このところ新型車登場のニュースや、新規参入メーカーの噂が絶えないフルカウルスポーツ。
ここではいま世界で注目を集める話題をチェックしよう。
長い空白の期間を経て
群雄割拠の時代に突入!?
ヤマハのR25の登場や、カワサキやトライアンフの新型車の噂など、近ごろはフルカウルスポーツの話題がバイクファンの間で持ちきりである。ニンジャ250Rの登場まで、ほぼ絶滅状態だったフルカウルスポーツは、確実にその地位を取り戻しつつある。国産メーカーはもちろん、海外メーカーもその兆しを感じ取っている。それは日本市場というよりも東南アジアを中心とする新興国市場での需要を見越していると言えるだろう。トライアンフ、KTM、BMWなど、大排気量モデルを数多く販売するメーカーでも、新興国市場の二輪メーカーとのパートナーシップを結び、タイやインドでの現地生産を行う道を画策しており、すでに動き出している。こうしてエントリーユーザーにも買いやすい価格とすることで、ブランドへの求心力を高めようという狙いがある。今後その動きは新型車登場という形でさらに加速して行くはずだ。
いまネットで飛び交っている情報の中には、噂の域を出ないものもあるが、そうした噂話ですら現実味を帯びた内容に思えるのは、フルカウルスポーツというカテゴリー自体に勢いがあるからにほかならない。
かつての日本市場では、多くのライダーが400cc以下の車両でバイクの魅力にのめり込み、ステップアップしていった。日本で、世界で再びこの流れが起ころうとしている。
ここまで、いま元気な400cc以下のフルカウルスポーツモデルについて、新旧織り交ぜて紹介してきた。いま日本では教習所で大型免許が取得できるようになったこともあり、中型バイクをすっ飛ばしていきなり大型バイクに乗るユーザーも激増した。それを批判するつもりはないが、そうした風潮が蔓延したことと、二輪需要の落ち込みや不景気が重なってしまった結果、しばらくの間、日本のメーカーも普通免許で乗れるエントリーモデルの投入を見送っていた時期があった。しかしエントリークラスのスポーツモデルが充実するにつれ、メーカーも活気付き、新型車両が投入されるようになった。いまこのクラスに位置づけられるモデルは、昔ほどの過激な性能はないけれど、その分気負わずに乗れる。街乗りだってツーリングだってこなせるし、スポーツ走行をも許容する。そうした懐の深いモデルこそ、長く乗り続けられる。そして、こうしたモデルが売れれば、メーカーも潤い、新型車開発に繋がる。まさに二輪メーカーの屋台骨がこのクラスにあるのだ。
