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 レーサーレプリカ全盛の80年代後半、スポーツバイクは1年で生まれ変わり、毎年早くなることが当たり前。速くなければオートバイではないような風潮さえあった。そんななか、突然、カワサキから時代錯誤とも思える空冷エンジンを積んだ400ccゼファーが発表された。 だが、性能も装備も平均以下のこのマシンに人々は飛びついた。速さと楽しさは別であると言うことをゼファーは訴え、「オートバイらしいオートバイ」として多くのライダー達から支持された。現在も残るネイキッドというカテゴリーは、このゼファーによって生み出されたのである。 その後、90年には750が登場。搭載されていたエンジンは元を辿ると70年代に生まれたZ650なのだから、基本設計がどれだけ優れていたかわかる。そして92年には最大排気量の1100が追加。さらに96年には4バルブ化された400ccのゼファーχも追加されるなど、常にネイキッドブームの中心的存在として生き続けた。だが、基本設計の古い空冷エンジンでは、厳しくなる騒音、排出ガス規制に対応することが難しくなり、遂に昨年、すべてのゼファーシリーズの生産が終了した。こうして長く続いたZの血脈は途絶えることになったのである。 余談だが、整備されたZ1に乗ると、今でも十分な性能を持っていて、しかも乗りやすいことに驚かされる。古さなど、まったく感じさせないのだ。 80年代、他のメーカーを追従したカワサキは、エンジンを水冷にしたニンジャを発表し、ハイパワー化に対応していくが、その一方で空冷2バルブ4気筒エンジンにこだわり続けた。それはストリートを走る限り、このパワーユニットこそが最良であるという信念のようなものだったに違いない。 ハイパワー化にうかれていた多くのライダー達が、そのことに気がついたのは80年代後半、ゼファーが登場した時だった。 Z1は最高の性能、ゼファーはそこそこで十分な性能、位置づけは違ったが、どちらのマシンもその時代を作ってきた。そして、今もなお多くの人々の心を掴んで離さない名車中の名車なのである。 アンチレーサーレプリカ ネイキッドブームの立役者1989-1996
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| エンジン | 空冷DOHC 2バルブ4気筒 | 
| 排気量 | 399cc | 
| 最高出力 | 46ps/11000rpm | 
| 最大トルク | 3.1kg-m/10500rpm | 
| 中古平均価格 | 28.8万円 | 
レーサーレプリカブームのまっただ中、日本のオートバイは速さだけを追い求めているような状態だった。そんなところに突然登場した400ccのゼファー。特別なところは何もない、ただの普通のマシンだったが、まさかの大ヒット。当時はカウル付きが当たり前だったため、ゼファーのためにネイキッドという言葉まで生まれた。レプリカブームを終わらせてしまったのは、まさしくこのマシン。時代の流れを変えてしまうチカラを、カワサキ空冷2バルブは持っていたのである。
| エンジン | 空冷DOHC 2バルブ4気筒 | 
| 排気量 | 738cc | 
| 最高出力 | 68ps/9000rpm | 
| 最大トルク | 5.5kg-m/7500rpm | 
| 中古平均価格 | 57.6万円 | 
同じゼファーでもナナハンと400は性格が異なる。Z650ベースのエンジンで動力性能も素晴らしく、ハンドリングも俊敏。ザッパーの思想を復活させたようなモデルだった。このためにベテランを中心に人気となり最近まで生産され続けた。
| エンジン | 空冷DOHC 2バルブ4気筒 | 
| 排気量 | 1062cc | 
| 最高出力 | 93ps/8000rpm | 
| 最大トルク | 9.1kg-m/7000rpm | 
| 中古平均価格 | 73.2万円 | 
もっと大きなゼファーが欲しいという声によって登場したのがこの1100。GPZのエンジンを復活させることはできず、ベンチャーロイヤルという水冷マシンのシリンダーとヘッドを空冷化して搭載している。堂々とした雰囲気を楽しむマシンだ。
| エンジン | 空冷DOHC 2バルブ4気筒 | 
| 排気量 | 399cc | 
| 最高出力 | 53ps/11500rpm | 
| 最大トルク | 3.6kg-m/9000rpm | 
| 中古平均価格 | 31.3万円 | 
ネイキッドブームが盛り上がってくると、その中で再び性能競争が始まった。ライバル達が続々と登場してくる中、ゼファーも普通なだけのマシンではいられなくなり、高性能を追求してエンジンを4バルブ化することになった。
| エンジン | 空冷DOHC 4バルブ4気筒 | 
| 排気量 | 783cc | 
| 最高出力 | 68ps/9000rpm | 
| 最大トルク | 5.5kg-m/7500rpm | 
| 中古平均価格 | 65.2万円 | 
ゼファー750をスポークホイール化。70年代のカラーリングとタンクエンブレムを装着したモデル。初期型Z1の通称「火の玉」カラーも復活。ホイールの剛性や重さが違うため、乗った時のフィーリングはスタンダードよりソフトな感じになる。
| エンジン | 空冷DOHC 2バルブ4気筒 | 
| 排気量 | 738cc | 
| 最高出力 | 73ps/9500rpm | 
| 最大トルク | 6.3kg-m/7500rpm | 
| 中古平均価格 | 38.8万円 | 
ゼファー750と同じザッパー系の750ccエンジンを、最新のフレームやリンク式サスペンションと組み合わせたモデル。マシンとしての完成度は高く、言ってみれば空冷エンジンを搭載した750クラスのベストモデル。だが、そのエンジンの素性からライダーが昔のテイストを求めると、最新の乗り味が逆に寂しく感じるという意見もある。
| エンジン | 空冷DOHC 2バルブ4気筒 | 
| 排気量 | 399cc | 
| 最高出力 | 53ps/11500rpm | 
| 最大トルク | 3.6kg-m/9000rpm | 
| 中古平均価格 | 49.8万円 | 
エンジンが4バルブになった翌年、ゼファーχは足まわりを中心に進化。ホイールサイズが17インチになり、装着タイヤもバイアスからラジアルになった。だが、ここ数年のさまざま規制に対して空冷エンジンでは対応が難しく生産が終了された。
| エンジン | 空冷DOHC 2バルブ4気筒 | 
| 排気量 | 738cc | 
| 最高出力 | 72ps/9500rpm | 
| 最大トルク | 6.3kg-m/7500rpm | 
| 中古平均価格 | no data | 
最新の車体と空冷エンジンを組み合わせたZR-7Sにフレームマウントのカウリングを装着したモデル。長距離のクルージングも余裕でこなす。完成度の高い車体に搭載されたことで空冷2バルブの良さが再認識されることになった。
| エンジン | 空冷DOHC 2バルブ4気筒 | 
| 排気量 | 1062cc | 
| 最高出力 | 93ps/8000rpm | 
| 最大トルク | 9.1kg-m/7000rpm | 
| 中古平均価格 | 71.7万円 | 
ゼファー1100をベースとし、ホイールをスポーク化したモデル。1998年モデルでは、70年代のZ1を彷彿とさせるカラーリングを採用し、タンクのKawasakiエンブレムを立体にするなど、往年のZのイメージを復活させた。性能や仕様には特に変更は加えられていない。
 
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| エンジン | 水冷DOHC 4バルブ4気筒 | 
| 排気量 | 953cc | 
| 最高出力 | N/A | 
| 最大トルク | 10kg-m/8200rpm | 
Zの名前を受け継いで新しく生まれたモデル。アップハンドルによるリラックスしたポジションでありながら、スポーツバイク顔負けのポテンシャルを発揮するストリートファィター。輸出仕様のみだが現在でも逆輸入車を購入することができる。エンジンは、750ccと1000ccの2種類。ともに水冷エンジンで、高剛性フレームに搭載される。過激なパフォーマンスを楽しむならZ1000。バランスの取れた走りを楽しむならZ750という選択をすることができる。
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