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長らくスズキの直4最高峰モデルは、油冷時代からGSX-Rシリーズがその役割を負ってきた。そんな中、1999年に突如現れたGSX-Rシリーズの最高峰モデルが隼である。それまでのGSX-Rからの流れをみれば、ある意味突然変異的とも言える車両だったが、その圧倒的なポテンシャルにより、あっという間に世界最速の称号を手に入れたことで、世界中のライダーが熱狂した。 車体を見るとライバル車のZZRとは大きく異なる。06年にデビューしたZZRがモノコックフレームなのに対し、隼は一般的なアルミツインスパーフレームを採用する。もちろん設計時期やコンセプトの違いなども影響しているが、登場から10年を経た現在もその基本骨格を引き継ぐ。エンジンは一度ストロークアップによる排気量拡大を受けているが、エンジン内部の縦方向の寸法が僅かに変わるだけなので、基本骨格にまで大幅な変更は必要なかったともいえるだろう。また、GSX-Rの名をつけていた通り、スーパースポーツとしての性能にも気を配っていたこともあり、幾つかの有力チームはスプリントや耐久レースに隼ベースの車両で闘った実績もあるくらいなのである。 今も熟成を続ける隼は今後も独自の進化を続けていくはずだ。 空力デザインへのこだわり自社で風洞実験施設を備え、さらには竜洋テストコースという国内屈指のハイスピードなテストコースを所有するスズキ。かねてからスポーツモデルの空力特性には強い拘りを持ったメーカーである。隼のデザインはその最たるもので、カウルはもちろん、マフラーやタンデムステップステーひとつ取っても一切の妥協が見られない。 真横からのシルエットだけでなく、真上や真後ろから眺めても空力に気を配っていることがよく分かる。全ては超高速域での安定性と運動性能のためなのだ。決してデザインありきではなく、機能を追求して生まれたスタイルにほかならない。 世界最速を実現した心臓部にもスズキの拘りが見え隠れする初期モデルでは1299ccだったエンジンは、現行型では1340ccへと排気量が拡大されている。これには06年にデビューしたZZR1400の排気量に対抗する措置とも取れるだろうが、熟成を重ねているアドバンテージは非常に大きいと言える。 現行では1340ccのエンジンを搭載する隼だが、それまでは1299ccの排気量だった。約40ccの排気量UPには、ボアの拡大ではなく、2mmのストロークUPで対応した。このボア・ストローク比も隼ならではのトルクの太さを実現する理由のひとつ。 ボア径81mmのピストン。ピストンリングはトップ、セカンド、サードと一般的な構成。スカート部は短く、軽量化と低フリクションを狙った仕様だ。また、ピストンのトップランドの端までバルブリセスを設け、大径バルブに対応する。 エンジンの要といえるクランクシャフト。スロットルを開けたときのフィーリングや、パワーの出方にも影響する部分でもある。低速から搾り出すようにトルクが発生しているのもこのクランクによる部分が大きいといえるだろう。 隼歴代モデル |
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