レーサーレプリカに代表されるスーパースポーツモデルは、著しい速さで進化していったが、それらとは別に、欧州市場でとくに需要の多い高速ツアラーの開発も着実に進められていた。 このカテゴリーにヤマハは、新開発の空冷1100cc並列4気筒エンジンを搭載したFJ1100を1984年に投入。優れた高速性を発揮するGTとして高い支持を得た。 その後FJは、さらなる高性能化を目指して1200ccへと排気量を拡大。最高出力も125馬力から130馬力へとアップし、世界最速のグランツーリスモとして、欧州のハイウェイを駆け抜けたのである。 そして、21世紀にはいると、FJも大きくモデルチェンジされることとなり、新たに水冷パワーユニットを心臓部に据えたFJR1300へと進化。 パワーアップはもちろん、電動スクリーンやセミオートマチック機構など、最新技術導入で快適性を大幅に高めた。さらに現在では、環境性能まで進化の範囲は広がっている。
FJ1100
1984-1985
空冷4サイクル4気筒DOHC4バルブ:1097cc
91.9kW(125ps)/9000rpm
102.9Nm(10.5kg-m)/8000rpm
227kg(Dry)
該当車両なし
速度無制限のハイウェイをタンデムでツーリングする。そんな欧州市場におけるハードなツーリングスタイルに対応するべく開発されたのが、高速ツアラーFJ1100である。新設計の空冷DOHC並列4気筒は、1097ccの排気量から125psの最高出力を発揮、人気を博した。
FJ1200
1986-1990
空冷4サイクル4気筒DOHC4バルブ:1188cc
95.6kW(130ps)/9000rpm
98Nm(10kg-m)/7000rpm
32万8000円
空力を追求した大型フェアリング装備のスタイリングは、基本的に1100から継承。高剛性なラテラルフレームに搭載される空冷パワーユニットは、当時の国産モデルとしては最大級の1188ccへとスケールアップ。最高出力も130psまで引き上げられた。
FJ1200A
1991-1996
71.3kW(97ps)/8000rpm
91.2Nm(9.3kg-m)/6000rpm
242kg(Dry)
1991年に日本国内でも販売が開始されたFJ1200。最高出力は97psに抑えられたが、そのパフォーマンスに不足はない。またABSが装備されたFJ1200Aも新たに投入し、需要の拡大を図った。
FJ600
1984-1991
空冷4サイクル4気筒DOHC2バルブ:599cc
52.9kW(72ps)/10000rpm
53.9Nm(5.5kg-m)/8000rpm
208kg
名称こそFJとなっているモデルだが、実際にはXJ-Zの600ccモデル。ツアラーというよりはスポーツバイクといった性格が強く、後に登場したディバージョン600のほうがツアラー性が強い。
FJR1300AS
2006-
水冷4サイクル4気筒DOHC4バルブ:1298cc
105.5kW(143.4ps)/8000rpm
134.4Nm(13.7kg-m)/7000rpm
295kg
99万5000円
標準タイプのFJR1300に加えて、YCC-Sというセミオートマチックシステムを採用したASを新たにラインナップ。クラッチレバー操作の必要がなく、ロングツーリングでの快適性をさらに高めることとなった。左スイッチで行うシフト操作も簡単だ。
FJR1300
2001-
105.5kW(143.4ps)/8500rpm
268kg
78万1000円
FJに代わって新たに投入された高速ツアラーがFJR1300。電動可変スクリーンを装備したフェアリングや、インジェクション採用の水冷パワーユニットにより、走行性、快適性ともに飛躍的に向上させた。ABS装備の1300Aも用意。ABSは後に標準装備となる。
※中古平均価格はGooBike.com(09年12月14日現在)のデータをもとに算出しています。 エンジン 最大出力 最大トルク 排気量 車重 中古平均価格
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