2024/12/05 17:20:57 更新【クラッチトラブル】ドゥカティ モンスター695 クラッチプレート交換(スリッパ―クラッチ修理)ドゥカティ モンスター695
ドゥカティの希少車 モンスター695がクラッチトラブルで入庫です。
ネイキッドブームの先駆けとなったドゥカティMonsterシリーズ。 1993年に登場したMonsterはそのデザインを変えながらも現在も人気のシリーズです。 こちらの車両はその初代モデルのデザインを踏襲している695です。 真ん丸のヘッドライト(現行は異形です) トレリスフレームが協調されたスタイルは現在でも人気で、普遍的なそのデザインは飽きの来ないものです。
久しぶりに乗るとクラッチが切れない…いわゆる「クラッチの張りつき」症状が時折見られる車両でした。 しっかりとエンジンオイルが暖まり、しっかりとブレーキをかけた状態でニュートラルから1速へ入れるとクラッチが剥がれると言った具合に、どうも張りつき癖が出ていました。 あまり乗っていない車両だと時々発生するトラブルで、別にドゥカティ特有のトラブルと言うわけでもありません(むしろドゥカティでは少ない症状です) その症状が徐々に悪化してきたのと、なんとなく高回転域でシフトチェンジをするとクラッチが滑るような感覚がある…ということでクラッチプレートを交換することにしました。
ドゥカティというと乾式クラッチのイメージを持たれている方が多いかと思いますが、この695は湿式クラッチです。 シフトダウン時に意図的に半クラッチ状態を作り出し、エンジンブレーキのバックトルクで後輪がロックすることを防ぐスリッパ―クラッチです。 かつてはバックトルクリミッターなんて言われ方もしていましたね。 APTCクラッチと言って、イタリアアドラー社の「アドラー・パワー・トルク・クラッチ」というのが正式名称。 クラッチがものすごく軽くなるのもメリットのクラッチです。 Monster400等でクラッチの重さに苦労している方は、このAPTCクラッチにすることで対策することもできます。
エンジンオイルを抜いてからエンジン右側のクラッチカバーを取り外します。 走行距離も少なくオイル管理も良いせいでしょう、見た目にもとても奇麗。 オイル管理が悪いとここが真っ黒でベタベタになっています。 特殊工具を使ってクラッチを分解し取り外します。
単にクラッチプレートを交換するだけでなく、普段は目にしない部分を点検していきます。 クラッチバスケットにキズと言うほどのものではありませんが跡がついていますが、特に問題となるものではありません。
張りつき症状の出ていたクラッチプレートを点検しましたが、目視しただけでは何ら問題ありません。 摩耗もそれほどしておらず滑る症状が出るようにも見えません。 ただ、過去にも張りつき症状の出る車両のクラッチを交換していますが、張りつき症状の出るクラッチプレートって見た目じゃわからないのです。 滑るという症状が出ていれば目視すると「やっぱり減ってるな…」とわかるものなのですが。
張りつき症状はあまり乗っていない方がオイル管理が良くない(交換頻度が少ない)場合に発生しやすい傾向にあります。 乗っていないからオイル交換はあまりしなくてもいい…というのは誤解です。 乗っていなくてもオイル交換は定期的にしましょう。 また、クラッチプレートは消耗品です。 半クラッチを多用するほど摩耗して滑り出します。 市街地走行等、クラッチを多用する場面で走る車両は特に消耗しやすいです。 違和感を感じたら早めに交換しましょう。