|
90年代は欧州でストリート・ファイターが登場した、いわば『ストファイ創生期』。 スピードトリプルが登場した時、初めて試乗したライダー達はみな口を揃えて「凄いバイクだなあ」と大喜びしたもんである。正直なところ性能は並レベルだったが、フィーリングが素晴らしかった。スロットルを開ければズドンと地響きのような重々しい排気音と力強い三気筒のパルスが身体を揺さぶる。スロットルを開ければどんな回転であろうと問答無用のトルクで押し出される。インジェクションで調教されたマシンのつもりでスロットルを開けようものなら腕が伸び切ってしまうくらい。そんな凶暴なパワーフィーリングは、当時盛り上がりつつあったストリート・ファイターにうってつけ。事実トライアンフは、このモデルの排気量を上げ、外観もよりアグレッシブに変更。スピードトリプルを完全なストリート・ファイターに仕上げていったのである。
![]() とんでもないマシンが出て来たもんだと思ったものである。空冷Vツインはメチャクチャにパワーが出ているし、ホイールベースが短いから全開にすればいとも簡単にウイリー。真っすぐな道では豪快だが峠は難物。コンパクトな車体とハイグリップタイヤで高い旋回性……なんて言われていたが、実際のところは性格が激しすぎて乗りこなすこと自体が難しかった。文句なしのジャジャ馬No1。しかし、それはこのマシンの本質ではなかった。とあるハーレー関係者が酔っぱらった時に言った「設計者のエリック・ビューエルは、女の子を後ろに乗せてカフェまで出かけるためにこのマシンを作ったんだよ。シートが小さいだろ? 女の子と密着できるからさ。ウイリーだって出来たら女の子に騒がれると思ったからさ。コーナーリング? そんなの速くても女の子にモテないじゃん」ということがこのマシンの本質。感動した。これぞ真のストリート・ファイター!?
![]() ![]() ※平均中古価格はGooBike.com調べ(2013年5月時点) ![]() |
![]() |
![]() |