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数あるモーターサイクルの中でも独自の世界観があるハーレー・ダビッドソン。 世 界的な単位はメートル法が一般的だ。しかし、アメリカでは、従来の慣習からヤード・ポンド法が使用されている。そのためネジの規格もmm単位ではなくインチ単位である。H・Dの排気量で使われるCI=キュービックインチとは、インチ換算での排気量を表す単位だ。 ★排気量の求め方★
排気量の求め方は、円柱の体積の求め方と同じ。 <円柱の体積=半径×半径×円周率×高さ> これをエンジンの排気量に当てはめると、 <排気量=(ボア数値÷2)2乗×π×ストローク値> となる。ただし、これは1気筒あたりの排気量のため、ツインのH・Dの場合はこの数値を二倍したものが排気量となる。 後 輪の衝撃を吸収するサスペンション機能を持たないフレームのこと。ハーレーでは59年に登場したデュオグライドで実用化された。この名称は、フロントフォークに油圧式テレスコピック、リアにも油圧式サスペンションを持つことからデュオ(=二つの意)と名付けられた。ハーレーの世界でのリジッドフレームというと、ハードコアなカスタムフリークの象徴として、またビンテージハーレーならではの車体構成として人気であり、アメリカではパウコなどリジッドフレームを製作する専門のビルダーも存在する。当たり前だが、サスペンションのないフレームの乗り心地は相当に悪い。 シ リンダー配列のこと。Vの字のように、シリンダーがある角度を持って交差している気筒配列がVツインエンジンである。H・Dでは伝統的にV字部の挟み角を45度としている。このシリンダー配列は二輪黎明期から数多く採用されており、各社で様々な挟み角がトライされた。ドゥカティのLツインは、Vツインの挟み角を90度にしたものという解釈もできる。 自 由な発想で愛車をカスタムするスタイルのこと。フェンダーのカットや、ロングフォーク、個性的なペイントなど車体のあらゆる部分に手を入れて、個性を演出するのがチョッパーである。年代や特徴的なスタイル、地域によって数多くの世界観が存在し、ひと言にチョッパーと言っても特定のスタイルを指すものではない。平たく言えば、『吊るし』の状態から好みのスタイルに変更した車両がチョッパーである。 H・D成長の大きな礎 日本ではあまり知られていないかもしれないが、ハーレー・ダビッドソンは創立当初からモータースポーツに並々ならぬ情熱を注いできたメーカーだ。特に象徴的なのは、アメリカで高い人気を誇るダートトラックと呼ばれるダート周回レースである。古くからH・Dはワークス体制で専用マシンをAMAのダートトラック選手権に投入、華々しい活躍を続けてきた。 60 年代後半、H・DはAMFに買収された。AMFはAmericanMachine and Foundryの略語で、同社の母体は娯楽産業をメインとする総合電子機器メーカーである。AMF傘下となったH・Dは潤沢な資本を武器に、大量生産を押し進めるも、次第に品質の低下が問題視されるようになり、1981年に創業者一族の有志によりH・Dは買い戻された。ちなみに日本でもAMFロゴの入ったボーリングマシンなどを各地のボーリング場で見かけることができる。 ツインレースでも活躍 ダートトラックとともに、忘れてはならないのがロードレースでの活躍だ。アエルマッキを傘下に収めていた時代では、WGPの250/350クラスにロードレーサーを投入、チャンピオンも獲得している。また、アメリカ国内のAMA選手権においても英国・日本・ドイツの高性能マシンを相手に暴れまわった。サイドバルブ時代のKR-TTに始まり、XR-TT、VR1000と、45度Vツインのレイアウトは頑なに守ってレーサーを作り続けた。毎年デイトナで行われるBOTT(バトル・オブ・ザ・ツイン)には世界のメーカーも力を入れて参戦していた時期があり、ここでH・DはBMWやドゥカ、モト・グッツィ、さらには日本のメーカーと激しい競争を演じた。 |
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