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ツアラーとひと口に言っても、そのカテゴリーを明確に表すのは意外と難しい。なぜなら、ツーリングは画一的なものじゃないからだ。10人いれば10通りのスタイルがあると言っても過言ではない。当然のことながら、要求する機能や性能もまさに十人十色だろう。だが、カテゴリーをある程度グループ分けしてみると、自分の目的や使い方に合ったバイクが見えてくる。
たとえば、高速道路を何百kmも一気に走るロングツーリングが多く、ワインディングを攻めるのも好きな人なら、スポーツツアラーの持つ性能が要求に応えてくれる。ドゥカティST3は、まさにそんな1台だ。
全体にスポーツ色の強いドゥカティのラインアップにあって、いわゆるツーリング性の充実も図っているのがSTシリーズの特徴だ。現在、4バルブのST4と3バルブのST3があるが、2バルブの中低速トルク特性と4バルブの高回転特性を併せ持つST3は、日本の道路事情に、よりマッチしたパフォーマンスを発揮してくれる。
スーパーバイク直系のトラリスフレームを骨格とした高剛性ボディは、SSシリーズ同様のスリムでスポーティなフォルムを持つ。しかし上体がわずかに前傾するポジションは、低く前寄りにセットされたステップと相まって、予想外にリラックスできる。さらに肉厚の大型シートは、1Gで程よく沈み込む座り心地のよさがあり。タンデム走行でも十分なだけのスペースを確保しているのもうれしい。
ややハイギヤードに設定された6速ミッションは、市街地では3速までが守備範囲。低速トルクがあって伸びのよさも兼ね備えているので、アクセルを開ければダイレクトに加速してくれる。かなりスピーディな走りが可能だ。そして高速道路へと進入すれば、まさに水を得た魚のごとしである。俊敏なレスポンスを発揮するデスモドロミックLツインは、あっという間にハイスピード領域へと導く。制限速度100km／hの日本の高速道路では、はっきりいって役不足。6速に入れるのもおこがましい。
高速走行をサポートしてくれるもうひとつの装備が大型カウルだ。通常のポジションではヘルメットに走行風が当たるのだが、風圧がで疲労を誘発することはない。寒冷時や雨中のツーリングでは、その効果の高さをさらに実感する。
スポーツというからには、ワインディングでも軽快に楽しく走れなければ意味がない。ST3はそこでも乗り手を落胆させることはない。強靱なフレームと高性能な足が、高い運動性を引き出してくれるのだ。しかも、高い安定性を維持したまま軽快に切り返しができるハンドリング特性を実現している。仮に国産車から乗り替えたとしても、違和感なく扱えるはずだ。
高速ツアラーとしての高い快適性と、スポーツ性とをバランスさせていたのが印象的だ。 |
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| 見てのとおり、分厚く大型のダブルシートが装備されている。ドゥカティのラインアップのなかでは希有だ。これは長時間走行での疲労の軽減を図るうえで必要なこと。実際その座り心地はよく、適度の硬度があるところが好ましい。タンデム性もよいはず |
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| 高速走行するとカウルの効果がよく理解できる。単に風防効果があるだけでなく、空力特性にもすぐれた大型カウルは、走行安定性にも貢献する。また、上部がセリ上がった形状のウインドシールドが、走行風をうまく抑制している |
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| 荷物の積載用フックはとくに装備されていない。仮にスタンダードの状態でツーリングするなら、なんらかのフックを取り付ける必要がある。しかしツアラーとして使うことが前提なら、パニアケースを装備すればいい。かなりの収納力があるので、タンデム時にも有効だ。荷物落下の危険性もない |
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| クランプによって立ち上げられたセパレートハンドルが、ゆとりあるポジションを確保 |
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穏やかで扱いやすい
でも、高い性能を持つ |
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 足まわりの設定はやや硬め。そのためタイトなワインディングではゴツゴツ感のある乗り心地になる。だが、乗り手の操作に対して過敏に反応することはなく、それでいて高い運動性を発揮してくれる。ハンドリングにクセもないので、全体に扱いやすい。ブレーキも同様で、入力に応じてジワリと効力を発生し、制動力も高い |
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