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クルーザーのススメ! GooBike Presents!
パワークルーザー フォルムからにじみ出る、迫力の力感。 怒濤の加速を秘めたパワーブースター
ライダーがよろこびを持てる加速が至上命題
 オートバイメーカーにとって、この種類のモデルを造るのはけっこう大変なことだろうな、と思う。走る、曲がる、止まる、という基礎性能の良し悪しはもちろんのことだが、「パワークルーザー」をどう造ったかという、人生観にも似たものが作品たるバイクに投影されてしまうからだ。
 趣味はいいか、仕事も遊びも両刀使いでこなせそうな人間が乗っている、という連想を生むか、そして知的かつワイルドか、これらを満たし、内面に潜んだ野生のようなものを代弁してくれるか。
 単純な移動装置ではなく、この移動装置に求められた加速や旋回性能のバックグラウンドにすら、そうした次元の感覚が封入されていることを多くの乗り手は望んでいる。
 だって、速いだけなら、飛行機や新幹線、それに光通信など、速度に関してはバイクごときの敵ではないものが数多い。
 そうした無機質な速さよりも、スローライフのなかに当てはめて、その枠のなかで、もっともよろこびを持てる加速であること。そんなアナログかつ、オーガニックな増速の喜びが求められるバイクなのだ。
 だから、このカテゴリーでは、加速、巡航、減速、旋回というサイクルのどこに山を持ってくるかを、徹底チューニングする必要があり、そこに作り手の感性がもろに出てくるのだ。
 たとえば加速である。乗り手がクラッチをつなぐ前に、アクセルをこれだけひねれば加速Gが体をグッと後方に引っ張る、そのとき生まれた音と振動はこれぐらい、という期待値にリニアであることが求められる。
 言葉に書くと、どんなスーパースポーツでも同じような部分はあるのだが、この種のバイクでは、低い回転からトルクを背景にした圧倒的な加速でタウンスピードの巡航速度までの短い時間のなかで、シフトアップを重ね、一瞬も途切れない連続する加速のよろこびを、芳醇に歌い上げる必要がある。
 エンジンの回転を知らせるタコメーターなんてそもそも不要というくらい、目ではなく、舌で楽しむような加速が必要なのだ。
有名レストランが誇る名物料理の完成度
 その加速を生み出すエンジンは、いわばパワークルーザーのキモ。そして、エンジンの排気量は加速の素材であり、エンジン形式は加速の下味となる。それと同時に、このエンジンがバイクのなかで、装飾品として成立していることも大切な要素だ。
 エンジンが水冷であるとすれば、ラジエターの配置や大きさ、そして、その姿をどう見せるか、という演出。その細部まで、作り手は力を入れる必要がある。ポジションを作り出す、ハンドル、シート、ステップの位置関係はもちろん、触感にも心配りが必要である。
 こうしたいくつかのハードルをクリアしたとき、「排気量」が持つ、加速感や走りへの期待値はより高いレベルに達し、満足感を高めてくれるはずだ。
 いわば、有名なオーナーシェフが出す、そのレストランの名物料理であることが必須なのだ。食同様、パワークルーザーの楽しみは、乗り手にどれだけ満足感にあふれた時間を提供できるか、ということである。
 今回、そんな意味で、世界のメーカーから大排気量モデルばかりが集合したのは、かくのような理由によるところだ。メーカー特選の、1台1台をご覧いただきたいと思う。
Detail of Power Cruiser
→2005年モデルでお色直しを受けたVRSCB。ヘッドライトが他のハーレーシリーズと共通デザインとなった。VRSCAは流れるような特徴的デザインを踏襲する
HARLEY-DAVIDSON VRSCB V-Rod
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メーカー希望小売価格 228万9000円
HARLEY-DAVIDSON VRSCB V-Rod VRSCBの顔つきがガラリと変わった。FX系やスポーツスターと同径となる丸いヘッドライトを採用。ワイルドさを全面に押し出すフェイスに変身した。V-ロッドのエンジンは、HDが1994年から参戦したAMAスーパーバイクに参戦するために造り上げたVR1000をベースとする。60度のVバンクと、100.0×70.0(mm)というショートストロークエンジンなのだ。ヘッドはパワーを生み出すためのDOHC4バルブを採用する
HONDA VALKYRIE RUNE メーカー希望小売価格 輸出車
HONDA VALKYRIE RUNE 水平対向6気筒エンジンを載せたこのクルーザーは、見どころ満載のメカニズムと、カスタムテイストにあふれた仕上がりが印象的だ。まず、ボトムリンクを採用したフロントフォーク。トレーリングアクスルやヘッドライトの後方のリンケージは、見事にクロームアウト。テールランプの形状も、市販モデルの域を大幅に超えている。割りきったひとり乗り仕様など、まさにパワークルーザーを体現。アメリカの現地価格2万5000ドルはうなずける
YAMAHA XV1700 Roadstar Warrior メーカー希望小売価格 輸出車
YAMAHA XV1700 Roadstar Warrior これだけの排気量を持つクラスの定石として、エンジンの重量や振動に対する強度確保のため、バイクの重量がどうしても増える傾向がある。300kgを下まわるケースはほぼゼロ。しかし、このウォーリア、アルミフレームを採用するなど、同系列のエンジンを載せるロードスターよりも30kg以上のダイエットを成し遂げ、278kgという車体に1700cc空冷OHV4バルブVツインを搭載。加速、減速、コーナリング、どれもが粒ぞろいの楽しさをもっている
KAWASAKI VN2000 メーカー希望小売価格 輸出車
KAWASAKI VN2000 カワサキ渾身のパワークルーザー。挟角52度というVツインは、排気量2053cc。水冷としながらも、103.0×123.2(mm)という広大かつ長大なボア×ストロークを持つシリンダーとシリンダーヘッドには、見事な冷却フィンが刻まれている。103馬力と18.0kg-mを生み出すに至ったエンジンは、まさに見事な迫力。従来からのバルカンがそうであるように、このモデルも、フューエルインジェクションを装備。性能も環境への配慮も万端である
Triumph Rocket III メーカー希望小売価格 241万5000円
Triumph Rocket III 2239cc、ボア×ストローク101.6×94.3(mm)という直列3気筒エンジンは、ロケットIIIにバーチカルマウントされる。このエンジンが生む142馬力&20.4kg-mという数値よりも、この排気量にして7000回転あたりまで軽やかに回るエンジンのキャラクターが印象的。150/80-17というVMAXのリヤのような前輪と、240/50-16というリヤタイヤが生み出すコーナリング性能は独特ながら、まさにパワフルな存在感は、比べるものがない
KAWASAKI VN1600 MeanStreak メーカー希望小売価格 輸出車
KAWASAKI VN1600 MeanStreak ロー&ロングというスタイルに、走りのディテールを組み合わせたカスタムマシン、ミーンストリーク。搭載されるエンジンは水冷OHC4バルブのVツイン。従来の1470cc仕様から1552ccへと排気量を拡大。トルク&パワーが向上している。従来モデルでも、加速や高速域でのクルージング性能に優れていただけに、このモデルもパワークルーザーとしての大切な要素を満たしているといえる。各部の質感アップも同時に施された