それまでBMWのKシリーズは縦置きの3気筒や4気筒エンジンだった。しかしK1200S以降のKシリーズでは、日本車同様の横置きレイアウトとなり、それまでBMWを敬遠気味だったユーザーにも受け入れられる車体となったのだ。
近年、スポーツバイクのカテゴリーでも大きな注目を集めるメーカーがBMWだ。水平対抗2気筒の2気筒モデルや、縦型エンジンを搭載していたKシリーズなど、以前は少し特殊なバイクというような見方をしていたライダーも多いが、ここ数年のニューモデルラッシュや、Kシリーズのモデルチェンジや、S1000RRの投入により、一気にスポーツユーザーの間でも無視できない大きな存在となっている。
四輪のドイツ車のイメージと同じく質実剛健といった言葉で表現されることの多いBMWのバイクだが、いつの時代でも先進の装備を備えていることも最大の特徴のひとつであった。しかし、性能をスポーツに特化した日本車同様のカテゴリーには敢えて足を踏み入れてこなかったともいえる。ところが、そんなBMWもK1200Sからはそれまでのツアラー路線のイメージを覆す、超ハイパフォーマンスなモデルを積極的に市場へ投入し始めている。ことメガスポーツというカテゴリーにおいては、K1300Sも世界各国で人気のモデルなのだ。
緻密なマネジメントで右手の動きにリニアに反応するエンジンは、200km/hを超える速度でも余裕を感じることが出来るし、独創のシャーシは超高速域での安定性を高次元でカタチにしており、日本車とはまったく違うアプローチで作られたマシンながらも、その乗り味や官能的な性能は、一度乗ると間違いなく病みつきになる魅力を持っているのだ。
BMW独創のシャーシは超高速域でも高い安定性を発揮する
日本車に慣れたライダーには、異様な姿にも映るBMWのシャーシ。シャフトドライブの採用や、デュオレバーと呼ばれる独自機構のフロントサスペンションは、BMWが持つ最新技術の結晶と呼べるものなのだ。
技術革新で世界を引っ張るBMWのハイテク装備
低重心シャーシ
フレームを見れば、エンジンを極端に前傾させたことで低重心化を実現できたことがよく分かる。また、前後輪の荷重配分は50:50を実現している。
シャフトドライブ
最小限の駆動ロスと圧倒的な耐久性、そしてメンテナンスフリーを目指した結果のシャフトドライブ。長年採用し続けているBMWの拘りのひとつ。
ESA(電子制御サスペンション)
グリップに装着されたスイッチで特性を変化させる電子制御サスペンションは、K1200Sで採用された市販車世界初の装備。先進技術への拘りが見える。
ギアシフトアシスト
クラッチレバーを握ることなくシフトアップが可能なギアシフトアシスト。K1300Sのプレミアムラインに採用されるハイテク装備だ。