かつてのカタナとはまったく異なる乗り味

KATANA 伝説

全長×全幅×全高/2130×835×1110(mm)■シート高/825mm■車両重量/215kg■エンジン形式/水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒■総排気量/998cc■内径×行程/73.4×59.0(mm)■最高出力/109kW【148PS】/10000rpm■最大トルク/107N・m/9500rpm■燃料タンク容量/12L■タイヤサイズ/F:120/70ZR17、R:190/50ZR17メーカー希望小売価格:1,512,000円(税込)【本体価格 140万円】

KATANA

1

2

3

足まわり
シート裏面
燃料タンク

1メーターは現行GSX-R1000がベース。適度な絞り角が設定されたテーパーハンドルは専用設計で、インナー式燃料タンクの容量は12L。2足まわりの構成はGSX-Sと共通だが、前後ショックはKATANA用として最適化を実施。3シート裏面には車載工具と荷かけベルトが備わっている。シート下の収納スペースは皆無なので、ETCの設置位置は悩みの種になりそう。

優れた資質を継承しながら
守備範囲を大幅に拡大

 ルックスは間違いなくカタナなのだが、乗り味は現代のスポーツバイク。それが新世代のKATANAに対する、僕の率直な印象だ。ライポジ&乗車感を端的な言葉で表現すると、かつてのカタナが“低くて長い”だったのに対して、KATANAは“高くて短い”。基本設計はGSX-S1000/Fと共通だから、そう感じるのは当然だけれど、例えば今どきの他社製ネオクラシックモデルと比較するなら、KATANAの運動性能は圧倒的で、マイナス要素を一切感じることなく、ワインディングロードではスポーツライディングが満喫できる。
 ただしKATANAは、GSX-Sの単なるコスプレモデルではない。アップライトな乗車姿勢とバリアブル化されたスロットルプーリーのおかげで、GSX-Rをルーツとするエンジンの官能性を味わいつつ、一定速度で巡航するのが楽しくなったし、着座位置が前方かつ上方に移動したことで、常用域でフロントタイヤの接地感が把握しやすく、場面によってはスーパーモタード的な走りが味わえるのだ。そういった感触はかつてのカタナとはまったく異なるものの、僕自身は、これはこれで大いにアリ!と感じた。
 言ってみれば新世代のKATANAは、GSX-RとGSX -Sの優れた資質をきっちり継承しながら、守備範囲を大幅に広げたモデルなのだ。

純正アクセサリーも豊富!!

グリップヒーター
グリップヒーター

価格:24,624円(税込)冬場の快適性を高めるグリップヒーターは、他のスズキ車にも対応する汎用品。温度調整は3段階で、コントロールユニットはハンドル左側に設置。

ブレンボキャリパー(レッド)
ブレンボキャリパー(レッド)

価格:37,800円(税込)※片側レッドで塗装したキャリパー以外に、質感を高める純正アクセサリーとして、黒×赤のシートやリムデカール、カーボンプロテクターなどを準備。

メーターバイザー(スモーク)
メーターバイザー(スモーク)

価格:15,120円(税込)全高を長く設定したスモークタイプのメーターバイザーは、かつてのカタナを思わせる雰囲気。左右には三角形のスリットが設けられている。

※パーツの詳細については各スズキ販売店へお問い合わせください。

KATANA

Q.

A.

ツーリング性能は?

コンパクトなカウルが意外なほどの防風・整流効果を発揮してくれるうえに、ライポジがフレンドリーで実直なKATANAは、ロングランを快適にこなせる。ただしスタイルを優先した結果として、ガソリンタンク容量は開発ベースのGSX-Sより5Lも少ない12Lになったので、給油はマメに行わなくてはならない。今回の試乗では、180km走行時に警告灯の点滅が始まった。

Q.

A.

ワインディング、
スポーツ走行は?

基本設計をGSX-Sと共有するKATANAは、他社のネオクラシックとは一線を画する、スポーツライディングが堪能できる。GSX-Sの弱点だった開け始めの唐突さは、バリアブル式スロットルプーリーの採用で解消されているので、思い切ったアクセルワークが可能だ。KATANA専用のチューニングが行われたダンロップ・ロードスポーツ2は、抜群の旋回性とグリップ力を発揮。

中村 友彦

TOMOHIKO NAKAMURA

中村 友彦

若き日に1100カタナの購入を考えたことがあるものの、スパルタンなライポジに厳しさを感じて断念した、2輪雑誌業界23年目のフリーランス。

ココがお気に入り

ジャーナリスト&編集部員の

「ココがお気に入り」

中村 友彦
シート

着座位置にこだわりが見える
「シート」

中村 友彦(ジャーナリスト)

かつてのカタナに通じる乗り味を目指すなら、シート高はできるだけ低くするべきだが、KATANAは開発ベースのGSX-Sに対して、着座位置を前方かつ上方に設定。当初の僕はこのシートに違和感を覚えたものの、GSX-Sとは趣が異なる軽快なハンドリングと快適性を理解した現在は、スズキの姿勢に共感している。とはいえ欲を言うなら、着座位置はそのままで、シート内のウレタン肉厚がもう少し欲しいところ。

重低音が迫力の
「エキゾーストノート」

佐賀山 敏行(編集部)

KATANAに乗る前、まずはエンジンを始動させてみてビックリ!その図太い排気音ははじめ「カスタムマフラーでも入っているのか?」と思ったほど。バイクはスタイルや乗り味も大切だが、やっぱりその気にさせてくれる「サウンド」も重要なポイント。純正マフラーは見た目もやる気満々で、さらに迫力の重低音も相まって、気分を高めて走れるのが嬉しい。ただ、夜中の始動にはちょっと気を使いそう・・・。

佐賀山 敏行
エンジン
栗栖 国安
メーター

刀らしさと斬新さを併せ持つ
「メーター」

栗栖 国安(ジャーナリスト)

いまでは当たり前になった多機能ディスプレイだが、新型カタナのデザインに良くマッチしている。GSX-R1000のディスプレイがベースながら、独自の表示デザインとしていて、機能性はもちろん、背景が黒のネガティブ表示は非常に見やすい。さらにイグニッションONでSUZUKIの文字が表示された後、画面を刀で斬り「刀」のロゴが表示。機能には関係ないが、ユーザーを感動させる演出が楽しい。

アップライトなポジションの
「ハンドル」

稲垣 正倫(編集部)

カタナといえばセパレートハンドルでしょう! という声を今もよく聞くのだが、初代カタナのセパレートハンドルは遠すぎて、腰痛持ちの僕としては辛いところ。その点、新型KATANAはアップハンドルで、ワインディングや高速はもちろん、ツーリングだって楽ちん! とにかくバイクに乗ったらどこまでも走りたくなる僕にとっては、この方がじつはしっくりときているのだ。

稲垣 正倫
ハンドル
結論

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