優れた資質を継承しながら
守備範囲を大幅に拡大
ルックスは間違いなくカタナなのだが、乗り味は現代のスポーツバイク。それが新世代のKATANAに対する、僕の率直な印象だ。ライポジ&乗車感を端的な言葉で表現すると、かつてのカタナが“低くて長い”だったのに対して、KATANAは“高くて短い”。基本設計はGSX-S1000/Fと共通だから、そう感じるのは当然だけれど、例えば今どきの他社製ネオクラシックモデルと比較するなら、KATANAの運動性能は圧倒的で、マイナス要素を一切感じることなく、ワインディングロードではスポーツライディングが満喫できる。
ただしKATANAは、GSX-Sの単なるコスプレモデルではない。アップライトな乗車姿勢とバリアブル化されたスロットルプーリーのおかげで、GSX-Rをルーツとするエンジンの官能性を味わいつつ、一定速度で巡航するのが楽しくなったし、着座位置が前方かつ上方に移動したことで、常用域でフロントタイヤの接地感が把握しやすく、場面によってはスーパーモタード的な走りが味わえるのだ。そういった感触はかつてのカタナとはまったく異なるものの、僕自身は、これはこれで大いにアリ!と感じた。
言ってみれば新世代のKATANAは、GSX-RとGSX -Sの優れた資質をきっちり継承しながら、守備範囲を大幅に広げたモデルなのだ。