に向上。それでいて、GSX-Rに次ぐ親しみやすさを実現している。

KAWASAKI Ninja ZX-10R

※中古車相場価格はグーバイク調べ(2020年10月)。

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