この4月に高速道路の二人乗りが解禁になり、ガールフレンドとの新しいデートスタイルの確立や家族旅行へと出る可能性を、バイクが秘めたことになる。
しかし、本来、バイクの遠出はラクではない。夏は暑く、冬は寒い。長年バイクに乗っていても、実際に天気、気温、さわやかさなど、「今日はめったにないバイク日和」と声高にいえる休日は、年間を通しても本当に希少である。それ以外は我慢して走るしかないものなのか。
輸入ブランドのなかでも旅するバイクの代表格を紹介する。ハーレーのフラッグシップ、ウルトラクラシック・エレクトラグライド。そして、ニューエンジンを搭載したBMW・R1200RTである。ハーレーの代表的ツアラーモデル、エレクトラグライドのフロントマスクと、両脇に特徴なパニアケースをつけたBMWのリヤビュー。ともに両ブランドを強烈に印象づける眺めである。
どんなに急いでも西海岸から東海岸までの移動に4日はかかる国で生まれた「最高峰ツアラー」。かたや、ヨーロッパアルプスを巡れば、その山麓をまわるだけでいくつもの国境を越えていくことになる「国際線クルーザー」である。生まれた環境がバイクのスタイルに的確に現れているのが分かる。
この2台は長い距離を走ることで学び、磨かれたバイクだ。たとえば、スイッチひとつで設定速度をキープする、オートクルーズコントロール。これは右手でアクセルを開け続ける労力や、速度を一定に保つ仕事からライダーを解放してくれる。
また、足もとから上半身をきっちりカバーするフェアリングの効果は、長い距離になればなるほど効いてくる。BMWのスクリーンは手もとのスイッチで可変式である。ラジオやCD、メモリータイプのミュージックプレーヤーを接続して音楽を楽しめるオーディオ、ハーレーには無線やインターコムへの拡張性も装備する。
「風は友達」と、1日走り続けるとそうは思えなくなる瞬間がある。それがバイクの現実だ。長い距離が教えてくれた本当の快適さを身につけたツーリングバイク。バイクで旅する楽しさは、装備を含めてバイクのパフォーマンスで決まる。ライダーがバイクと過ごす時間のなかでも、もっとも濃い思い出をともに過ごすツーリングという場面を、ハードとして極めているこの2台。明快な旅の道具であるこの2ブランドを見るまでもなく、輸入車選びの大きな動機になっているのはいうまでもない。 |