2025/02/02 17:04:15 更新【スクータータイヤ交換】スズキ レッツバスケット タイヤ交換とオイル交換スズキ レッツバスケット
タイヤ交換とオイル交換でご入庫いただきましたスズキレッツバスケットです。 ミッツ・ハーでは整備や修理の作業予約を承っております。 他のお客さまの来店や、作業中の車両がある場合はご来店いただいてもすぐに作業が行えません。 ご予約いただければお待たせしませんので、まずはお電話でお問合せください。 もちろん当日予約でも空きがあればお引き受けいたします。

今回、ご予約時にお電話で「リアタイヤにネジが刺さっている!」 摩耗もしているし、ひび割れもしているようなのでタイヤ交換をしたいとのこと。 空気圧は低下しているものの、自走は可能だということでした。 チューブレスタイヤですので異物が刺さっていても急に空気が抜けることはありません。 釘などの異物が刺さっているのを見かけても抜いたりせず、指定よりも若干多めの空気を入れて走行可能です。 異物が抜けると一気に空気が抜けるので、修理するショップに到着するまでは抜かないようにしましょう。 走行時も稀に空気の抜けが早くなる可能性がありますので、速度は控えめに走ってください。

入庫したところでタイヤを点検。 どうせ交換するタイヤだから…と言わずにパンクしていると思われるネジの刺さった部分を確認します。 なるほど…地面に接地するトレッド部とサイドウォールの際にネジが刺さっています。 この場所だとパンク修理も難しそうです。 それによく見るとタイヤのセンター部分のスリップサインが露出しています。

タイヤの溝の中に、一部その溝の深さが浅くなっている箇所があります。 この部分がスリップサインで、ここの浅くなっている部分の溝が無くなっていれば要交換というサインです。 法定違反にもなります(整備不良)

フロントタイヤも溝があるものの紫外線の影響による経年劣化でひび割れが目立ちます。 前後同時に交換しましょう。

オイル交換も同時に行いますので、タイヤ交換の前に古いオイルを抜きます。 オイルゲージを確認すると白いクリーム状のものが…水分です。 エンジンはガソリンと空気を混ぜた混合気(ガス)を燃焼させています。 空気には水分を含んでいますので、冬場はこれがエンジン内に結露を発生させます。 完全に暖まったエンジンなら、空気がエンジンに吸い込まれた瞬間に水分は蒸発します。 ただオートバイは排気量が小さいので自動車等よりもエンジンの発熱量が少なく、完全にエンジンが暖まるまで15分程の走行が必要です。 最低でも10分以上の走行が必要ですね。 これよりも早くエンジンを停止すると吸い込んだ空気内の水分を瞬時に蒸発させるほどの熱をもっていません。 エンジンを停止すると外気温によりエンジンが冷えていきます。 するとエンジン内部に結露が発生します。 皆さんのお宅の窓ガラスなどに結露が発生するのと一緒。 部屋の中が暖かく、外が寒いと気温差で結露ができますよね?

この結露はまず最初にカーボンと結合します。 燃焼時に出るススですね。 本来は乾いた粉のようなカーボンは再始動時にエンジンの外へマフラーを経て排出されるものですが、結露と結合するとエンジン内部に固形物として蓄積していきます。 この固形化したカーボンはかたまりとなって排出される際に、排気弁(バルブ)に噛みこんでしまうことがあります。 こうなるとエンジン内部は密閉されることができず、燃焼ガスを圧縮することができません。 本来は吸気側も排気側も弁が閉じている状態でピストンが上昇しガスを圧縮。 そこにプラグで火花を散らせば爆発するはずなのですが、ガスが抜けてしまうのです。 エンジンは停止したまま始動できません。 なんどか始動を試みていると、弁に噛みこんだカーボンが砕けて排出されることがあり、そうすればエンジンは始動できます。 しかしその前にバッテリーが上がってしまうことも…

この「カーボン噛み」を防止するためには出来るだけカーボンを堆積させないようにしましょう。 具体的にはアクセルをしっかりあけて加速する機会を定期的に設ける(法定速度は順守してください) アクセルをしっかりあければ空気を大きく吸い込むので、エンジン内部のカーボンを排気出す効果が生まれます。 また、特に冬場の短時間走行によるカーボンと水分の結合によるカーボンの体積を防ぐため、エンジンを始動したらできるだけ10分〜15分以上の走行を行ってしっかりとエンジンをあたためる。 あまりオートバイに乗る機会がないからと走行せずに数分間アイドリングだけするというのは絶対にNGです。 エンジンオイルは金属表面に油膜を形成し摺動部分の金属を保護することだけでなく、エンジン各部を循環して冷却ならびに洗浄する役割を担います。 エンジン各部の汚れをオイルが吸着するのです。 だからオイルは黒く汚れるんですね。 従ってあまり乗らない方でも(むしろそういう方こそ)小まめにエンジンオイルを交換しましょう。 また燃料系統の洗浄・燃焼促進効果のある燃料添加剤等を使うのも有効です。

オイルゲージに付着していた白いクリーム状のものは結露とオイルが混じって生成されたもの。 油を使ったフライパンやお皿に水を張っておくと、油分が白く固形化して浮きますよね? あれと同じです。 エンジン内部に発生した結露はオイルに混じり、オイルを希釈します。 オイルは希釈されると当然ながら油膜の形成力が低下し、エンジンを保護する本来の性能も低下します。 また、エンジン内部も錆びますので注意が必要です。 自動車でもオートバイでも短距離短時間走行を繰り返す状態を「シビアコンディション」と言います。 それだけエンジンに厳しい状況ということなのですが、小排気量になればなるほどシビアな状況になることを覚えておいてください。

古いエンジンオイルを抜いている間にタイヤ交換を行います。 スクーターのリアタイヤ交換時にはマフラーを取り外す必要があります。 マフラーが熱い時には火傷に注意…そうこともあり、最初にオイルを抜く作業から入りました。 マフラーが少し冷めた頃に皮手袋を使いながらマフラーを両手にもって外します。

車体からホイールを取り外すとブレーキやドライブシャフトが見えますので点検を実施。 普段は目にすることのできない場所ですので必ず点検し、必要であれば清掃やグリスアップなどの整備を実施します。

ホイールから古いタイヤを取外し新旧のタイヤを並べてみると… うん…やはり交換したほうがいいですね、この状態なら。

このスナップインバルブと言われるチューブレスバルブは軽量というメリットがあるのですが、根元がゴム製なので劣化して折れることがあります。 タイヤと同じく紫外線の影響により硬化するのです。 いきなり折れることは無いと思いますが、空気圧を点検するためにゲージを押し当てるとポキリと折れることがあります。 折れると瞬時に空気が抜けて走行不能になります。 パンクより厄介です。

スナップインバルブの交換のためにはタイヤ交換と同じようにホイールからタイヤを外す必要があります。 もし出先でスナップインバルブが折れたら自走することができずレッカーの手配が悲痛用となり、更に数百円の部品の交換のために多くの手間と工賃を払うことになります。 そうならないためにもタイヤ交換時にはスナップインバルブを同時に交換しましょう。

前後のタイヤ交換を終え、オイル交換も完了させれば作業終了です。 この度はご用命まことにありがとうございました!
