イタリアのバイクメーカーはどこも個性的である。日本のメーカーにもそれぞれにカラーというものは存在するが、たとえば高性能スーパースポーツというと、方向性が同一であることから似たようなバイクが造り出される。もちろんそれが悪いわけじゃないのだが、それぞれの個性を語るとなると難しいのは事実だ。
ところがイタリアのメーカーは、同じカテゴリーにあるバイクでもその形態はまったく異なる。シルエットを見ただけでどのメーカーのモデルであるかわかるほど、明確な個性を打ち出しているのである。
カルロ・グッチらによって1921年に創設されたモトグッチも、独自のブランドを確立し、それを伝統として守り続けているメーカーだ。縦置き90度Vツインエンジン。現在このレイアウトを採用しているのはモトグッチだけだ。1965年に発表されたV7に採用して以来、縦置き90度Vツインはモトグッチを代表するエンジンとして現在のモデルにも引き継がれている。しかも、スーパースポーツからクルーザーに至るまで、すべてこのエンジンを搭載する徹底ぶりである。シャフトドライブとの組み合わせによって独特のトルクリアクションを発生するが、それによって扱いにくいと感じさせないだけの進化をさせている点が、現代的ということができるかもしれない。
ブレヴァV1100は最新のロードスポーツとして生み出されたモデルだ。デザインの方向性は同750を踏襲している。そのため目新しさは感じないかもしれない。しかし、21世紀にふさわしいスタイリッシュなフォルムに新開発された伝統の縦置き90度Vツインを見事なまでに融合させているのだ。個性を表現することも性能のひとつの要素なのだろう。 |