- TWINエンジン
バリエーション - ツインエンジンにも、構造の異なる様々なタイプが存在する。シリンダーが横に並ぶ並列2気筒エンジン。シリンダーがV字に繋がるV型2気筒エンジン。シリンダーがクランクを挟んで向き合う、水平対向2気筒エンジンの3タイプが、現在主流となっている。過去にはシリンダーが縦に並ぶタンデムツインなども製造されたが、現在は存在しない。
- ツインは軽い!!
軽いから、攻められる! - ツインエンジンの武器のひとつが、軽量であること。動力性能的にも、運動性にも大きな影響をおよぼすが、心理的な効果も見逃せない。軽さは『扱いきれる』自信と安心感に繋がり、ライダーは思い切ったライディングが可能になるのだ。
ツインはマルチ(=4気筒に代表される多気筒車)に、速さで劣るのか? 答えは『否』だ。ただし、比較する条件が直線のみ、同排気量車による最高速競争だけならマルチに軍配が上がる。これは構造的な違いに理由がある。
ツインはピストンが2個、4気筒は4個。同排気量なら、ピストン1個あたりの重量は、1気筒当たりの排気量が小さいマルチのほうが軽くなる。このピストンの重量の違いが、最高回転数に影響してくる。そもそも馬力とは、トルクと回転数などをかけ合わせて導き出される数値だから、高トルクを高回転域で発生させれば数値は上がる。つまり最高出力だけを比べるのなら、同じ排気量の場合は物理的にマルチが勝るのだ。燃焼行程がコンピュータで解析できなかった時代に、250cc6気筒のGPレーサーや、1.5リッター12気筒のF1マシンが生まれたのにはそんな理由もあった。
とはいえ、サーキットやワインディングといったシチュエーションとなると話は別だ。3気筒以上のマルチは、エンジン単体の重量が大きい。これは当然、車体の重さにも響いてくる。車重は『走る、曲がる、止まる』すべてに影響するから、マシンは軽いに越したことはないのだが、多気筒車はその点でツインに劣る。
さらに同じ排気量のエンジンの場合、ツインの1気筒あたりの排気量は4気筒の倍で、1気筒で発生するエネルギーは大きくなる。つまり、ツインは高回転まで回さなくても、高出力を取り出すことができる。
また、爆発間隔の違いも大きい。一般的な直列4気筒エンジンの場合、各シリンダーの爆発間隔は180度の等間隔。ツインの場合、クランクの設計により爆発間隔は様々だが。マルチに比べて、爆発間隔は広がる。この爆発間隔の広さがポイントで、エンジンは各気筒の爆発毎にパワーを発生させるが、パワーがタイヤに伝わる時に僅かにスリップを起こしロスが出る。その点、爆発の間隔が広いツインは、一度の爆発から次の爆発の間にタイヤがグリップを回復する特性に優れ、元々のトラクション性能が高いのだ。
幅広いトルクバンドは、自在なスロットル操作を可能とし、トラクション性能に優れる。そしてスポーツライディングでの最大の武器となる“軽さ”も備える。ツインは、構造的にも速いのだ!!